問題
「おはよう!」
「おは・・・・よう。」
フイっと顔を背けてボソボソと挨拶を返してくる。
ご機嫌斜めである。
まぁ、俺はコイツを教育しなければいけないのだ。こんな事ぐらいでいちいち腹を立ててもいられない。
「よし、訓練をするからギルドの訓練場に行くぞ。」
「分かった。」
タナカはシャツにズボン、そしてよく分からない靴来た。
手ぶらである。
村人か!
「お前、本当に武器とか無いんだな。」
「無い。」
「ナイフじゃ・・「無い」、そうか。」
「そうだ。」
タナカが俺を睨む。
いや、だってさ、武器とか普通有るからね?
ナイフぐらい持ってるからね?
訓練場に着いて俺はタナカに木剣を投げ渡す。
パシっ。
「それで打ってこい。どれくらい出来るのか見てやる。」
「剣なんて、振った事、・・・無い。」
「え?」
いや、いやいやいやいやいや!
ん?ん?ん?剣士さん?ですよね?
剣振った事が無い。
え?は?え?
はあああああああ????
いや、ほんとね、もう最近の子は分からん
「剣なんて振った事ないんだよ!」
あ、怒った。
「そ、そうか、無いんだな。悪かったな。でも剣士なんだろ?
持ち方から教えてやるよ。な?」
「チッ」
なんでだよ!なんで俺が舌打ちされなきゃいけないんだよ!
剣士なんだろがよ!剣振った事ないとか村人か!
俺は咳払いをして自分を落ち着かせ
「持ち方はこうだ。そうじゃないこう、そうだ。」
なんだよ。素直かよ。
「よし、それで俺の真似でいいから振ってみろ。」
「分かった。」
一緒に素振りをして1時間ぐらいだろうか、
「よし、休憩しようか。」
「分かった。」
こいつ、初めてなのに息も上がらず振り続けていたな。
少し感心して見ていたら、
チョロチョロと指先から水出してるな。
あははは、水、出してるな!っておいいいいい!
「待て待て待て。タナカ。今何した?」
「ん?水分補給だが?」
「ん?じゃねえよ。剣士なんだよな?」
「ああ、剣士だ。」
話通じてない感がハンパ無いな。
あれ?最近の子たちって、剣士でも魔法使えるんですかね?
んな事あるかあー!魔法使えねえから剣士なんだろがよ!
魔法が使えたら魔法使いになるでしょうよ普通!
訳がわからん。
「飲むか?」
なんで上から目線なんだよ!
「ああ、貰おう。」
「入れ物が無いんだ。口開けてくれ。」
「え!それは、仕方ないか。じゃ、じゃあ。」
俺はタナカの前にひざまづき見上げて口を開ける。
その時であった。
「やっほー!マイク!タナカ!訓練やってる?」
普通に立っているタナカ。
水を貰うためにひざまづきタナカを見上げて口を開けている俺。
そこにステラが後ろから声を掛けたのである。
「ゴボゴボゴボ!」
「ステラさん!」
「えっ、何やってるの?君たち。」
ステラを見たタナカがテンション爆上げで水魔法の威力が上がり俺溺死寸前である。
まぁ、とりあえずの問題はそこでは無いのだが。
そして、ステラは汚物を見るかのような目で俺を見る。
いや、誤解である。