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異星探索はチャイムのあとで  作者: 123456789
第1章。入試
3/12

[003]3月の№3。デスゲーム試験

 明け方、猪の肉、野菜、サボテン等の料理を食べる、決して不味くはないが、むしろいつもなら喜んで食べる様な美味しい物ではあったが、白米がないためにテンションはガタ落ち、アジア系の者は米と言う呟きをしない者は皆無だ。

 本気でボスを倒さないと、食料の事から全員がぶっ倒れてしまう、特にコメ文化の所は米がいかに手間暇がかかる者かも知っている、この為に栽培とまず困難だ。この為に何処かにいるかもしれない米をドロップする夢のエネミーを探しに行くものも多い。

 逆に欧州系なども、食文化もあるのだが、美味しい料理はまず我慢してでもボスを倒そうという事になった、アフリカ系、南米系などもボスを狩ると言って飛び出していく。

 しかしボスの所在は依然として不明、虱潰しに探し、エネミーは乱獲もいいところでもあるが、ポップするので発見次第に狩り、特にボアに関しては兎に角に狩られる

 食材の為にひたすら狩る、試験の前に昼の食事である。

 中等部の試験生たちは、同じ様な者同士組、簡単なボアではなく、攻撃してこない防御草を中心に狩り、最弱のサボテンも狩っていた、スライムは人気がない、どこも無視であった。


 昼食、既に種族の垣根が食事の事で減少し、共同の屋台村は大繁盛である、一行の好きな料理を求め、アーライルの料理人に作ってもらい、相変わらずに香辛料たっぷり、懐かしい飽食の時代を彷彿とさせる料理だ。


 サボテンの花弁の紅茶を啜りながら、密かに購入していた角砂糖を混ぜ、ホッと一息の時間、姉妹の方はやはり日本食の方が大変にお気に入りらしく、どこから購入したかも謎な肉の串焼き、葉野菜のポタージュ、葉野菜の野菜炒めだ。


 味付けとはわかるが、異星にはない醤油なども特に人気で、甘醤油の料理は直ぐに売れる。

 昼が終わり、直ぐに狩りに行く、動物の猪を運よく見付け、ふと考えてから攻撃を止めた。


「これって捕獲とか」

「捕獲?えーと」

「捕まえてからの丸焼きとか」


 仲間から親指が立てられた、二人が捕獲するために接近するが中々に難しい。

 一度は断念し、コンビニに行き、何かとお世話になる店員の説明したら、猪をくれる条件の下で交渉が成立し、狩猟用の銃と専用の弾薬をくれた。

 これで狩ると、イノシシが捕獲でき、何せ電撃で痺れているのだから容易く捕獲できた、これを店員に提供し、この話を広めてもよい許可を取ってから、直ぐに連絡し、銃使い達が近くのコンビニなどに入り、狩猟用の銃、専用の弾薬を購入していく。

 この学府らしき建物周辺の人々の食糧事情も悪化しており、生産の代表のロウや、異星人の生産の代表のタスクなどが交渉し、こちらにも食糧供給が始まる。

 データの世界かも知れないが、一人一人が試験に受かるために努力しており、またどんな者もソロでは無理と理解し、協力し合う関係が出来ていた。

 この為に狩猟用装備があるのなら、植物用の装備もあり、こちらの植物用が大量に売れる、どちらにも対応していないサポート機能を有する物もある為に、誰もが一喜一憂状態だ。

 

