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ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~  作者: 餅月望
第九部 世界に示せ! ミーア学園の威光を!
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第三十四話 皇女の町isFNYミーアランド

 皇女の町の前につき、馬車を降りたミーアは、思わずソレを見上げる。

「お、おお……。なっ、なんですの、これは……」

 ミーア一行を出迎えたもの、それは、七色に輝く木でできたアーチ状の門だった。

 ……まぁ、それは良い。町の入口に門を作るのは、まぁ、おかしなことではない。けれど、その門、遠目にもわかるほど磨き抜かれ、七色の輝きを放っているのが、実になんとも気になってしまう。しかも、表面には極めて精緻な彫刻がされていて……。

 ――この……なにやら、背中に羽が生えている天使は……いえ、でも、まさか、ねぇ……。

「おお、この門、素晴らしい仕事がしてあるな。これは、ミーアではないか?」

 背後に立つ父の声が、ミーアのすがろうとした希望を粉々に打ち砕く! そうなのだ、その天使の表情、髪形なども実に上手くミーアを表現していて……。

 皇帝マティアスは、七色に輝く立派な門を見て、ニコニコと上機嫌に笑った。

「こちらは、ルールー族より寄贈されたものでございます」

 門のすぐそばから声が聞こえた。そちらに目を向ければ、見覚えのある少年がそこに立っていた。

「あら、あなたは……ワグルではありませんの?」

 新月地区で出会った、ルールー族族長の孫、ワグルは嬉しげな笑みを浮かべて頭を下げた。

「おひさしぶりです。ミーア姫殿下!」

「ふふふ、そうですわね。ずいぶんと、背も伸びたみたいで。立派になりましたわね。元気そうでなによりですわ」

 ミーアは愛想よくそれに応えてから、

「それでえーと、この門のことなのですけど……」

 早速、本題に入る。

「はい。ルールー族の者たちみなで造りました。ミーアさまが以前ここにいらっしゃった時の出来事を刻んであります」

 じゃあ、この羽はなんなんだ! っと問い詰めたいのを堪えつつも、ミーアは言った。

「そ、そう。ルールー族のみなさんが……しかし、ルールー族にとって、この木は神より与えられた財産なのでは……?」

 ミーアの記憶が確かであれば、あの木は戦争の原因にもなるほど、貴重なもののはず。そのような木で門を作るなど、良いのだろうか? と疑問に思うも……。

「はい。大恩あるミーア姫殿下へのお礼の気持ちを表すために、最も大切な宝をささげさせていただきました」

 それから、ワグルは、ちょっぴり照れくさそうにはにかんで、

「そこのミーアさまの彫刻は僕が彫りました」

「まぁ! そうなんですのね……」

「はい。ミーア学園では、木材の加工について学んでいて……。ルールー族に伝わる技法と帝国式の新しい技法について学んでいます。先日、筋が良いって褒められました」

「確かに、この彫刻は見事な出来ですものね」

 まぁ、その、なんというか……若干、ミーアが飛んでいるように見えるというか、見ようによっては天使か妖精に見えてしまいそうなのが、少々気になるところではあるが。

「むっ? ところで、この弓矢を射かけられているような、彫刻だが……これは、以前、ミーアが来た時の記録ということだが……ということは……」

 眉を顰めるマティアス。それを見たミーアは、慌てて口を開く。

「と・こ・ろ・で! その門の上のほうに書いてあるのはなんですの……? ええとなになに……Forest New Yard ミーアランド……?」

「この場所の名前です。学園都市聖ミーア学園はあくまでも全体の名称。学園部分ではない、こちらの町には独自の名前を付けるのが良いのではないかと……。みなは略して、皇女の町(プリンセスタウン)FNY(フニィ)ミーアランドと呼んでいます」

「フニイミーアランド……。まぁ、フォレストニューヤードというのは、森にできた新しい町と言う感じではありますけど……ミーアランドというのは、いかがなものかしら?」

 それに、略し方が、こう……フニィッとしてる感じが、いまいち不吉と言うか……。

 思わず、二の腕を確認するミーアである。が……。

「この町は、ミーアさまによって造られた町なので……。そう名付けるのが適切なのではないか、とみなが言っています。それに、聖ミーア学園と対になる町なので……、ミーアさまのお名前を冠するのがよろしいのではないか、と……」

 そうまで言われてしまえば、ミーアとしても言い返すこともできない。ただ、一つ、疑問があったのは……。

「ところで、この命名をしたのは……」

「ベルマン子爵です。町を建てる資材のお金はベルマン子爵が出されましたから。もちろん、僕たちルールー族も賛成しましたけど」

「うむ、ミーアランド。ミーアの国か。なかなか良いではないか!」

 皇帝マティアスの満足げな頷きを横目に、ミーアは、ぐぬぬっと胸の内で歯ぎしりする。

 ――おっ、おのれ、ベルマン子爵。まともな方かと信用しかけたところで、この仕打ち……許せませんわ! これは、過去のあの方を思い出させますわね!

 チラリ、とそちらに目を向けると、んっ? と小首を傾げるエメラルダの姿が見えた。目が合ったことが嬉しかったのか、ひらひらっと手など振っている!

 まぁ、それはともかく……。

「え、えーと、それは、ともかく学園のほうに向かいましょうか」

「ミーアよ、せっかく、ベルマン子爵が建設した町だ。まだ完成していないとはいえ、見てやらねば可哀想ではないか」

「いや、しかし……」

 っと、ミーアはヴェールガから来た一行のほうに目を向けた。

 立派な門の彫刻に興味津々の子どもたち。それを見て微笑ましげな顔をしているユバータ司教とリオネル、レアの兄妹……否! リオネルは、むしろ、その彫刻の仕上がりに関心があるらしく、ワグルから熱心に話を聞いていた。年が近いワグルがそれを作ったことに、衝撃を受けたようで……。

「これと同じものをラフィーナさまでも……」

 なぁんて話が聞こえてきたりしたが、まぁ、それはどうでもよくって。

 ――ふぅむ、確かに、町のほうにも興味があるかもしれませんわ。まぁ、皇女の町とか、ミーアランドとか言っても、基本的には普通の町でしょうし……それならば、まぁ、行ってみても、よろしいかしら……。

 ミーアは深々とため息を吐き、

「まぁ、そうですわね。みなさんも興味がありそうですし、それならば、少し寄って行きましょうか」

 仕方ないな、と思っていたミーアであったが……町に入ってしばらくしたところに建っていた建物の前で、思わず口をあんぐーりと開ける。

「……こっ、皇女ミーア……記念館?」

 ちなみに、ベルマン子爵肝いりの建物である。

名前の由来は、某有名遊園地ではなく、かつて伊豆にあったテーマパークです。

四輪バギーが上手く運転できなかったけど、楽しかった思い出……。

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― 新着の感想 ―
[一言] おかしい。 昼間の描写なのに何故かエレクトリカルパレードの音が頭を離れない。 前コメにあるギロちんはマジで実装したほうが良いのかもしれない。
[良い点] まさかの F N Y 凄い……称えてる一方、街全体でミーアをdisりに来ているかのようです…w [一言] そして、町のシンボルキャラクターとして登場するのは、やはり…… ギロちん「やぁ」…
[気になる点] ワーグル君が将来ミーアお抱え彫刻家になりシャガールさんとの合作のミーア彫像がティアムーン帝国他に広まり更に今回ミーア学園で学んでいるエシャール王子とリオネル、レア、司教が話したら既にエ…
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