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異星探索はチャイムのあとで  作者: 123456789
第1章。入試
1/12

[001]3月の№1。デスゲーム試験

 [001]

 3月1日、入学試験開始。

 ・3月1日~3月31にまでを過ごす事。

 ・復活はしません。

 ・1日のボスを倒すまで、一日は過ぎません。

 ・PKは存在します。


『入学試験開始、無事合格できることを祈っています』


 始まった試験、入試と言うには物騒な試験である、VRMMOのゲームでもあり、試験たる理由はデスゲームという事だ。死ぬかもしれないゲームの試験を合格しなければならない、冒険者育成学府の試験開始、地球側、WHO側、その他の三者合同での試験だ。

 地球の主に入学志願者、国籍は全て不問、合格すれば異星に渡る為に学府に入れる、卒業まで学費のない学府だ。当然のように入学志願者はあまりに多いと聞く。

 異星、WHOワンオフ・フリーライフ・オンライン惑星の事である、ゲームの様な世界が広がるとも言われ、地球のゲーム好きにとってみれば夢のような場所とも言われる。

 異星に渡る為に学ぶ学府、それが冒険者育成学府『ガーディアン』。


『スキルを選択してください』


 ・広義ほど補正は減り、狭義ほど補正は増えます。

 射撃武器:射撃可能な装備・アーツが使用可能

 召喚:従者召喚、武具召喚、武具効果召喚が可能になります。

 融合:従者と合体します、従者のスキルを一時的に使用可能、外見に変更はありません。


『従者を製作しでください』


 ・種類はゴーレムのみです

 武器:武器装備可能

 NPC言語:NPCとの会話が可能になります

 飛行:飛行可能になります


『プレイヤーネーム:スカオ』

『プレイヤー登録スキル:射撃武器 召喚 融合』

『プレイヤー登録従者:ゴーレム、スキル:武器、NPC言語、飛行』

『スタート』


 試験が始まり、舞台となるのは冒険者育成学府『ガーディアン』をモデルにした学園都市、実際の学府も学園都市の為に、夢が膨らむと言えば、そう言う夢に繋がるかもしれない、何故、かもしれないなのかは、生きて合格出来たらとなる。


【召喚:タイプ従者:ゴーレム】

 現れたゴーレム、外見モデルの方は自分にそっくりな外見にしている、所謂の偽装だ。


『融合スキルを使用しますか』

「YES」

『融合完了』


 ステータスを確認した。

 ▽

 プレイヤーネーム:スカオ 日本名:―

 種族:地球人 タイプ:日本人 年齢:満16歳

 性別:男性 身長:174cm 体重:60kg

 髪色:黒髪 髪型:ウルフヘアー 瞳色:黒目 肌色:ペールオレンジ

 外見的特徴:平均的な日本人の少年。

 職業:試験生

 [スキル]

 射撃武器 召喚 融合 

 個人スキル:付与

 [従者]

 ゴーレム

 [スキル]

 武器 NPC言語 飛行

 [装備]

 メインウェポン:YWHO07-DRAGON

 サブウェポン:ロングソード

 メインディフェンス:高等部への試験生の制服。

 ▽


「ドラゴン?レーザーマシンガンか、なるほど、詳しい性能は」


 ▽[詳細]

 名称 YWHO07-DRAGON

 種類 レーザーマシンガン 武装カテゴリー E

 ATK 354 装弾数 60 射程距離 52m

 備考 基本的な射撃武器、射程距離を超えるエネルギーは拡散し消滅する。

 ▽


「なるほど、割と良い籤運の様だ」


 装備を受け右手に持つレーザーマシンガン(ドラゴン)の基本的な装備らしく、性能も標準的な物かもしれないが、他の物を見た事がないのでわからない。

 左腰に帯びるロングソード、剣と刀の両方でいえば、特に拘りはない。


 最初のスタート地点、地上のようでありながらも、地球の生物とは異なる生物が見える、粘菌のようなスライムだ。近くには2mはある巨大な植物、どちらも地球には存在しないような生物だ。