 農業スキルを持つ者達が結成した農協のおかげで、生産体制が次第に整う、また牧畜スキルを持つ者が起こした牧場協会の牧畜の猪により、豚が作られ始める。

 これに対応し、裁縫師達が毛皮などから色々な服を生産し始める、アキラもそんな裁縫スキルを持つ者の一人だ。興味が湧いて時間を作っては協力していた。

 料理スキルを持つ夕霧、美姫、調合スキルを持つ光姫、これらの活躍もあるが、俺の持つ生産スキルは唯一つ、何の役にも立たない付与なのだ。


 そんな不遇の生産スキルを持つ者達が起こした不遇改善協会、名前からして痛さ全快ではあるが、不遇スキルを持つ者達が集まり、いかに活躍できるかを考えていた。

 付与唯一の初期レシピ、マジック、物に魔力を与える、当然のように物が無くては何の意味がなく、対応した物以外には応じず、応じても使えるかどうかもわからない。

 地球側の魔法に関係するスキルはそんなもので、異星人側、主にWHO人の所では人気がある為に、紹介されて一人の付与術師の元に来た。

 名前は日本名でいう楓、WHO人などは日本名が好みらしい。

 アーライルの男性らしく、理知的な瞳をした青年だ。


「初めまして、僕はシュア」


 言い終えてから相手の目を見てから頭を下げて一礼してした。


「プレイヤーネームの方が良いとはわかっているのだけど、君達はとても興味がある、特に君のような異星人とも好んで付き合うとする変わり者は特に興味がある」

「一応、プレイヤーネームはスカオ、本名は祢津塚 須阜です」

「ありがとう、しかし僕は男性型なので求婚はなしで頼むよ」

「挨拶が求婚になるのですか?」

「・・君達では違うのか?」

「ええ。普通名乗る時は本名です」

「・・随分と僕らとは違うね」

「うーん。あれですね正真正銘の異文化ですね」

「全くだよ。何せ僕らは母なる星が違うからね。色々と聞きたいけど、まず付与の基本だ」


 教わる事は一つの瓶、その中には液体があり、楓は一般的な水、単なる水道水らしい、これに付与のマジックを使い、マジックボトルを作る。

 これは簡単なMPポーションにもなり、敵にぶつける攻撃用になればMPを減少するものにもなる、つまり付与というものは魔力その物を操る系統のもので、才能が持つ者は必ず付与術師に望まれる有望な職業らしい。


「さて君の番だ」

「ではまず簡単な物ですが、このルーペでこの用紙を焼いてください」


 渡された物を見て、楓は困った顔で居た。

 簡単な科学の実験でも、この異星人の惑星には科学文化そのものが縁がない、機械を扱うのにも四苦八苦するぐらいだ。機械の乗り物と言われればまず乗る者はいない。


「降参だ」


 受け取り、窓に近付けて陽光の収束でルーペを使い収束率を上げ、中央を焼いて穴をあけて見せた。


「・・・なんで光が穴が」

「温度です」

「温度?」

「太陽の光は、普通に受けるのなら大したことはない、むしろ必要になる」

「ああ」

「だが太陽の光には気温を上げる事が可能なのはわかりますよね」

「勿論だ」

「ならこの光を一つの集めたら、星を温めるような光が一か所に当たればどうなります?」

「膨大な力が一か所に当たれば、そう言った穴が開くわけかい?」

「いえ灼けたのです。光熱により穴に当たる個所が燃えて、結果として穴が開く」

「なるほど、しかし問題もある、それから言うのならなぜ星は焦げない」

「何故と思います」

「多分の大気だね。何せ湿る場合もある、空気は恐らく水分を含む」

「正解です。正確には色々と有りますが、難しい物は省くと大気があるから、この大気とは難物ですよ」

「なるほど、やはり地球は進んでいるが、付与の基本すら知らないのに変な話だね」

「俺からしても似た様な気分なんですがね」

「ありがとう。実に面白いよ。やはり地球人は興味深い、きっと僕らの知らないとを沢山知っている、これは早く合格しなくては」

「じゃ俺はここら辺で行きます、何か仕入れたらまた来ますよ」

「ああ。楽しみにしている」


 仲間の元に戻り、水道水と瓶を使い実験し、マジックボトルが作られる。

 ▽[詳細]

 名称 ポーション 種類 薬品

 等級 通常級 耐久度 1/1

 品質 ☆×1 完成度 1

 効果

 MP回復+10:MP微弱回復

 ▽

「ひとまずは成功か、大変だなこれは」

「マジ?なにあんたがこれを作ったの?」

「ああ。楓から教わったMPポーションだ」

「誰?」

「アーライルの男性、俺の先生だ」

「あー。なるほどね」

「言われたよ付与の基本も知らないのにって、代わりにあちらは光の収束も知らなかったけど、お互いの技術体系が全く別物なんだ」

「・・・それって大変な事になるわよ」

「だろうな。今その大変な事を贅沢にも知った」

「そう、ね、私も付与を取ろうかしら、こんな便利なスキルはないわ」

「魔法スキルがあれば喉から手が出るぐらい欲しいと思うぞ」

「そうよね。まっ仲間に使い手がいてよかったわ」

「ああ」

「その楓って人は」

「アーライルの男性、珍しいとは思ったけど、あと本名での挨拶はあちらの求婚と同じらしい」

「はぁ?求婚?」

「普通に挨拶したら、彼方ではそういうふうに解釈されるって」

「・・さすがは異文化」

「訳が分からないが、本名での挨拶は辞めていた方が無難だ。たぶん本名を聞かれたら困る事になるぞ」

「ああまあそうね。求婚しても好いですかって事になる訳だし」

「それとなんか異星人の所って男性が少ない、たぶんナンパとかするのも女性からだ」

「どこの国よ、まああちらは女性が多いってことは女性社会なのかもしれないわね」

「同じ文化じゃないから一概には言えないが、たぶんそうかも知れない」

「下手したら男性活動家も居そうね、こちらの女性権利活動家とかいるわけだし」

「多分いない、男性の権利というものが抑圧されない限り、どちらもが共に尊重するのなら特に問題視する人自体が恐ろしく少ないからだ」

「それって」

「楽園ではないけど、近い社会を形成していると思う、何せ彼らにはスキルがある、素材とレシピさえあれば工場なんて要らない、そうすれば生産体制は劇的に変化し、より効率化し、これにより社会は劇的な効率化を生み、結果として地球人の科学文明なんて鼻で笑われてもおかしくないぐらいのレベルに簡単に到達する、何せ大量生産が一人で済むのだから当然だ」

