【日本経済メガンテ】利上げ+国債買い入れ減額のダブル愚策の背景
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。
もう最近日本の経済政策についてため息しか出ません。
PB黒字化目標を達成見込みといい、不可逆的に日本を破壊したいんじゃないか? と思わせるような内容ばかりですからね。
◇一言で言うと「日本経済メガンテ」
質問者:
そんなに深刻なんですか……。
筆者:
簡単に言うのなら「日本経済メガンテ」と言ったところでしょうか。
通常は景気が過熱しているからそれを抑えるための利上げと言うのが本来の役割だと思うのですが、
指標で言うのなら利上げする要素は全くありません。
食料とエネルギーを除くコアコアCPI(欧米での物価指標)では6月の全国版では1.9%プラス、7月の東京都速報(全国より先行して出る)では1.1%しかプラスになっておらず2%を下回りつつあります。
実質賃金は26カ月連続でマイナス。実質消費指数15カ月連続マイナスと言う状況です。
単なる「歴史的転換点を成し遂げた」と言う日銀総裁の自己満足にしか見えないですね。
若しくは、利上げをすることで銀行の経営改善になるのでそれらの圧力や献金があるとかそう言うところでしょう。
質問者:
「メガンテ」というのは調べたところ「ドラゴンクエストモンスターズ」と言うゲームで、
自身を犠牲にして相手に攻撃を放つ強力な技のようですが……それだけの犠牲をして誰がプラスになるんでしょう?
筆者:
「メガンテ」をして日本国民にプラスに還元されればまだいいんですけどね。
それどころかマイナスしか無いというのが一番質が悪いと思います。
利上げをしてプラスになるのは銀行家だけだと思いますね。
住宅ローンの7割が変動利率であるために利上げは純粋に日本国民にとってマイナスだと思います。
プラスになる人は数少ないです。
借金をする必要が無い、リタイアした高齢者や富裕層だけしか利上げが純粋プラスにはならない愚策中の愚策と言えると思います。
◇利上げをしても何も改善しない
質問者:
利上げをするのはやはりメリットがあってのことだと思うんですけど。
それについてはどれぐらいプラスになるんですか?
筆者:
プラスになる可能性があるとするのは円高になることと、
物価高の是正です。
ただ、どちらもあまり効果は無いように思います。
日米利率差に関しては0.25%になった程度ではアメリカの5.5%と比べて全く魅力がありませんからね。
物価高に関しては景気の過熱で起きているわけではないので
減税以外で物価高を軽減することは不可能と思われます。
仮に現状で物価が下がり始めたとしたらそれは民間が財布の紐を締めまくる「需要不足」です。
将来不安もあって物価高にも関わらず今無駄なモノをさらに買わなくなるという事です。
これは先日夏休み予算が減少するという話の際でもお伝えしましたけどね。
その兆しが出てきている段階で引き締めをすれば景気後退待ったなしだと思います。
◇利率を上げる「裏の目的」
質問者:
こんなにも意味が無いとするなら、冒頭の筆者さんの「日銀総裁の自己満足」以外で何か利上げをする理由ってあるんでしょうか?
筆者:
政府が一貫していっていることとして、
採算の悪い中小企業には「消え去って」もらって、「成長産業」に人材が流れてもらうといった発想があるんですね。
これは一見すると「なるほど」と思えるかもしれないのですが、
冷静に今日本の全ての産業について世界的に見たなら、「全てが成長産業とはいえない」と思うんです。
唯一自動車産業程度でしょうか?
恐らくはラピダスが2マイクロのマイクロチップを作るなどの部門に人材を集結と言う算段だと思うのですが、
それより大きな半導体の製造すらままならない日本の技術・能力で投資をしても全部おじゃんになってしまう事や、5兆円必要であることから「タダの利権の食い物」に終わってしまう可能性も大いにあると懸念しています。
それよりもAIや水素に関する発電能力と言った日本がまだ得意としている部門に投資することや、それぞれの人が働きやすい環境・分野を整備していく必要があると思います。
質問者:
筆者さんは成長産業でなくても農業や介護の部門に人を投入しないと日本が成り立たなくなると常々おっしゃっていますよね……。
筆者:
それらを外国人の方で補おうという計画なのでしょうが、
日本人がやりたくない、低い給料の部門を海外の方に丸投げと言うのも酷い話です。
根本からこういった施策全体を見直して欲しいものです。
◇利払いを含めた「黒字化」目標を設定してくる
質問者:
筆者さんは全く意に介しませんが、「利払い費の増額」という事も問題にされる方多いですよね。それについてはどうなんでしょうか?
