太陽の裁き
最終回です。
読んで戴けると嬉しいです。
「シャイン?
シャイン! 」
真里はシャインの部屋を覗いた。
「また、あの悪餓鬼はこんな時間までほっつき歩いて」
真里はドアを閉めようとして、また部屋を見た。
テーブルの上に便箋を見つけたからだ。
真里は何だろうと思い、部屋に入った。
便箋を手に取ると、それは真里に宛てたシャインの手紙だった。
『敬愛なる母さんへ
ごめんなさい
ボク、約束を破ってしまった
人を襲ってしまったんだ
ボクは知りたい、ボクの真実
太陽に裁きを委ねるよ
シャイン 』
「だめよ……………………………」
真里は戦慄した。
「シャイン、だめよ………………………………」
真里の身体から力が抜けた。
その場に座り込んだ。
真里は叫んだ。
「駄目よ、シャイン!
駄目よ!! 」
シャインは床を叩き圭依に向き直って言った。
「何莫迦なこと言ってるの!
もし本当に吸血鬼になっていたとしたら、キミは確実に灰になる! 」
「そんなの解ってるよ!
でも、お前も灰になる気満々じゃん! 」
シャインは眼を見開き黙った。
「言わなかったけど、オレんちもうボロボロなんだ
オレがこんなだから、親が無理してさ
借金とか結構あるみたいだし、毎日オレみたいな爆弾抱えて働いてるから、二人共疲れ切ってる」
圭依は頭を掻き毟るように頭を抱えた。
「たまらないんだ、自分が親を追い詰めてる気がして」
シャインはそう言う圭依を見詰めることしかできなかった。
「圭依…………………………」
「オレが吸血鬼になっていたとしたら、両親はまた新たな悩みに直面するだけなんだ」
シャインは眼を伏せた。
「それは解るよ…………………………」
無情にも外は白んで行き、もうすぐ太陽が昇る事を告げていた。
「夜が明ける…………………………………………」
二人は外を見詰めた。
「少し楽しみかもね」
シャインが言った。
「え? 」
圭依は振り返ってシャインを見詰めた。
「ずっと憧れだった
陽に照らされる景色
テレビとかでは見たことあるけど、本物は見た事無いから」
シャインは笑った。
「お前、ほんと呑気な」
「昨日はごめんね
それとボク、圭依が大好きだよ」
圭依は赤くなって言った。
「そんなの知ってる
オレは謝らないぞ
お前もオレも灰にならなかったら謝ってやるよ」
「素直じゃ無いなあ」
「うるさい」
圭依は手を出した。
「シャインに逢えて良かったよ」
シャインはその手を握って言った。
「ボクも圭依に逢えて良かった」
二人は笑い合い、力強く互いの手を握り合った。
「楽しかったよね、学校や花火」
「うん………………………」
太陽が昇り始めた。
シャインと圭依は立ち上がった。
朝風が二人の頬を掠め、カーテンを大きくはためかせた。
二人は手を繋ぎ一緒に外へ出た。
圭依は恐れに眼を硬く閉じた。
世界は光に溢れ輝いていた。
淡い金色の光が二人を包み、風が二人の髪や衣服を弄んだ。
握っていたシャインの手が溶ける様に頼り無くなって行った。
圭依は眼を開けてシャインを振り向いた。
シャインは笑っていた。
朝陽に照らされたシャインは淡い金色の輝く小さな粒になって輪郭を失くして行く。
シャインは色彩を失いながら言った。
「夢を叶えて」
金色の光の粒になったシャインは空気に溶け、ゆっくりと消えて行った。
シャインらしい優しい微笑みを残して。
シャインが立っていた場所には白い灰がサラサラと空気に漂い、風に拐われていた。
「シャイン!
シャイン………………………
ああ……………………どうして…………………………………? 」
圭依はその場に座り込むと必死に灰を掻き集めた。
「シャイン…………………
シャイン…………………………」
集めた灰は直ぐに風に拐われ消えて行った。
「どうして…………………
どうして……………………
どうしてっ!! 」
圭依は太陽に問うた。
しかし太陽は沈黙を守り光を増してゆくだけだった。
fin
最後まで読んで下さり有り難うございます。
この作品を書いて、読んで下さった方がおられたことに感無量です。
作品ができると、必ず活字中毒の娘に眼を通して貰うのですが最初みせた時はボロクソに言われて、めげました。笑
書き直し、書き直し、やっとOK貰って投稿できました。
活字中毒の娘はランキングを何度も読破すると云う、とんでもなく重度の活字中毒で、彼女の意見はわたしにはとても大切な道標べです。
書くからには、自分の持つ力を出し切って良い物を書きたい。
それが、わたしのモットーです。
楽しんで戴けてたら、本当に本望です。
また、お逢いできる日を楽しみにしつつ、皆様が健やかでありますように。