「大変な時代になったわ。まあ地球がどうなろうと知った事じゃないけど、さらば我が母星よっていう訳にもいかないしね」

「彼ら一人一人が工場であり、一人一人が違った形での専門家でもあり、一人一人が開発者でもあり、発明家でもあり、恐らく宇宙の種族の中でも1,2を争う様な種族なのだと思う、特に生産に関しては何処にも負けない」

「ええ。でも割と良い人達って思うわ」

「同じだ。彼らは俺らに興味があり、俺らは彼らに興味がある、これが尽きるその日まで続く関係でもある、彼らが良き隣人ならば特に問題はない、彼らの様な人達なら俺は別に仲良くしてもいい」

「OK」

「で、そっちは」

「裁縫って奴は有るけどね、スキルで大量生産が簡単に出来るのよ」

「だろうな」

「しかも熟練度が上がるにつれての完成度の向上、これにより本人が開発し、レシピに登録、スキルにより大量生産を繰り返し熟練度を上げる、これらによる生産用経験値でスキルLvを上げる、これを繰り返しているたけで上がる、でも裁縫って簡単そうで簡単じゃない、一人一人のデザインの閃きとかもいる、用途に合わせた色々な工夫もいる、要するにマイ工場がある普通の人ね」

「そのマイ工場が問題とは思うが、あえて言うまい」

「ええ。だからデザインの勉強は重要、今頃裁縫師のデザインについての語り合いが開かれているわ」

「それはよいかも」

「はいはい。あんた好みの服装とかも適当に用意するわよ」

「おう。その分安くなるのか」

「当たり前じゃない、何せマイ工場があるってことは工場のオーナーよ?」

「おお。オーナー」

「あんたの場合もあれね。付与師工場持ちよ」

「だからこそ思う、プレイヤーになるって意味」

「不死性を手に入れるとか?」

「不死性を持った工場、それってなんだって」

「・・・・考えない方が良い事も有るわ」

「ああ。そうしよう」

「もし考えたくなったら誰か親しい人を呼びなさい、その内気付くとは思うけど」

「怖い事なのか?」

「私には別によ。でも地球の人達にとってみればどんな風に映るかしらね。永遠に生きる工場が、何万って現れるのは」

「地球産業が壊滅的な打撃を受けるな」

「ええ。だからこれは多くは言えないわ」


 そこに夕霧と二人の共闘仲間が来る、三時のお八つには、砂糖と醤油を混ぜた甘辛風のソースの掛かった猪の生肉、香辛料たっぷりのサラダのセットだ。

 すでに生魚の事もあり、寿司の事もあり、現在は生肉の時代、特に捕獲した猪の生肉が飛ぶように売れ、醤油で食べられるのが一般的になりつつあり、異星では甘辛が流行はじめ、これを睨んでレシピ開発も急がれる。

 三名が座り、マイハシに依っての三時、ちなみに俺とアキラの分もあり、こちらは醤油と山葵と生姜だ。


「頂くとしよう」

「いいですよね。日本文化って」


 姉妹はファーストコンタクトもあり日本文化が大変のお気に入り、特に庶民の食文化は大好物、隙あれば食べようとする。

 ちなみに姉妹は山葵よりも生姜の方だ。


「じゃ食べよう」


 五名で食べる、猪の肉は硬い様な感じもするが、丁寧に解され、軽い湯通しもされ、食中毒の危険性はない様子だ。

 食べてからトレイなどは返却し、アルバイトなら常時募集し、特に洗濯や食器洗いなどが可能な家事スキルを持つ者は退く手遍くの生産スキル持ちだ。

 歩く工場の中でも家事スキルは名前こそ地味ではあるが、男女ともに取りたい生産スキル№1に沸くものだ。何せスキル一つで清掃、スキル一つで洗濯、スキル一つで食器洗いが可能なのだから、それは欲しくもなる。

 色々なスキルが色々な発想な利用価値の発見から、多くの不遇スキルが消えていた。


 特に生産スキルと生活スキルの組み合わせは最強無敵、生産の補助的な生活スキルを使う事でカスタマイズ性が飛躍的に向上し、この組み合わせにより膨大な組み合わせがあるが、これらの一つ一つの組み合わせなどの発見した情報には、高額な報奨が支払われる、所謂の報奨制度だ。


 俺が発見したそこそこの物にも相応の報奨が用意されるが、今は後という事になり、俺も特に急ぐ理由が皆無なので後回しでよいと納得していた。

 そんな時に先生から呼び出しを受けた。


「ちわー」


 中に入ると、さっそく実験をしている楓に挨拶し、気付いた楓も実験を中断し、とある本を差し出した。


「正直に言うよ。僕は地球が大変気に入った、この惑星の人達は僕らにはないものを沢山持っている、話を聞けば聞くほど行きたくなる、知りたくなる、まるで付与に出会ったばかりの僕になった気分で、胸が躍る、その君へのお礼だ」