「まずはどこかの施設だな、可能ならばPOTか、弾薬か」


 地平線の先に見えるのは一つの巨大な施設、恐らく学府である事は確率としては高い。


「弾薬の消費は賢くないか、補充までは我慢」


 フィールドの草原を走りだした。フルダイブという事になっているが、異星に渡る為に学府に入る為の試験が、そんなものとは誰も思わないだろう。地球にはない物が有る異星、まだ殆どの人々もいないと聞く、どの様な社会なのかも謎であるし、きっと胸躍る冒険がある事は間違いない。


「念願の、俺は行くぜ」


 突っ走る、今も昔も出来るのはそれだけだ。

 一しきり走ると、学府と思しき施設の近くには住宅街が広がり、店のような施設も見える。

 この店の一つに知り合いを見付けた。


「居たか!」


 俺の大声に二人が気付く、片方は背丈の低い金髪の天川晶姫あまがわ・あきらひめ、片方は背丈の大きい黒髪の夕波凪ゆうなみ・なぎだ。

 二人が手を振る、そこに駆け出し、簡易的な表示が出る。

 天川の方はプレイヤーネーム:アキラ、夕波の方のプレイヤーネーム:夕霧と表示された。


「よっ!」

「お久しぶり、今はスカオですか?」

「ああ。なんか変か?」

「いえ、本名を知っているので、どう呼べばよいのかが分からないのです」

「スカオだ。間違いない、俺は」

「うるさい!」


 アキラの方に俺が杖で殴られる、避けられない速度の為にHITし、HPゲージが僅かに減る、他の人達は吃驚だ。何せPKが出来る様なゲームでのこの行動は軽率過ぎる。

 俺は叫ぶ。


「なんでいつも殴るんだよ!暴力女!」

「なにPKされたいの?」

「返り討ちにしてやるよ!」

「二人とも落ち着いて、いつもいつも喧嘩ばかりして、保護者としては何やら」

「保護者じゃないし!」

「同じ学校の出身だろうが!」

「でも私の方が年齢は」

「どうしてそうばらそうとする、ダメなんだ、兎に角ダメなんだ」

「まあこれからどうするの?」

「それは、まあ学府に入るのでは?」

「開いていないわよ?」

「げ!マジか?」

「大マジよ。開いていないから、こんな所で油を売っているのよ」

「3月31日までの一か月の間、このゲームの世界で暮らすのですよね?何かと物入りになります」


 分かっているような分かっていない様な、根本的に現実ではないので、この世界に暮らすという言葉は適切ではないが、間違っていないのも一つの一面でもある。

 これに俺も、アキラも溜息を揃って吐く、夕霧は所謂の天然系なのだ。ついでに言うのなら、ゲームなんてものは全くした事のない、ある意味で健全な学生だ。


「で、ひとまずは店に行って商品を見よう、何か手に入る物が有るかもしれない」

「コインって奴ね?」

「お金って事にはなっているが、実際は異星の鉱石だ。地球に売れば高値が付くぞ、だが地球とのレートは設定されていないから、恐らく規約違反に該当するかもしれないが」

「確かにね。でもモブを狩れば適当なコインとか、ドロップとか手に入るんじゃないの、だってそうじゃなくては無理っしょ」

「ああ確かに無理ゲーだ。まずはショップだ。弾薬とかPOTとかがあればまずは安心だろう、可能なら防具も欲しい」

「一応確認したけど、お腹も減るみたいよ?」

「それは何かと不味いな、空腹過ぎて倒れる計算になる」

「それだけならまだいいのよ」

「下手したら睡眠欲」

「最悪なら性欲とかもね」

「どこまでの技術かわかっていないしな、まあ公式を信じるのなら食欲だな」

「ひとまずは合流も出来たし、ひとまずは安心ね」

「全くだ」

「仲良くお話は済みましたか?」

「ああ。まずはPTを組むぞ、申請するので」

「待って、PT名は」

「ログ・スカイ、記録の空」

「まあマシね。OK」


 二人に申請し、PT名は記録ログスカイだ。

 ▽ログ・スカイにメンバー加入。

 プレイヤーネーム:夕霧

 [スキル]

 薙刀 回復魔法 舞踏


 プレイヤーネーム:アキラ

 [スキル]

