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ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~  作者: 餅月望
第九部 世界に示せ! ミーア学園の威光を!
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第七話 進め! ハンネス探検隊!!

 寮内の迎賓室にて、ミーアたちは、ハンネスを迎えることになった。

 ちなみに、パティはもちろん、ベルとシュトリナも同行している。

 シュトリナは、蛇関連の助言をもらうため、ベルはハンネスの冒険譚を聞くためである。

「ご機嫌麗しゅう、ミーア姫殿下。ご令嬢方も……」

 やって来たハンネスは、深々と頭を下げる。相変わらず、その姿は若々しい。ミーアの父より年上とはとても思えない。せいぜいが二十代半ば……場合によっては十代に見えそうなほどに、若々しい生気に溢れている。

 だからだろうか、ハンネスとパティを見ると、親子、もしくは、年の離れた兄妹に見えるので……。

「お元気そうでなによりです。姉上」

「ハンネス……ここでは、蛇の監視があるわけではないのだから、別に、お姉ちゃんって呼んでくれても……」

 そんなやり取りを見ると、一瞬、頭が混乱してしまうミーアであったが……それはさておき。

「ご機嫌よう、ハンネス大叔父さま。歓迎いたしますわ」

 ニコやかに微笑みながら、お茶菓子を勧めるミーア。ちなみに、それは、ラーニャ姫が市場で見つけた、南国のドライフルーツだった。

 本来は赤い棒状の果実らしいが、皮をむくと中からは白い果肉が現れるとか。

 果肉を薄く切って干したものは、少々、黒ずんではいるものの、大変甘い代物で、ミーアのお気に入りになっていた。

 早速、それを口に入れつつ、ミーアは尋ねる。

「それで、今日はどのような用向きでいらっしゃいましたの? 例の、ヴァイサリアンの故郷、霧の海の話かしら?」

 水を向けられて、ハンネスは少しだけ真面目な顔で頷く。

「ええ。その霧の海のことです。ええと……あの、ヴァイサリアンの姉弟は、ご一緒ではないのですか?」

「ああ、ヤナとキリルですわね。ええと……」

 っと、ミーアの意を汲んで、ササッと出て行ったのは腹心のアンヌである。数分後、ヤナとキリルを連れて戻って来たアンヌは、ササッとテーブルの上のお茶菓子を確認。お皿が半分空になっているのを見て取って……。

「ミーアさま、食堂のスタッフの方に聞いたのですが……今夜のメニューは十種のキノコシチューだとか……」

「ほほう……!」

 ミーア、すかさず、お茶菓子のお皿に伸ばしていた手を引っ込める。そんな主従の愉快なやりとりを尻目に、ハンネスは話し出した。

「やはり、ヒントはあの曲でした。それも後半の……君が歌ってくれたところだ」

 それから、ハンネスはヤナのほうに目を向けた。

「君の母上は、やはり、ヴァイサリアンの族長の直系に近しい人だったのだろう。本来の音階とヤナ嬢が歌ってくれたもの、その差から導き出された数字が大きなヒントだった」

 言いながら、ハンネスはテーブルの上にガレリア海の海図を広げる。

「初代皇帝の碑文がある島……現在、ヴェールガの調査団が拠点として使っているあの島が、ここです」

 ハンネスは、地図の一点を指さし、

「ここを起点として、音階から導き出された地点を算出し……」

 っと、指で印をつけていく。

「さすがは海洋民族と言われるだけあって、彼らの測量は恐ろしいほどに正確でした。あるいは……それもまた蛇の知識なのやもしれませぬが……」

 難しい顔でそう言ってから、ハンネスは首を振った。

「ともあれ、私と、ヴァイサリアン族の精鋭船乗りは、ついに辿り着いたのです。霧の海……ヴァイサリアンの隠れ里へと!」

 そうして語られるは……ベルが目を輝かせる大冒険だった! 大冒険! だった!