 そう言われたら受け取るしかない。


「それは僕の付与の知識全てがある本だ。生産系クラスにある師弟システムによる唯一絶対のもの、レシピ継承だ」

「・・ありがとう。楓は友人だな。しかも俺とよく似ている」

「そうだろうね。君は何に胸が躍ったんだい」

「冒険、未知の事への挑戦、その全てに対する渇望」

「とても良く似ているね僕らは」

「俺達も話していた、この人達は良き隣人になる、でも互いの事を知らない、でも興味がある、とてもある、でもよくわからない」

「同じだ。全て同じだ」

「地球にはないもの、それは極めて世界を変化させることが可能なスキルというものだ。この一つの生産スキルにより地球があっさりと滅ぶ、それは生命が失われるわけではなく、地球が長い年月かけて構築した文明を維持する生産体制が壊れる事を意味する」

「・・・なるほど、君達はそれでも僕らと付き合う道を選んかい」

「ああ。なぜならユニークだからだ。たぶん地球の人達は怒るが、それを悪く言うつもりはない、彼らにも生活があり、彼らにも護るべきものがある、それをバカは出来ない、でも同じように俺らにもある、互いに大切な物が有るのならなるべくは尊重してほしいと思う。

 地球の文化でいえば相手を殺してしまえという考えと、そんな人々の国を滅ぼしてしまえという考えがある、これは避けようのないものだ。きっとそれをするだろう。それは止めようがない、だがいつかは辞めなければならない、最低でも互いに生きられる範囲で控えるべきだ。今ではない先にそれがあると信じている」

「君達の先に星の導きが有らんことを」

「貴方達の先に良き日々がある事を切に願う」


 真面目な会話が終わり、直ぐの技術の話になる、何せ互いに違うために興味がない事がないのだ。まずは共通の文化である料理だ。

 なぜ料理なのかと言うと、まずは地域性、人が構成するに足りる栄養学、人が楽しめる娯楽性、人が好む趣向性、これらが集まった物、それが料理だ。

 一つの料理に代表される物、毎日のように目にするもの、それは主食だ。

 日本でいうのなら米であり、このコメの品種の改良は長い年月行われてきた、もし日本の行政がこれを知ったら喜んで提供すること間違いなしだ。何せ地球の嫌われる者とつるんで旧体制の政府を打倒したのが今の行政府だ。その為に全ての国との国交断絶、孤立無援となるも、嫌われ者達との協力によりひとまずは国防を整え、他国の闇から徐々にこちらの側へとシフトさせるために数多い暗躍を行う。


 卑劣かもしれないが、侵略された殺されるよりははるかに理性的だ。確かに中には殺されてもよいと考える人も僅かにだがいるが、そうでない人の方が圧倒的多数なのだから、多数を守るために軍は頑張るしかないのだ。

 友人の楓に、これを上手くは説明できないが、米という植物を通し、様々な情報を提供し、楓は米というものが分からないので、連れ出した日本料理の出店に行く、このコメに詳しい寿司屋、卵の握りを頼み、これを楓に見せた。


「卵、海苔、シャリだ」

「シャリ?」

「すし飯、寿司の為の作られた専用の米だ」

「専用?じゃこれは」

「俺達の祖先が長い間に米を研究し、その子孫達が発展し、さらに改良を重ね、気の遠くなるような歳月の中で発展した物、それが米だ」

「・・・途方もないけど、食品一つにそれだけ拘るの」

「その点については日本文化の研究者に聞くしかないが、東アジアで暮らす者は基本的にコメを食べる、それも一生、毎日三食位、東アジアの人口は凡そ15億人」

「・・・・15、億人?」

「沢山いるのさ。それこそ履いて捨てるほどに、日本人はうち1億人ぐらいだ。15名居たら1名は日本人だな」

「・・1億」

「気の遠くなる話ではあるが、そんな東アジアの人々の主食の米、これがどれほどの価値があると思う」

「一人一杯、毎日三食、これが1年、それが日本人だけで1億人、うん凄く価値がある」

「ああ大変な価値がある、そこでこの一つの値段は」

「1000コイン位?」

「いやスキルによって劇的に安くなり一貫辺り2コインだ」

「・・・2コイン?でも」

「より良いものをより安く、これを考えて生きてきた人たちも多い、その為に生産体制なんだ」

「なるほど、確かに日本人ですらそうなのだから、確かに生産体制を脅かす僕らを好むはずもない訳か」

「そう、確かに日本はあれだが、問題も多い、だが食を失えばその地域の人達は餓死する、食文化を守るという事はその地域の人々を守るという事にも繋がる、逆に食文化の発達が望めるのなら、互いにとってみても良好な関係の一つとなる」