 魔杖剣 攻撃魔法 歌

 ▽

「スカオ、このスキル?」

「今は言うなよ。このゲームはPK出来るからな」

「ぴーけい?」

「夕霧は知らないわね。プレイヤーキラー、ゲームで他人のHPゲージをなくす、一般的なゲームなら特に問題はないけど、これは試験で有り、また復活しないわ。下手しなくてもデスゲーム、もしこのゲームでHPゲージがなくなれば、現実の自分達がどんな事になっているのかは知る由もないわね」

「なら何故俺のHPゲージ減っているのかな」

「あんたはいいのよ」

「良くない断然よくない」

「これ位にお店に行くわよ。運が良ければって事になるけど」


 近くのコンビニの様な店に入る、他の客はいないらしく、置かれている商品も特に珍しくもないアイテムばかりだ。弁当、総菜、菓子、パンの食品類、ソフトドリンク等の飲み物、薬品や弾薬の類は見られない。


「なにを探しているのです」

「薬品とか弾薬とか」

「必要なのなら、店員に聞きましょう」


 夕霧がそう言って店員に話しかける、店員が納得し、店員用の出入り口に案内し、俺もアキラも顔を見合わせてから向かう、ひんやりとした空気の中、中にあったのは武器や弾薬、他の装備類も見え、薬品類も見受けられる。

 俺とアキラは茫然と見ていた、何せ店の規模から行ってもあり得ない容量でもある。


「どうなってのよ?」


 アキラが呆然と呟く、俺は一つの事を思い出して説明した。


「ここはゲームの世界だ。よくある話だろ」

「う?でも凄くリアルよ?」

「そもそも俺達のような技術とは格が違う、地球のVRじゃないって証拠だ」

「そ、そうね」


 そんな会話中に、夕霧が呼ぶので歩いていく、まずは弾薬らしい。

 店員に右手のレーザーマシンガン(ドラゴン)を見せ、対応した弾薬を見せられた。

 エネルギーを収納した使い捨てのマガジンらしく、グリップの下から装填するらしいが、兎に角に小さい、精々一つのライフル弾ぐらいの大きさだ。


「最低ランクの物はローンとなっております、月末までにお支払いください」

『所持金が―10コインになりました』


 これにスカオは茫然としたが、アキラは腹を抱えて大笑い、夕霧は困った顔で店員に一礼し、二人を連れて出る、店の前で呆然と借金を見ていたら二人の女性が近づいてきた。

 二人とも女性のようではあるが、一人は白い純白の翼をした黒髪の清楚な女性、一人は黒い鴉の様な翼の冷静そうな女性だ。

 視線の合った俺に清楚な女性はにこりと微笑み、残る方は視線が合っても特に反応はない様子で、興味その物がないようだ。

 出入り口を開けると、清楚な女性の方は頭を下げ、クールそうな女性は一瞥してから入る。


「今の何?」

「良かったわね?」

「なにが?」

「思いっきり笑い掛けられていたじゃない」

「俺の目がおかしいのか」

「あんたの顔がおかしいのよ」

「翼が生えていたぞ?」

「ええ生えて・・・生えていたわ・・あれ」


 絶賛混乱中の俺とアキラに、夕霧の方はニコニコと微笑んで歩き出した。

 歩き出した夕霧についていく俺達、混乱は次第に収束し、またいつか会えたら母星に事を聞きたいと思う。恐らく俺が初めて遭遇した異星人だからという事だ。


 歩き出してから程なく遭遇するエネミー、所謂の固定型の植物、こちらへの攻撃する気はないのか、攻撃はせずにひたすら葉っぱを動かし体を守る、夕霧はこのエネミーには攻撃せずに、近くの手足の生えたサボテンにいきなり薙刀で叩き切り、そのまま連続した突きやら薙刀での斬撃を与えて狩ってしまう。


「なんで夕霧攻撃したのよ?」

「八つ当たりです」

「えーと」

「二人が一行に動かなかったので、適当な殴れる物を探していました」


 見た目が温和そうな少女なので忘れがちであるが、ストレスが溜まると容赦なくに、物に八つ当たりするタイプの人なのだ。笑顔でするのでよくわからない事が多い、しかもいつも笑顔の為に見分けがつかないのだ。


