母さん
誤字、脱字等ありましたら、お教え戴けたら嬉しいです。
物音がして圭依はベッドを出てベランダを覗いた。
シャインがベランダに蹲っていた。
圭依は戸を開けると言った。
「なんだ、謝りに来たのか? 」
シャインは身動き一つしない。
「どうしたよ? 」
圭依が肩に手を置くとシャインは突かれた様に顔を上げ圭依を見た。
「酷い顔だなあ。
ちょっと喧嘩したくらいで」
「圭依…………………………」
余りの力無いシャインの声に、圭依はいつもの調子で話し掛けられない気がした。
「まあ、中に入んなよ」
シャインは立ち上がると項垂れながら部屋に入った。
圭依が蛍光灯を点けると眩しい光がシャインの眼を刺激した。
思わず眼を閉じたシャインの脳裏に男の死に顔が鮮明に蘇り、シャインは居たたまれず壁に拳を打ち付けた。
「何やってるんだよ! 」
圭依は慌ててシャインの拳を掴み壁から離した。
シャインの手の甲から血が出ている。
「血が出てるじゃん! 」
圭依は思わずシャインの手の甲に口を当て、血を舐めた。
シャインは浮き上がり離れて言った。
「ボクの名前、皮肉だと思わない?
光になんて全く無縁なのに……………………」
「いったい、何があったんだよ? 」
シャインは答えず、そのまま部屋を出て行った。
圭依はベランダに出ると手摺に捕まり叫んだ。
「お前に何があってもオレたち友達だからな!!
待ってるからな!! 」
自宅の近くの公園の水飲み場で顔と手を洗い、浮き上がるといつもの様にベランダから家に入った。
リビングに真里の姿は無く、シャインはエッセイストをしている真里の仕事部屋をそっと覗いた。
真里はパソコンを点けたまま机に伏して眠っていた。
シャインはタオルケットを持って来ると真里に掛け、ひざまずき真里の背中に抱きついた。
真里は眼を覚ました。
「どうしたの? 」
「甘えてる」
真里はクスッと笑った。
「変な子」
「ねえ、母さんは父さんを愛してたんでしょう?
どうして離れたの? 」
シャインは真里の背中に抱きついたまま訊いた。
真里はシャインの温もりを感じながら言った。
「今でも、すごおく愛してる
あの人は永遠の伴侶として傍に居て欲しいって言ってくれたの
だけどそれは永遠に誰かの犠牲を糧に築かれる倖せ
わたしには、それができなかった
だから、キレイな想い出のまま、あの人の元を去ったの
でも、私はそんなに強い女じゃ無かったんだな
帰国したら、あの人の居ない日常に生きる力を失くしてた
そんな時にあなたを妊娠してる事を知ったの
あなたは私とあの人の愛から生まれた子
だから、私はあなたがお腹に居ると知った時から強く生きようと思えた」
シャインは眼を閉じた。
「じゃあ、どうしていつも泣いてるの? 」
真里は眼を伏せた。
「あなたは私に倖せをもたらした
でも、それはあなたが倖せだと云う事に必ずしも繋がる訳じゃ無い
結局、私はあなたを暗闇の中に閉じ籠めてるだけなんじゃないかって、いつも思う」
真里はシャインの手を撫でた。
シャインは真里を抱き締める手に力を込めた。
『母さん!
母さん!
母さん!! 』
ここまでお付き合い有り難うございます。
後残り、二話。
最後までお付き合い戴ければ幸いです。
今また、新しい作品書いてます。
そっちの方も頑張りたいです。
不健康生活で娘に怒られる今日この頃です。笑
ザアザアと云うバンドの「死んじゃったポチの話」と云う曲があるのですが、余りに哀しい曲で、またヴォーカルの一揆くんの表現力が半端無く凄くて、PVみて娘と泣きまくり、曲を聴いては泣きまくりました。
動物は大切にして欲しいです。
そう、つくづく思う曲です。
それでは、また明日。