「なるほど、ユニークだね。実に興味深い、ところでどうやって食べるんだい」

「醤油は使ってみるか」

「醤油?ソースの事か?」

「ああ。これだ」


 取った醤油を見せる、醤油皿に入れてみる、楓も一口取って舐め、塩辛そうだ。


「塩辛いけど、これは美味しいね」

「この醤油はそう言った美味しい物を凝縮したソースだ。いつか作っているところにでも行こう」

「おおそれはいいね。問題は、分量的には」

「こればかりは好みだ。俺的にはすし飯のシャリに少しつけて食べる」


 楓も試し、それから食べる、一言で言うのなら凍り付き、その後に丁寧に味わって食べる、美味しい物をあっさりと咀嚼して飲み込める訳ではない。


「甘い卵、海苔は淡白、シャリは不思議な味だ。醤油と言うソースとの相性はよく、なるほど、組み合わせというものか、確かにこんな物が食べれるのなら大金は払われる、なのに2コイン?」

「ネタ、卵の様に乗った物、これが大体1コインだ。海苔の方は一応1コイン」

「4コイン?こんな物が4コイン、地球人は少し頭がおかしくないか」

「普通ならいくらと思う」

「もし僕なら最低でも1000コインは要求するね」

「だが地球なら珍しくもないものだ。それも日本と言う国なら40枚のコインで食べられる」

「・・・どうなってんだい君の地域は」

「妙な話だろ。だがこの醤油の方はもっと奇妙だぞ」

「恐ろらしく食に対する拘りが強いんだね、それもそうか、だって毎日食べるものが安く、簡単に、美味しく手に入るように努力するのが当たり前の地域だからか」

「そう正解、その為に巨大な組織を作る事も多い」

「凄いね日本って、食一つの為に巨大組織、しかも1億人もいるから当然のように数も万単位、更に多いってことは複数、それも文字通り多いという事だよね。その巨額をどこから持ってくるんだい」

「その為に色々な人達が、税金ってものを研究し発展させてきた、これを使って様々な事を行う、食の安全に、食の流通に、この仕入れに、この調理に、この為の店の維持に、この為に組織の為に、この為に公務の為に、それはもう」

「農家は」

「1年に一回ぐらいの収穫ではあるが、やはり数多いな、今でも沢山の農家がある、今では整理された利益追求組織もある、これを企業と言う」

「企業、食の利益追求、なるほど、ここでいう食材ハンターの様に利益を得る為に農業の一つの集団を組織し、この追及のために努力する、そうすれば自分達への資金も溜まる、それをどんどん増やし、これを使って様々な事を行う訳か、興味が湧く事ばかりだ」

「色々と有るが、もし学府に合格出来れば、俺から贈り物がある、とある本だ。たぶん一生かけても読めないとは思うが、俺は全く惜しくはない」

「・・・知識?」

「ああ。もしよければ俺の従兄を紹介するよ、そう言った知識を集めるのが好きで好きでしょうがない科学者だ」

「是非会いたい」

「今は大学の試験で恐らく合格するよ」

「・・・よし」


 楓が別れを告げる前に、もう一つの卵のネタ握りを食べてから別れた。

 同じタイプの為に兄とは気が合う、俺も冒険が好きでたまらないタイプだからよくわかる、楓の事である今の内に準備を進めるだろう。兄の事である会えば時間が経つのを忘れて知識の語り、また相手からも聞きたがるだろう、当然のように実験もするだろう、弟の俺に依頼し、あれを取ってこいとかこれを使えとか言うだろう。

 それは必然的なものだ。

 満面の笑みで仲間の元に戻り、楓の事を話した。


「ああ。時雄の同類ね」

「時雄そのものですよ。似た者同士です」

「きっと二人は良い友人に成れるよ、何せ似ている、興味も全て同じ、似ていないとすると生まれと育ちと容姿位だ。多くの人は全く違うというけど、知れは同じと思う」

「また四人で遊べると好いわね」

「いえ楓さんも加わると思います」

「時雄の良き相談役ね。喜ぶわよ、だって時雄の話は長いから誰も聞きたがらないし、本人は短いというけれど、まあ本人なりの悩みねきっと」

「良い話でもある、生産の方はどうする」

「レシピ継承ね。凄いわね、無二の親友って奴」

「種族の壁を突破したもの、たぶん姉妹の方も同じなのでしょう、良い先があります」

「きっと面白い事になるが、危険なものに関しては今後の相談で進めていく」

「それが好いわね」

「いうのもなんだが、楓の名前は知っているか?」

「シェル」

「ああ。あれでも天才の一人だ。そのレシピ一つをとっても巨万の富になるぞ」

「どうでもよい、適当に役に立つ物から先に勉強するよ」

「・・・アーライルの至宝のレシピを役に立つ物とはな」

「そういうものですよ姉さん、彼らからしても価値はあるでも、それを図る為には時間がかかります、長い時間を掛けて月日を重ね、その価値の全てに気付くときには世代を重ねるでしょう、気の遠くなるような時間です」

「えーともしかして凄い人?」

「もし一つの都、この代表と同じぐらいの人です。もしかすれば海一つの代表位の人かもしれません」

「え、偉かったのね」

「彼らに身分は有りませんから理解しにくいものですが、尊敬を集める人と言う意味でいうのなら似た様なものでしょう」

「まずは生産だな」

「でも狩りも必要よ?」

「アキラ、新しい玩具の性能が気になるのを察してあげてください」

「はいはい。男ってガキ」


 □


 不遇改善協会の共同生産室の一つ、付与の為に機材と言うほどではないが、水が使え、これを貯めるボトルがあり、まずは基本的なものだ。

 一つ一つの工程から、一つのマジックボトルを作る、品質はそれほど変わらず、これを協会に販売し、代わりにボトルを購入し、これらを繰り返し、ひたすら生産用経験値と、付与の熟練度、マジックボトルへの熟練度を上げる、これをひたすら行う。