『戦闘終了。PTログ・スカイ、エネミー完全撃破、戦闘用経験値を全員に分配、コインを全員に分配、ドロップアイテムをLAに分配、お疲れ様でした』


「どうやら手に入るようね。まああれだけど」


 直ぐに所持金を確認すると+1され、所持金は―9だった。


「夕霧、ドロップは」


 アキラがこう言うと夕霧も調べ、アイテムボックスの中にある素材を表示した。

 ▽[詳細]

 名称 サボテンの花 種類 食材

 等級 通常級 耐久度 1/1

 品質 ☆×1 完成度 1

 効果

 HP回復+1:HP微弱回復

 味わい+1:味わいに+1された味わいになる

 香り+1:香りに+1された香りになる

 ▽


「なるほどね。よし狩るぞ」

「スカオがリーダー役なのはあれだけど、仕方ないわね」

「リーダーと言えば時雄はどうしているでしょうか」

「元気しているとと好いわね」

「兄さんも元気ならそれでいい」

「OK。狩るわよ」


 □


 学府の入学試験のVRMMOゲーム、ゲームをモデルにしたと思われる様なリアルな世界が広がり、主にエネミーと人がいた。

 地上のフィールドにいるのはスライム、植物、動物だ。

 スライムはパッシグ型に属する雑魚、植物は固定型の防御のみを行う防御草、移動型の手足の付いたサボテンのパッシグ型に属する雑魚、動物は動きの鈍い猪だ。


 簡単な狩場ともいえるような場所で有り、採取可能な素材も簡単な物だ。

 コインの方も、経験値の方もシビアな数値で有り、インフレには程遠い。

 合計10体を狩ってやっとの事で借金を返済した。

 レーザーマシンガン(ドラゴン)の方は、ATKが354もあったが、これを装弾数で割った数字が一発辺りの攻撃力らしく、一発辺りの攻撃力は僅かに6、そんなに美味い話はないようだ。


 アキラの方は、スペルが上手く使えずに、歌まで上手く使えないので魔杖剣での斬撃担当、魔法使い志願なのにやっていることは戦士と言うのが変な奴だ。


 夕霧の方は、薙刀での攻撃担当、回復魔法や舞踏は後ほどらしい、主に料理素材を確保し色々と試している。


 朝方の試験スタートから、既に時刻は午後、真昼に当たり腹を減らして、狩りをとめてからコンビニの近くに戻る。

 このコンビニの近くは、商店の区のようで様々な施設があって、俺達もコンビニでの弁当を購入し食べながら見ていた。

 コンビニの近くには何かの店があり、看板が見えないのでわからないが日常に関係する店なのかもしれない、そんな看板のみを出す店が多く、商品を並べる店は少数で、そんな少数の店の中には獣が並ぶ店もある。

