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出会い2

武器を持たない剣士タナカは、口の塞がらない俺をじっと見つめている。

はっと我に返り咳払いをして冷静さを取り戻す。

「もう一度確認するが、レベル1なんだよな?」


「そうだ。」


「武器は〜。」


「無い。」


「ナイフじゃ無くて?」


「無い。」


「そうか。」


「そうだ。」




お聴き頂けただろうか。

この目の前の青年は6歳から何もせずに大人になり、冒険者になるそうです。

いや、待てよ。確か有り得ない事過ぎてスルーしてはいたが、魔王を倒すために召喚されたとか言っていたな。

いやいやいやいや、そんなのある訳ない。

いやだって、異世界人を召喚ですよ?御伽噺じゃないですか。

アレでしょ?昔々あるところにお爺さんとお婆さんがで始まるアレでしょ?召喚された男の子が魔王倒すアレだよね?

そんな事ある?

まぁ、確かに黒髪黒目ではある。

ここ数百年でそんなの聞いた事も見た事も無いし。

魔王を倒すとか!勇者じゃ無いんだから!


「あの。」


タナカから話しかけてきたのでビクッとしてしまう。


「な、何だ!」


「いや、あのトイレはどこですか?」


「あ、トイレは受付カウンターの右側の突き当たりだ。」


「ありがとうございます。ちょっと行ってきます。」


「お、おう。」


トイレに走るタナカの背中を見ながらため息を吐く。

一体どう言う事なんだ。訳がわからん。


「よお、リーダー。どうだい?ペナルティーの新人教育は?」


混乱している俺に肩を組むように声を掛けてくる。


「おいおい、ステラさん。ペナルティーはパーティ全員の責任ですぞ。そんな言い方じゃリーダーだけが悪いみたいじゃござらんか。」


「良いのよ。大体マイクがあの男と意地の張り合いなんかしなけりゃこんな事になって無いんだから。」


「ステラに、ゴウか。メルミは?」


俺は振り向いてステラの腕をどけながら、ゴウに聞く。


「ちょっとなんだよ。アタシは無視かよ。」


頬を膨らませながら怒るステラに


「ククク、そんな胸じゃマイクは振り向かんわ。ああ、メルミは教会じゃよ。」


「ちょ!爺い!女は胸だけじゃ無いんだからね!ねっ!マイク?」


「あ、いやそんな事はどうでも良いんだが、ステラとゴウ爺は聞いた事あるかな?」


「な!どうでも良く無い!」


怒るステラをよそにゴウ爺が聞く。


「何の事じゃ?」


「異世界人召喚。」


「「えっ!」」


「え?あるの?」


二人は目を丸くして俺を見て信じられない顔をしている。


「「ぎやー、ハッハッハッハッー!」」


二人は吐き出すように笑い、


「マイクよ、流石にわしでも御伽噺ぐらいは知っとるよ。ククク。」


「腹痛い、腹痛い。何真剣な顔で言ってるのよ。マイク。」


「いや、そんなに笑わなくても。」


そんな話をしているとタナカが帰ってきた。


「タナカ、こいつらは俺のパーティメンバーのステラとゴウだ。また会う事もあるだろうから紹介しておくよ。」


「ステラよ。よろしくね。」


「ゴウじゃ、よしなに。」


二人の挨拶を受けてまたそっぽを向くかと思い見ていたが、


「タナカです!よろしくお願いします!す、す、す、ステラさんは、エルフさんなのですか?」


先程までのほぼ受け答えのしない不機嫌な青年は、顔を赤らめながら声もビックリする程の声量でステラの前に詰め寄る。


流石のステラも引き気味である。いつもうざったい絡みかたをしてくるので、いい気味である。


「ちょっ!そ、そうだけど。近い近い!ちょっとマイク!」


俺に助けてと言わんばかりに見て来るステラ。


「タナカ、ステラはハーフエルフだ。」


「えええええ!やっぱり!ファンタジーきたーーーーー!」


タナカ、テンション爆上げである。


よく分からん踊りまでしている。


「おい、マイク、止めんで良いのか?」


ゴウ爺に言われタナカの豹変ぶりに引いていた俺は


「どうどうどう、タナカ落ち着け。水でも飲め」


少し落ち着いたタナカに


「訓練は明日からだ。とりあえず朝広場まで来るようにな。」


「失礼しました。わかりました。」


タナカは頷き席を立ちお辞儀をする。

ちゃんと挨拶の出来る青年なのだな。そう思っていると、


「あの。」


「どうした?」


「明日の訓練にステラさんは来るんですか?」


「いや?来ないが?」


「チッそうですか。」


そう言ってタナカは出て行った。

ん?あれ?舌打ちしたよね?

俺一応教える側の人なんだが?

言うなれば先生なんだが?


イラっとしている俺の肩にぽんぽんと手をやるので振り向くと、ドヤ顔のステラがいた。


チッ!

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