 成功したとしても経験値はたかがが知れているが、それでも手に入る為に安定し、常に性能が向上するために、常に作れば販売できる、これらを繰り返し続け、ついにLvUPの為の経験値に達する。

『個人スキルの具体化をしますか?』

「YES」

『個人スキルへのスキルポイントの前借をしますか?』

「YES」

『個人スキルの通常化を行いました、LvUP可能です』


 Lvを上げる。


『レシピスペル解放』

 ・エンチャクト:物への魔力付与

 ・ドレイン:物からの魔力吸収


「よし、二つの熟練度をまずはあげる事だ」


 物へのエンチャクト、これをドレイン、これらの作業をひたすら繰り返していた。

 レシピのみではなく、このレシピ一つに対する説明まであり、上達に向けての訓練方もびっしりと書かれる、まさしく天才の名前に恥じない努力とこれに対する情熱が垣間見れる。


『熟練度上昇、LvUPしました。ランクアップすれば上位に達します、頑張ってください』


 これらをひたすら繰り返す、単純に基本となるものを徹底的に体に叩き込み、人すらこれら対する造詣を深め、これらの熟練度と共に向上する恩恵たるMPを上げ、ステータスの強化を行う。

 ひたすらこれを繰り返し、時間が経つのを忘れてから腹が減り過ぎてから気付く。


『ランクアップに達しました、エンチャクトへの上位を選択してください』

 ・エンチャクトⅡ:エンチャクトの上位互換です

 ・プロパディ:エンチャクトの属性強化です

 ・マテリアル:エンチャクトの物質強化です

 ・エーテル:エンチャクトの精神強化です

『マテリアルを選択しますか?』

「YES」

『エンチャクトからマテリアルへと派生しました』

『ランクアップに達しました、ドレインの上位を選択してください』

 ・ドレインⅡ:ドレインの上位互換です

 ・プロパディドレイン:ドレインの属性強化です

 ・マテリアルドレイン:ドレインの物質強化です

 ・エーテルドレイン:ドレインの精神強化です

『マテリアルドレインを選択しましか?』

「YES」

『ドレインからマテリアルドレインへの派生しました』


 食事を食べに行く、仲間にも連絡し、共同屋台村の日本食屋台とアーライル食屋台の中間にある席に陣取り、仲間の席も確保、注文を受けていたために注文も終えておく。

 こう言った席の取り合いはグレゾーンの為に、近場の人達への挨拶も欠かさない。

 特に俺の後ろ側の席のロウ達には挨拶し、今日の料理の付いて花を咲かせ、特に日本食とアーライルのコラボによる、アーライル風の猪肉の寿司は直ぐに確保していた。

 仲間の二人は共闘中の二人も来る、注文通りの寿司にはありつけ、今回は食糧事情の改善もそれなりに進み、新種の寿司米が使われる。


「・・何か違うぞ」

「そうですよね。何かなんといいますか」

「一発で当てたら一つ奢るよ」

「・・・海苔?」

「・・・米酢?」

「不正解だ。正解は米だ」


 一口食べるといつもより甘い、何せスキルがあればいくらでも品種改良が出来る為に、より良いものが圧倒的な速さで並ぶのだ。まさに日進月歩だ。

 四人も食べる、同じ感想であるが、光姫はやや不満そうだ。


「別に不満はない」

「硬かったのか?」

「うむ。口の中で解ける様な感覚が好きなのだ」

「今度は調理技術が追い付かないって結果だ」

「なるほど、それは深刻だ」

「だから料理人も、扱う食材の品種改良には参加して欲しいという事なのだ。何せ料理人が多ければそれだけ味は奥深くなる、何せ品種改良は僅かな時間だ」

「うむ。美姫」

「ええ願ってもない事です」

「夕霧は?」

「誘われましたし、美姫さんと一緒に行くのもよいかと」

「よし明日も生産だ」

「そこでなのだが、調合スキルが有るので付与には興味がある、何せアーライルの至宝のレシピがある、これを上手く使えばよい結果になる」

「ならアキラもどうだ」

「OK」

「二組に分かれての生産だな。今日はしっかりと休もう」


 食べてから明日に備えての夜食も購入し、ホテルで休んでから翌朝になってのたまり場のような待合の場所で、朝方の挨拶をかわし、それぞれに別れて動く。

 共同生産室、まずは互いのレシピスペルの確認。

 ▽

 スカオ:付与

 エンチャクト

 マテリアル

 ドレイン

 マテリアルドレイン

 ▽

 アキラ:裁縫

 縫う

 硬い

 切断

 柔らかい

 ▽

 光姫:調合

 液体精製

 アシッド

 ▽

「なぜマテリアルを?」

「俺は魔法が使えないからな、役に立つ物から先って事」

「なるほど、アキラの方も随分とランクアップも済んでいるな」

「縫うという基本、切断という基本、硬いという派生、柔らかいという派生よ」

