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第二部 拡散編 第四章 友人たちへの通知
美咲は彩花のSNSに残された最後の投稿を何度も読み返した。そこに手掛かりはない。ただ、返信欄に「既読」にも満たない見えない視線の気配が沈んでいる。
クラスのグループチャットでは、半信半疑のまま噂が回る。「通知が来た」「場所を言い当てられた」。
放課後、駅前で別れた友人の直哉にも届いた。
私、メリーさん。今、改札のところにいるの。
直哉は笑ってスクショを貼った。三分後、二通目が届いた。
私、メリーさん。今、君の後ろにいるの。
貼られた写真の背景に、ガラス壁の向こう、顔の位置だけが切り取られたような黒い空白が浮かんでいた。
チャットは冗談半分、ホラー半分で騒いだが、その夜、直哉は連絡を絶った。