 弁当を食べ終えてから、買ってあったヨーグルトを飲む、近くには買ってあった焼きプリンが消えていた、その近くの女子の制服を着込む一人の馴染みの手元を見る。

 香ばしい狐色の表面、底にある甘いカラメルなんかが混ざった、焼きプリンの無残な姿があった、すでに一口のみ残り、俺は直ぐに叫ぶ。


「俺の焼きプリン!」

「ん?」

「何てことすんだよ!?」

「え?」

「なんでお前が、俺の焼きプリンを食べているんだよ!?」

「あー。有ったから食べてよかったと思った」

「よかねぇよ!良くないに決まっていんだぞ!」

「はいはい、後で弁償してあげるから騒がない」

「俺の焼きプリン」

「高々焼きプリンじゃない」

「じゃ食うな!」

「はいはい。ごめんなさーい」


 凄く腹が立つが、ここは我慢した。

 近くの夕霧が、ニコニコとした顔で、アイスを差し出した。


「これで許してあげてください」

「分かったよ」


 3月にアイスと言うのもあれであるが、ゲーム内の気温は高く20℃近い気温で、風もあるも、時々の雨粒からか湿り気のある風が吹き、一言で言えば暑いのだ。

 リアルでは雪が降り始めるニュースを見たばかりだ。

 アイスの方は何故か塩味がした。


「塩アイス?」

「はい」

「・・・まあいいか」


 食べ終わり、もう一度コンビニに入り、買い物を済ませてから外に出る。

 三人組の男子が、近くのベンチに座り、一人の男子が物を売っていた。視線の合う俺に物売りの男子が、不思議そうに首を傾げて商品を指さす。


「POT?」

「ああ。俺の自家製」

「大丈夫なのかよ?」

「大丈夫だぞ。まあ今ならいくつかは無料だ」

「ここで商売をするのか?」

「ああ。場所が良い」

「そっか、俺はスカオ」

「ロウだ。まっよろしくな」

「ああ」


 調合スキルを持つこの物売りの少年の前に進む、手に取るPOTは見事なもので、コンビニのPOTよりも高い完成度にあり、混じりけのない純粋な液体、見るからに質の良さそうな小さな瓶、キャプの方にはRowの刻印がある。


「こいつは凄い」

「なんだ調合の嗜みでもあるのか」

「いやゲームで見る程度だ」

「そいつはどうも。見たところ戦士系のようだが、HP回復系はこっちだ」


 少年から渡された一つのPOT、先程のPOTと変わりない品質のようでもあるが、ラベルが張られHP回復用量産型とある、性能を見ると。

 ▽[詳細]

 名称 ポーション 種類 薬品

 等級 通常級 耐久度 1/1

 品質 ☆×1 完成度 1

 効果

 HP回復+10:HP微弱回復

 味わい+10:味わいに+1された味わいになる

 香り+10:香りに+1された香りになる

 ▽

「こいつは凄いな、店売りよりよほど性能が高い」

「そう言ってもらえると嬉しいな、素材持ち込みなら安くするぜ。後植物系の物も買い取るぞ?」

「そいつは有り難い」

「そっちの女子はどうする?」

「痛み担当はこいつだからいいのよ」

「回復が可能なので特に」

「そうか、必要なら提供するからいつでも言ってくれ、後だが素材持ち込みしか作らないが、質の良い薬品が欲しいのなら、近くの薬師を探すといい、そちらの黒髪女子のような奴で、腰に刀を帯びている、腕は俺より遥かに好いから」

「了解だ。まず」


 ロウとトレードを行い、素材の売却と素材の持ち込み生産の二つで、儲かったような儲からないような金額になり、POTも幾つか手に入り、中々の商売上手な少年と感心していた。