「なるほど、確かに役に立つが、俺の場合はあれだな」

「「俺?」」

「?一人称だが?」

「さすがは異文化」

「未知との遭遇」

「実を言うと身内からも俺は極少数派なのだ、何せ僕というものは多いが、何故か俺は少ない」

「だろうな」

「地球でも女性が俺と言う一人称はまずないわ」

「理解に苦しむ」

「まっこれ位で始めよう、まずは付与と調合の組み合わせ、これにより複合レシピを作る」

「あれは生活スキルが共にないと出来ないできない筈では」

「楓の頭は冴える、共に生活スキルがない場合も同じ環境であると」

「素晴らしい」

「この為に楓は結構な複合レシピがある、その中でも最も基本的な物、HP回復用のPOT、MP回復用のPOTの合成だ。俺は既にレシピが有るのでそちらを優先したい」

「分かった」


 製造した薬品、HP回復用の薬草と専用の薬品を混ぜて、製造し、これを作った物に付与を与える。

『複合レシピ完成、HP・MPポーション、製作者は光姫、アシストはスカオ、おめでとうございます』

「本当に完成するとは、しかも一度で」

「複合レシピを俺が持っているから高確率なんだ」

「なるほど、次はアキラだ」

「うん。でも何をすればよいか」

「付与は魔力その物を操る系統、物に与えるのが本領なのだ。これらから推測できるアキラの服を製造した後にスカオが魔力を宿し、これで完成だ」

「分かったわ。簡単な物からがいいから、そうねハンカチね」

「了解だ」


 ハンカチサイズの布、これを切断し、針と糸で縫う、この完成した物に付与を行う。


『複合レシピ完成、魔力宿りのハンカチ、製作者はアキラ、アシストはスカオ、おめでとうございました』

「完成ね」

「さてこれで分かったと思う」

「三人で協力して作る物、正真正銘の複合レシピね」

「それでか」

「ああ。楓もこの三種の場合のレシピには大変苦戦したらしい、四種の場合は殆どない、この一つの成功例が、HPポーションの浸した魔力宿りのハンカチにエンチャクトする事により、作られる物だ」

「OK、光姫」

「了解だ。しかしまさか試験でこうなるとは予想外だ実にいい」


 製造されたHPポーション、用意された桶に満ちるまで作り、それに浸す魔力宿りのハンカチに付与を与える。


『複合レシピ完成、ヒーリングハンカチ、製作者はアキラ、製作者は光姫、アシストはスカオ、おめでとうございます』

「本当に完成するのね。なんか夢みたいだわ」

「レシピがあれば50%の成功率を保証する、最高の場合は99%、互いのレシピがあれば100%、スキルのランクが同じならスキル生産も可能だ」

「よし、次は」

「今日の為にと有る鑑定士を呼んである、不遇改善協会も何とか手配してくれた人物だ」


 俺が外に出て呼ぶと、ミツナという地球人の少女は、緑髪を揺らしてから中に入り、作られている物を全部鑑定した、この少女の行う一括鑑定というものがあり、指定した範囲全てのアイテムの鑑定を行う、この為に鑑定士の仕事は膨大なのにこなせる理由がこれだ。


「凄い複合アイテム!?これは特ダネ!」

「落ち着け、他にも製作するので部屋から出て待機していてくれ、レシピの開発現場を見せるわけにはいかないだろ」

「ラジャー」


 部屋から出る、とある知り合いから注意する様に言われた箇所も調べてから問題はない事を確認し、開発を行う。


「まず俺達のPTと共闘中のPTの事もある、一言で言えば戦闘・生産系によくある防御力不足、その他もろもろの不足、これを補う方法がある、それが複合レシピの一つである硬い服、これにヒーリング効果を乗せたヒーリングコスチュームだな」

「ヒーリングハンカチの応用ね?」

「ああ。すべて手作業なのが辛い所だな」

「全てを作るのならね。個所ごとの物なら簡単よ」

「了解した」

「デザインは制服にしよう、何せ偽装できる」

「OKOK」


 箇所ごと制服を製造し、まずは男子の方から、トップスのシャツ、ジャケット、ネクタイ、スラックス、靴下の5種類で、靴は別のスキルの系統に属する。

 この一つである靴下を使い、HP回復用のポーションに着け、成功率が最も高いころ合いに付与を行い、これにより成功し、他の箇所も行う、全て成功した。


「後は帽子と靴ね。そう言えば統一ボーナスって知っている?」

「初耳かな」

「噂には聞くが、どれほどのものかが分からない」

「全てが同じ物を統一して装備する事で得られる補正、同じ製作者が作った全身の装備、例えるのなら防具とか、これを可能とすれば高い補正が付くわ。私も見た物は少ないけど、統一ボーナスに補正以外にも本当のボーナスもつく、しかも製作者に依っての方向性があるらしく狙ったものはかなり困難よ」

