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素晴らしい毎日  作者: ともとも
1/1

25歳

 テレビカメラの前で答える。街角のインタビューだ。「年収はいくらですか?」「3000万くらいです。」と。きっとカメラマンとインタビュアーはぎょっとするんだろうなと思っていたけど、本当に想像通り。心の中でニヤける。

「どんな職業を?」「法曹です。」「へえー」感心しているんだか嫉妬しているんだかよくわからない声で反応を見せる。でも感じ悪くはなかった。「実は今日40日ぶりの休みなんです」自分から言ってみた。「えっ、それ法律違反じゃないの?」「まあそうですね」文章にするんだったら「笑」をつける感じで言った。「上司とか事務所の他の人は休みないって感じなんですけど、自分は休みたいんでばっちり休んじゃいました。」ピースのサインを表情に変換した。「ばっちり」って言葉、好きなんだよね。高校1年のときのすごく親切で本当に優秀なんだろうなって感じる先生がよく言ってた言葉だから。


 そんなこんなで25の私に興味を持ってくれたのか、後日もっと詳しく取材したいということになった。家は賃貸。同い年の夫と、3人のかわいいかわいい子供と住んでいる。私はきっと結婚しているようにも、まして子供がいるようにも思われていないだろうから、驚かれるんだろうな。


 私は中学受験をした。偏差値は33。いやあまあまさか結局東大生になるなんて思いもしなかった。小学生の頃からYou Tubeを見ていたけど、なんかのきっかけで医学部紹介の動画を見た。私はその時社会的地位の高さにひかれてしまった。その後、難関高校受験専門の塾に通わせてもらって見事受かり、東大も夢じゃなくなった。とはいえ、上には上がいた。学年180人中167位。最初の模試である。っておい、という成績。本当の本当なら理3に行きたかった。でも、本やネットでどんな人が理3に受かるのか調べて、諦めた。部活は書道部に入った。勉強をするためだ。カーストのトップにいることができない部活に入ってしまった。高校生活はひたすら劣等感にさいなまれて過ごした。あの人は運動部なのに私より成績がいい、とか、塾休んで彼氏と花火大会に行ってるのをインスタで上げる人がいたり、とか。ちなみに私はその日の授業後、特待が無効になると言われた。いかんせん部活をやってないので友達が少ない。何もないので後輩から舐められる。後輩の知り合いゼロ。高校で一生の友達を作っている人が正直羨ましかった。もう勉強しかなかった。


 東大に受かってからは、いろんなサークルに入った。結局弁護士を目指すことにした。大学3年には司法試験に合格したかったから、2年で予備試験に間に合うようにし、そして医学部へと医進できるようにひたすら勉強の毎日を送った。だから今は、司法試験の資格だけでなく、医師国家試験も持っている。


 夫は高校の時の同級生。医師だ。お互いかなり精神的に独立して生きている。子供たちは、自分の親か夫の親にしょっちゅう預けている。私の親は「もー、もっと連れてきてよ。あっちばっか連れてかないでよ。」と不満顔。すごく恵まれている。


 テレビ局の人のためにケーキ屋へと走ろう、、、  




日本史の勉強しよう。そう思ってパソコンを閉じるJKwatasi。<続く>


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