 再び狩り始める。

 異星人のコンビの他には見る事もないが、歩いているとそのコンビを見る。

 弓を使う純白の翼の女性、魔杖剣を扱う漆黒の翼の女性だ。

 腕前は良く防御草相手によく戦い、家のPTの魔杖剣使いとは比べようがない太刀筋で防御草の防御の葉っぱを破壊し、弓使いの女性が二発同時に弓を撃ち込んでいた。


「腕前が好いな」


 そんな事を呟き前に歩こうとすると、仲間の悲鳴が木霊し、直ぐにその方向に振り向く、防御草の様ながらも、花の咲いた草、珍しいタイプでもあり、初めて見るタイプだ。

 防御しか能のないタイプではなく、反撃もするらしく、吹き飛んでいる夕霧の姿があった。

 夕霧に向けて手に持つPOTを投擲し、HITを確認しての接近を行い、地面に落ちる前に滑り込んで抱きしめる。


「セーフ。夕霧?」

「・・なぜ」

「落ち着け」

「手を」


 夕霧の震える手を握る、冗談抜きの痛みにここが正真正銘の試験であることを理解したらしい、何せデスゲームの真っ最中だ。死ねば全て終わりになる文字通りの最後だ。

 夕霧の震える手から暖かい体温が伝わり、次第に震えが止まる。


「痛かったです」

「そうだ。生きている証拠って奴だな、直ぐに敵は取る」

「いけません。あれは今までの植物とは根本から異なります」


 夕霧が残る片手を見せる、薙刀が壊れていた。


「まさか一撃で耐久度を突破したのか」

「防御の為に受けたら壊れていました、恐らく私の身替わりです。よい薙刀でした」

「そうか、なら射撃なら可能だな」


 俺の言葉に夕霧が微笑み力強く頷き、握る手を握り返した。

 夕霧を草原に置き、レーザーマシンガン(ドラゴン)を握り駆け出した。

 一人となり苦戦するアキラに声を掛ける。


「援軍一名が来ました」

「速く攻撃しないさいよ、これは貸しよ」

「焼きプリンとの相殺です」

「焼きプリン高!」


 ふざけられる分余裕はあるらしく、タゲを取るアキラが更に隙を作る為に動き回り、その間にレーザーマシンガン(ドラゴン)での射撃を本体に食らわせ、次第にダメージを蓄積させる。

 エネルギーが切れ、マガジンをチェンジして更に攻撃を加える。

 二発の矢が本体に突き刺さり、振り向けは純白の翼の弓使いがいて、視線が合うとにこりと笑い、片方の相方の方が飛び出し攻撃に参加する気らしい。


「感謝!」

「妹に感謝しておけ、異星人」

「ああ。スカオだ」

「光姫」

「短い間よろしく」


 挨拶のような会話を混ぜながら話、漆黒の翼の魔杖剣使い、光姫と言う異星の女性は花咲防御草の前に飛び出し、葉っぱの根元を断ち切りべく攻撃を食らわせたが、思いの外に固く半分の切断で終わり、抜いてから直ぐに離脱。

 片方の家の魔杖剣使いも反撃に出る、攻撃を受け掛けてから武器で受け、そのまま切り払う、こちらも射撃を食らわせ、二発の矢も突き刺さり、これを繰り返し狩ろうとする。

 通常攻撃にはクールタイムも、ディレイもない様子で、攻撃を続けていた。


 そこに更に攻撃が重なり、何かの液体を被った本体のHPゲージが減り、本体の頭上に光が現れ、本体を焼き、更に本体の頭上からドリルが現れて攻撃し始める。


「ようスカオ」


 POT売りのロウ、その仲間らしい二人も居た。


「まずは片付けてからだ!」

「感謝!」


 3名の魔法攻撃により、攻撃する者が増える事で飛躍的に狩り易くになり、ダメージを受けてもヒーラー担当の緑髪の青年から直ぐにヒールが飛ぶ、もう片方の透けた茶髪の青年は攻撃魔法を使う一方で、油断なく警戒していた。


