吸血鬼
楽しんで戴ければ幸いです。
圭依はベッドに凭れ眠っていた。
陽の光が今日も温度を上げて行く。
圭依は目を覚ますと、直ぐに夕べのシャインの事を思い出し、シャインが付けた壁のキズを見上げた。
「シャイン………………………
いったいどうしたんだよ」
急に胸が痒くなって掻いた。
「何かに被れたかな」
チェストの上に置いてある鏡で服を捲り、胸を映した。
「え? 」
圭依は部屋を出ると両親の寝室にある鏡台の前に立ってシャツを脱いだ。
『やっぱり無い!
手術を受けた痕が、キレイに無くなってる! 』
圭依は自分の胸に触れた。
圭依の頭の中を一連の出来事が駆け廻った。
「ボク、傷とか直ぐ治るし…………………」
シャインの言葉を思い出した。
夕べシャインの血を思わず舐めてしまった事、インタビューウィズヴァンパイアと云う映画では人間を吸血鬼にする為に吸血鬼の血を与えていた。
圭依はその場に座り込んだ。
「オレ、吸血鬼になってしまった…………………………? 」
シャインは棺の中で父を呼んでいた。
『父さん………………………
父さん!
助けて!
ボク人を襲ってしまった
人を殺してしまったんだ! 』
『シャイン
感じていた、刹那お前の本能が覚醒するのを
父の処へ来い
お前には同志が必要だ
そのままそこに留まれば老いて死ぬだけだ』
『本能…………………?
同志…………………………? 』
夜になると、圭依はベランダでずっとシャインが来るのを待っていた。
もう、かれこれ三時間は待っていた。
だが、シャインはいつも来る時間になっても姿を現さなかった。
圭依はシャインを待ち続けたが、溜め息をつくと部屋に入り、シャインのお気に入りの机に触れた。
シャラ………………………とカーテンがずれる音がして、もしやと圭依は振り返った。
カーテンの陰にシャインが立って眼を伏せていた。
シャインは言った。
「昨日、ボクは人を襲ってしまった
彼は死んだ
ボクが恐い? 」
その言葉に圭依は驚き、言葉を失った。
シャインはそのまま去ろうと踵を返した。
そんなシャインを圭依は後ろから抱き締め言った。
「訳…………あるんだろ?
お前がそんな事、自分の意思でやる奴じゃ無いって、オレは知ってる」
シャインの眼から涙が零れた。
シャインと圭依はベッドに凭れて話した。
いきさつを聞いた圭依は言った。
「そんな奴、死んだっていいじゃん
許せないな、とんでもない奴だよ」
だが、シャインは言った。
「だからと言って、ボクが殺していいと云う理由にはならないよ」
「それはそうかも知れないけど…………………」
圭依は肩を落とした。
「父さんが来いって言うんだ
このままでいたらボクは老いて死ぬだけだって」
圭依は複雑な気持ちになった。
「母さんにとってボクは人間だけど、父さんにとってボクは吸血鬼なんだ
父さんの処へは行けない
嫌なんだ、人を襲うのが平気になるのは」
「そうだろうな………………
難しいな
でもさ、そいつ生きてたら、もっと少年を殺し続けてたと思うよ
オレはシャインが悪い事したと思わない、当然の報いだ」
「今度はボクが人殺しになる」
その言葉に驚いて圭依はシャインを見詰めた。
「ダメなんだ
ボクはもう、人の血意外受け付けないんだ」
シャインは哀しい顔で笑って圭依を見た。
圭依は床を見詰めた。
圭依は言いずらそうに言った。
「オレ……………………吸血鬼になっちゃったかも」
「え? 」
シャインは驚いて圭依を見詰めた。
「昨日、お前の血、舐めちゃっただろ
胸にあった大きな手術の傷痕がキレイに無くなってたんだ」
シャインは何を言っていいか解らなかった。
「一つだけ、確かめる方法がある」
圭依はシャインを見詰めた。
シャインはその顔を見て言った。
「……………何を……考えてるの………………………? 」
ここまで読んで戴き有り難うございます。
残り後、一話です。
この作品を小説にできて、読んで下さる人にも恵まれ、本当に嬉しいです。
凄く、お気に入りのストーリーだったので。
特に、ラストシーンは目茶苦茶お気に入りなんですよお。
明日がとても楽しみです。
読んで下さった方々に楽しんで戴けてたら、本当に幸せです。
それでは、また明日。