 上陸したのは、数多の船が沈む死の海岸線。幽霊船と見まごうばかりの海賊船を横目に、ハンネスたちはゴツゴツとした岩場に上陸。黒い岩を踏み越えて向かった先は、霧にけぶる森だった。

 グネグネと人をからめとり、食べてしまう食人植物! 人体ほどの太さがある大蛇! 船を丸呑みにするほどのワニが闊歩するその森を抜け……さらに、太い川では巨大人食い魚を殴り飛ばし……っと、そこまで聞いてミーアは……そーっとパティに耳打ちする。

「パティ……その、あなたの弟って、もしかして、少しばかり話を盛る癖があるのではないかしら?」

 パティは、パチクリ、と瞳を瞬かせてから……。

「……いい子だけど、少し、調子に乗りやすいところは否めない……いい子だけど」

 なぁんて言っていた!

 ハンネスの話を五割引きで聞くことに決めるミーアであった。


 さて、ハンネス探検隊は、ついにヴァイサリアンの隠れ里に辿り着いたのだという。

「里というよりも、そこは、一つの都と呼んでも差し支えのない場所でした。石造りの家が建ち並び、神殿のような建物もある、まさに王都。ですが、そこはすでに人が住まなくなった、死の都でした」

 そうハンネスは、沈んだ声で言った。

「生き残りがいれば話を聞くこともできたのでしょうが……ただ、新しい発見もありました」

「と言いますと……?」

「いくつかの文書が、発見されたのです。神殿の地下に続く迷宮で……」

 やや熱っぽい口調で語られる冒険譚。熱心に目を輝かせるのは、ベルだった。

「おお……すごい。いつか、ボクも……」

 なぁんて、熱い吐息をこぼしているが、まぁ、それはともかく……。

「地下迷宮の奥深くにその古文書は残されていました。陶器の瓶に入れられていたからでしょうか……。保存状態は良く、十分に読むことができるものでした」

「まぁ! それでは……」

 とそこで、ハンネスはゆっくりと首を振った。

「もっとも、解読はできませんでした。それは、今は使われていない、古の文字によって記されていたからです」

「古の文字……?」

「はい。古代帝国語でもなく、ヴァイサリアン族の伝統的な文字とも違う。大陸共通語とも異なる古き文字です」

「未知なる言語……」

「もしかすると、あの「地を這うモノの書」の原文ということもあるかもしれません」

「もともと水土の薬の作り方は、蛇の者たちが知っていた……。それが、地を這うモノの書の原書に近いものだとすれば、手掛かりはあるかもしれない」

 しかつめらしい顔で言うパティに、一つ頷き、ハンネスはミーアのほうに目を向けた。

「そこで、ぜひともラフィーナさまにお力添えをいただきたいと思いまして……」

「あら、ラフィーナさまですの? それはどのような……」

 突然のことに、ミーアは首を傾げる。っと、

「ヴェールガ公国は、中央正教会の本拠地。古の時代より、地を這うモノの書に対抗するため、その全容を明らかにするために、各地の古文書や知の集積に積極的であったとお聞きしています。そして、中央の図書館には、地を這うモノの書の写本のような、危険性の高い書物も焚書にせず収められ、研究されているとか……その図書館に、発見された文書の解析をお願いしたいのです」

「なるほど……ヴェールガ公国の図書館……ふむ?」

 聞き覚えのあるその施設に、ミーアは思わず首を傾げる。

「……それは、もしや、パライナ祭と関係が深い神聖図書館のことかしら?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] もしも、パティ(パトリシア)が現在も存命だったら……? ミーア「ええと、どちらが(過去から来た方の)パティでどちらが(現在の)パトリシアお祖母様なのかしら?」 パティ&パトリシア「「………
[良い点] 「っと、ミーアの意を汲んで、ササッと出て行ったのは腹心のアンヌである。数分後、ヤナとキリルを連れて戻って来たアンヌは、ササッとテーブルの上のお茶菓子を確認。お皿が半分空になっているのを見て…
[良い点] >>「ハンネス……ここでは、蛇の監視があるわけではないのだから、別に、お姉ちゃんって呼んでくれても……」 やはり親子なんですかねえ……? つまりミーアも後々子供達や孫達に同じ事を言ってし…
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