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2.街道をはずれたら

レンズ~リースの街へ

大き目のバックを袈裟懸けして、退職金代わりにもらったアイテムバック(小)を隠すようにしまった。


--スキル 結界 識別  属性 水魔法

--持ち物 アイテムバック(小) 料理で使っていたマイペティーナイフ

     いろいろ集めたいただき物の袋や小瓶たち 着替えや手ぬぐいを数枚

     不揃いのあちこちから集めた紙と石筆とか、ごちゃごちゃ入ってる

    

金貨1枚と銀貨25枚は、小さな皮のきんちゃく袋に入れて首からつるして服の中にしまった。

日持ちする硬い黒パンと干し肉と水をアイテムバックに入るだけ入れて、40年働いた貴族邸を夜明けとともに後にした。


仲良くしてくれた仲間には昨夜のうちに挨拶した。見送られたくなかったのでさっさと出た。年寄りは泣いても汚いだけだしね。


40年もいたレンズの街で商人ギルドに初登録し、商人ギルドカードを手に入れた。

商人ギルドの紹介で仕事をしながら先に進もうと思っている。


家事一般と農業手伝いくらいだが結構仕事はあるみたいだ。

街の北の出口から出て、北に北に歩いて進む。次の町はリース。


道すがら、「識別」のスキルで薬草を見つけ出し、バックに入れながら進む。商人ギルドに高く売れたらいいな。


あ、街道からちょっと離れるけど、森の手前に薬草の群生がある。まとめて摘めれば後は進むだけでいいね。せっせと積んでいると、若い冒険者風野郎たちに囲まれていた。


「ババア、わかってんだろうな。出すものだせや。」

こいつがリーダーなんだろうなというあんまり特徴のない男が言った。


さてどうしようかな。とりあえず「結界」を張る。連行されても嫌なので、地面の下の木の根まで「結界」を連結する。そっと積んだ薬草を置いて、「どうぞ」と言ってみた。


「ババア馬鹿にしてんのかっ」

リーダーらしき男が顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。


「たいしたものは持っていないので」

わたしはそっと息を吐いてようすを見た。


男たちは目で合図しあって、武器を取り出した。

「ばあさん悪いな。勘弁してくれよ」

斧をもった男が振りかぶった。


キーン。金属音がして斧がはじかれた。目をまん丸くした男をのけて槍の男が刺してきた。ギュン。槍は先が曲がってしまった。


「結界か?」

リーダーらしき男がうなり、押したり引いたりしていたけどびくともしない。


「そろそろ反撃してもいいですか?ごめんなさいね」

アイテムバックから紫色の小瓶を出して、ぱあっと振りかけた。


私は「結界」に守られているけど、外は腐敗臭で満載のはずだ。


「なにぃ?」

「臭っせ!」「が」「あ゛―」

男たちが口々にウオウオ叫びながら、あまりの臭さに涙を流して悶絶している。


「洗えば取れますからね」

と急いで言って、「結界」の下の方を解いて、臭くなった薬草を残念に思いながら捨てて街道に走り戻った。野郎たちはついてこなかった。


街道を歩きながら「結界」は大変だけど一日中していた方がいいかもしれないなと思った。

でも街道ってなんで襲われないんだろう?よくわからないルールがあるのかな。


しばらくやっていると、紙一枚程度の「結界」をし続けるのにも慣れてきた。

まあ、やればできるのね。いままで必要なかったし、こんな年になってからでもチャレンジだわあ。とのんきに考えながら歩き続けた。


街道の途中で日が暮れて、結界をまあるくセットして、黒パンと干し肉を水につけてふやかしたもの(かたいのよ)を食べて、マントをかぶる。あと何回こうすればリースの街に着くかなと思い、地図をどこかで買いたいなと思いながら眠った。


リースの街に近づくとともに街道に人が増えてきた。そろそろ街なんだなとほっとした。


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