筆者:
政府は「PB黒字化(税収で全ての支払いを賄い黒字にする)」の範囲を「国債の利払い」まで含める狂気となれば、さらなる景気後退は避けられないと思います。
今回年0.25%の利上げが国債の全てに適用されるわけではないにせよ、
1000兆円に対して単純計算すれば年2.5兆円更なる緊縮(増税)するのと同義ですからね。
子育て支援金月1000円や防衛増税1兆円に対しても問題が紛糾している世の中で、この「2,5兆円」はあまりにも大きすぎます。
しかも子育て支援金や防衛増税はあんまり意味のないところにお金が使われそうではありますが、国民に還元されるだけマシです。
この「利払い2.5兆円」のうち少なくとも半分以上は全く無意味なものに対しての増税ですから、本当に貨幣観が狂った人の狂った遊びにしか見えないというのが正直な感想です。
質問者:
これは本当に大きすぎますね……。
半分以上は日銀自らが保有している状況なのにその利払いを気にするって本当に意味が分かりません……。
筆者:
アベノミクスはマイナス金利という金融政策はアクセルを踏んで良かったものの、実は消費増税・緊縮というブレーキを踏んだ「ちぐはぐな状況」でした。
しかし、今日から利上げのブレーキを踏み始め、更なる緊縮・増税と言う「ダブルブレーキ」になっていくんです。
これを指摘しない・出来ない「金本位制度貨幣観」の「自称専門家」は早く江戸時代に帰っていただきたいですね。
◇日銀の国債買い入れ減と言う愚策
質問者:
今回利上げと共に日銀が国債の買い入れを減らすという事も発表したみたいですけど、それについては何か問題はあるんですか?
筆者:
大規模な金融緩和策の柱として行ってきた月額6兆円程度の国債の買い入れについて、今月から徐々に額を減らし、2026年1月から3月には3兆円程度とする計画ですね。
これはちょっと前から言われていたことですが確定はしていなかったので、確定した今回大きく取り上げようと思うのですが、「愚策中の愚策」といっていいと思います。
1 日銀が引受額を減額していく
2 その分は市場が買うとは思えないので買うのは銀行が中心になる
3 バーゼル規制があり自己資本比率の影響で国債買い入れの限界がある
4 せいぜいやることとしては利率の高い短期国債の借り換え連発か?
5 結果として国債の発行残高に“限界”が生じていく
6 利率が高い国債を増やすことにより緊縮財政になっていく
こういった流れが考えられるからです。
質問者:
仮に銀行以外が国債を引き受けた場合はどうなんですか?
筆者:
それはそれで問題だと思いますよ。特に外国人の方が購入するようになってしまうとそれこそ「返済」や「利払い」と言う問題が本格化しますからね。
僕は国債発行残高は問題では無く、外国人投資家の割合の方が遥かに気になります。
何せ財政破綻している国と言うのは海外への債務に対しての返済が滞っていることが全てですからね。
外国人の比重が高まり、売り圧力をかけることで利率が更に左右されるようになってはまた日本経済に悪影響です。
マイナス金利、ゼロ金利で日銀が買うぐらいが何も問題が起きなくて丁度いいのにわざわざそれを崩して問題を引き起こそうとしているんです。
質問者:
本当にベクトルがズレているんですね……。
筆者:
誤った政策を永遠と続けてもすぐに国は倒れないという性質があるために、
誤った政策だと認識することが出来ていない・問題だと思えないのが最大の悲劇です。
それを指摘しないマスコミと専門家の人たちがいるために更に増長されていくんだと思います。
(とは言っても経済成長を30年成し遂げていないという異常事態は”内乱“が起きている国だけと言うほど異常な状況ではある)
質問者:
いつも筆者さんがおっしゃっているように国民側が自発的に気づいて物申していくしかないという事ですか……。
筆者:
そうです。他国の人は誰も助けてくれません。
海外の国は日本が衰退していけば、市場から日本が自動的に退場してくれて、自国の躍進の可能性が上がるために指摘してくれないんです。
日本人が自ら気が付いて声を上げていき政府と日銀が異常なことをしていることを指摘していかなくてはいけないという事です。
僕はその手助けが僅かながらでも出来ればと思って、こうして筆を執っているという事です。
という事でご覧いただきありがとうございました。
今回は利上げも買い入れを減らすこともダブルで愚策という事をお伝えしました。
いつも皆さんがご覧いただいていることで励みになっています。
今後もこのような時事ネタや政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。