「その統一装備は可能か」

「私が靴のスキルも取らないとだめね。という訳で私は防具職人になるわ」

「防具とは、俺からしてもあり得ない装備だ」

「主に布よ。重たい物はそりゃあ防御力は高いわ。でもその分機動性が失われる、どんな状況下でも機動性は常に有効なものよ。防御力は確かに好いわ、それは認める、でも機動性を失った幾多の戦場に現れた者達の末路は常に悲惨よ」

「こくぼうと言う奴か?」

「数多くの兵器開発の中で、常に仲の悪い二人がいるのよ、防御力と機動力よ。防御力を取れば機動性は基本的に下がり、機動性を上げる為には何かを犠牲にするしかない、この基本的なものが防御力よ」

「二律背反って奴だな」

「ええ。私はある事に気付いたわ。もし回避に成功せず、直撃しても守れるぐらいの防御力があればいいと、この複合レシピで閃いた、これで回復できるのなら何の問題も消える、夕霧に楽させられるそれなら何の問題ないわ」

「良い結果となる」

「靴さえあれば統一ボーナスが付くけど」

「後は帽子か」

「それはおまけかな、靴の後に取るわ」

「了解だ。今度は別のレシピだ」


 今度はHP・MPの二つの効果を持つ薬品に漬け、これに付与を行い、基本的なエンチャクトで完成させた。

『複合レシピ完成、リジェネートソックス、製作者はアキラ、製作者は光姫、アシストはスカオ、おめでとうございます』

「一つ、素材増加法を知っているか?」

「いや」

「私も知らないわ」

「素材×品質により決められる効果の上限を、この素材を増やす事で増加させる方式だ。この製作方法によって劇的に改善できる、また上位降下方式という、上位の品質から買いに品質に下げる事で維持される効果法則もある、ただ基本的な性能は下がるが」

「・・・それで、何故二つが成功したかは」

「そうだ。確かに素材は薬草と液体のみ、これに接合する事で得られる魔力という素材が追加され、結果としては幾つかの事に繋がる、効果の増加、二人の協力だけではなく、更に一人が加わる事でも成立すると聞いた事は有るが、さすがにこれは本当がどうかは信じられなかった、しかし今立証された」

「難しいわね複合レシピって」

「実験其の1だ。衣類の硬いを追加してくれ」

「OK」


 製作された靴下に追加し、特に変化はない。


「この状態で魔力を追加すると」


 俺が付与のエンチャクトを行うと、製作は失敗し消滅した。


「こう言う事だ」

「難しいわ。まさか針と糸とかは計算されず、完成した一つが物と認識されるなんて」

「実に難しいものだ。本来なら薬草と液体のはずだこの時点で二つだ」

「まずは進めよう、どこまで足りるかはわからないけど」


 慎重に進め、幾つかの防具を製作し、三名の素材から複合レシピに対する熟練度の向上、このレシピに対する完成度の向上を行う為にスキル生産も行う、大量に作った物は均等に分散され、ひとまずは成功であった。

 鑑定士のミツナを入れての鑑定も行い、ミツナも防具スキルがない為に報酬に女子の制服を貰う、これらは鑑定す蝉の大量の物は、不遇改善協会に素材と交換した。


「腹が減った」


 俺のぼやきに、二人も次に取り掛かろうとするが、お腹が減り、空腹システムの警告が発せられ、共同屋台村の昨日の猪肉の握りを頼み、食べる。

 いつもより少ないが、二人の事である上手くやっていること間違いなしだ。

 ただ美姫の事である、作った物を片っ端から食べ、夕霧に怒られるのは間違いない。


「美味いが、硬い」


 やはり不満だったらしい光姫のボヤキに、俺に特に何も言わずにいた。


「今度は生姜にするか」

「ちなみにさ。こう言った食品も可能なの?」

「ああ可能だ」

「「!?」」

「俺付与を通し、MPを与えているに過ぎない」

「付与って有望なのね。ちょっと信じられない万能振りよ」

「まさか食品までとは」

「試しに作ってみるが、まずはこれを食べてみてくれ」


 取り出した昨日で製作したMP回復効果のある猪肉の握り、この握りを二人が取って食べる、味わいは同じでも、MPへの回復効果がある為に、共にMPに関係する魔杖剣を使う事から直ぐに分かったらしい。俺には分からない分野の物だ。


「信じられん」

「MPが回復するなんて」

「これが付与の高い生産性を示すものだ。しかし俺の力量が悪く成功率は低かった」

「成功例はたったの二つ?」

「ああ」

「困難であったか、やはり難しい物が有る」

「ひとまずは食べてから続きだな」


 食べる中、ロウ達もいつの間にかに後ろにいた、挨拶して悪戯を行うと、苦笑して許してもらい、MP回復効果の成功例を食べてから、更に笑っていた。

 少し天気の方が曇り出し、工作師達がテントの建設に動き出していた。


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