6.調査対応
メインベルの街 その1
工業の街とのことで、あちこちにプラントって言ってもいいような工場が、高い塀に囲まれていっぱいある。煙がもくもく上がっている建屋や、ガンガンと鉄の当たっているような音のする建屋が、何やってるかわかんないけどいっぱいある。
まずは商人ギルドに行って、薬草を買い取ってもらった。半乾きだけどいい値で買い取ってくれた。これがエージーさんが言ってた、「メインベルは高く買ってくれる」っていうやつなのかもしれないなと思った。好景気ってことなのかな。
商人ギルドに教えてもらった宿屋は、なかなか立派な建屋だった。
風呂に入れるか聞いたら、まだ時間が早いと言われて夕刻に来るよう言われた。食堂も準備中だった。
部屋に入り、もそもそ黒パンを少し食べて、夕方まで休むことにした。
さっきまで雲が厚かったのに、うっすら日が差している。そうこうしていたら眠ってしまった。
トントン。扉をたたく音がする。びっくりして飛び起きた。
「メイリさーん。お風呂使えますよー」
「はーい」
と返事をして、急いで着替えを探して部屋を出て宿屋のカウンターに向かった。
「呼んでいただいてありがとうございます」
と声をかけたら、にこにこ微笑んでお風呂の方を横手で案内された。
風呂でさっぱりして、洗剤を持って共同洗濯場に行って汚れた服を洗ってよく絞った。
部屋に戻り広げて干してから食堂に向かった。
温かいトウモロコシのスープ。柔らかいパンとチーズと卵とジャガイモの料理だ。
シンプルだけど温かいものはほっとするね。
満腹になって、トイレに行って、水袋の水を入れ替えて部屋に戻った。ベッドに横になったらすぐに寝てしまった。
気が付いたら朝で、ひさしぶりにとてもよく寝た。疲れがとれてすこぶる気分がいい。
商人ギルドに向かった。募集広告を見ていると募集数はいっぱいあるんだけど、長期の労働か長期の事務ものが多くて単発の仕事が見当たらない。
一番時間がかからなそうなのは、「メインベル工業会の調査対応」ってやつかなぁ。
商人ギルドの受付で詳しく聞いてみると、工場を作った先代が亡くなって、長男が工場を継いだけれど、どうもメインベル工業会の規則に沿った工場ではなかったようだ。
先代が亡くなったとたん工場の撤去命令がメインベル工業会から来て、困っているそうだ。
どうしようかなあ。なんかやっかいそうだなぁ。と思っていたら、商人ギルドの受付のお姉さんに、
「実はねえ、誰もねえ、相手にしてくれなくてねえ、かわいそうなのよねぇ。話だけでも聞いてやってもらえないかしらねえ」
と言われ、なんか聞いたら最後のような気がするなぁと思いつつ、他にできそうな募集ないのかなぁとうろうろしてみた。
無いよね。うーん。このまま次の街に進もうか。路銀は節約すれば持ちそうだし、無理しなくてもいいかな。なんか、かかわっちゃいけない予感しかしないよね。
うん。そうしよう。早く次の街に出立しよう。と商人ギルドから帰ろうとしたら、商人ギルドの受付のお姉さんと、私よりすこし年上のおとなしそうな大柄な老婦人が正面に立っていた。
応接室に通されて、お茶まで出てきた。なんかまずい予感する。
商人ギルドの受付のお姉さんは、大柄の老婦人の姪っこだった。老婦人は頭を下げて来た。