 そこに片手剣を持った金髪の女性が飛び込み、本体の攻撃を食らわせる。


「ホリさんの攻撃だよ~」


 よく分からないがソロの飛込らしく、攻撃しては離脱し始める。

 攻撃が集中する中、ついに花咲防御草の、邪魔な防御専用の葉っぱが、根元より切断され、攻撃が更に本体に過密に直撃し始める。


「ダマスカス!」

「おうよ!」


 ロウの仲間の名前を呼び、名前を呼ばれた青年が猛烈な勢いで本体に接近する。

【盗み:タイプ盗み:スティール】

 本体に手を触れて使われたアーツにより、本体の動きが止まり、青年は同じ様な勢いで逃走し、本体は激昂した様子で青年の方に攻撃を加え始める。


「どうする!」

「使っちまえ!」


 怒鳴る青年に、ロウが怒鳴り返し、透けた茶髪の青年がアイテムを使う。

 落ちた種が地面に触れると、急成長し花咲防御草の二倍近い巨大な花咲防御草となり、本体の攻撃を加え始める。

 エネミーの方の花咲防御草は危機に瀕し、過密な攻撃を受け続け耐えきれずに淡い光を放ち消滅した。


『戦闘終了。エネミー完全撃破、戦闘用経験値を全員に分配、コインを全員に分配、ドロップアイテムをLAに分配、お疲れ様でした』


 戦闘参加の全員らしく、高額なコインと経験値が入り、LAラストアタックを決めて金髪の凛々しい女性が喜んでいた。


「ホリさんの勝ち~」


 外見に反し、口調の方は語尾の伸びる、変な話し方の女性だ。

 ひとまず、上空に向けて全弾を打ち尽くす、これが合図となり戦闘は終了し、上手く倒せたらしい。

 凛々しい女性の方は直ぐに離れ、コンビの方に挨拶し。


「俺がスカオ、金髪の方はアキラ、黒髪の方が夕霧、助かった」

「いえいえ、私はアーライルの美姫です」

「光姫だ」

「感謝するわ。あがとう」

「ありがとうございました」


 挨拶をした後に二人は離れる、残る三名の方にも顔を向ける。


「客への出張サービスって奴さ。気にするな」

「感謝するぜ。俺はスカオ、金髪はアキラ、黒髪は夕霧だ」

「POT売りのロウ、ヒーラーの画家のゼンヤ、手癖が悪いが腕のよい工作師のダマスカスだ。何かあればよろしくな」

「ありがとね」

「ありがとうございました」


 三名と別れ、三名で集まる。


「結構溜まったな」


 俺の言葉に、二人も肯定する様に頷いた。


「後でLvでもあげましょう」


 アキラの言う言葉に俺も、夕霧も頷いた。


「生き返らないから難しいな」

「現実と同じという訳ですね」

「確かに」

「まずは薙刀を買いに行こう」

「ええ。アキラは何か必要ですか?」

「特に必要ないわね」

「スペルやら歌やら、トレーニングが必要です」

「言えているわね」

「それらは後で考えましょう」

「ええ」


 話が終わってからコンビニのある場所に向かう。

 入る前に三名に挨拶し、それから店内に入る。

 夕霧が説明し、店員に案内されて奥に入り、夕霧が薙刀を選んでいる間に適当に過ごした。


「前回と同じにしました」

「そっか、馴染んでいる物がいいしな」

「ええ。一応なのですが、スペル等のトレーニング施設もあるそうです」

「良かった。それでどうするの?」

「狩りに出るか、スペルなんかのトレーニングか」

「どっちでもいいけどね」

「私としてはトレーニングです。やはり回復は必要ですし」

「OKそうしましょう」

「なら決まりだな」


 そのトレーニング施設に向かう前に店の前で物を売る三名に挨拶した。


「よう」

「おう」

「少し聞きたいことがあるがいいか」

「ああ」

「魔法が使えたよな」

「魔法?ああレシピスペルか」

「多分それだ」

「特技って奴だな。説明するか」

「頼む」

「最初に武器なんかのアーツ、必殺技のようなものだな、次にスペル、これは魔法的な物だな、次にサポート、このサポートはかなり特殊な分類だ。四番目にレシピスペル、生産系のスキルに使える攻撃を可能とする一つの魔法的な物だ」

「なるほど、それでどうすれば使える」

「トレーニング施設なんかで訓練すれば使えるようになるぜ。そんなに難しくはない」

「ありがとうロウ」

「いえいえこちらこそ」

「また何かあったら素材を持ち込むよ」

「ああ」

「じゃ」


 挨拶してから別れる。


「トレーニング施設だ」


トレーニング施設へと歩きだした。


 ▽

 プレイヤーネーム:スカオ 日本名:―

 種族:地球人 タイプ:日本人 年齢:満16歳

 性別:男性 身長:174cm 体重:60kg

 髪色:黒髪 髪型:ウルフヘアー 瞳色:黒目 肌色:ペールオレンジ

 外見的特徴:平均的な日本人の少年。

 職業:試験生

 [スキル]

 射撃武器Lv1→Lv2 召喚Lv1 融合Lv1 

 個人スキル:付与

 [従者]

 ゴーレム

 [スキル]

 武器Lv1 NPC言語Lv1 飛行Lv1

 [装備]

 メインウェポン:YWHO07-DRAGON

 サブウェポン:ロングソード

 メインディフェンス:高等部への試験生の制服。

 ▽

 プレイヤーネーム:夕霧 日本名:夕波凪

 種族:地球人 タイプ:日本人 年齢:満16歳

 性別:女性 身長:167cm 体重:55kg

 髪色:黒髪 髪型:ポニーテール 瞳色:黒目 肌色:ペールオレンジ

 外見的特徴:日系の少女。

 職業:試験生

 [スキル]

 薙刀Lv1→Lv2 回復魔法Lv1 舞踏Lv1

 メインウェポン:薙刀

 メインディフェンス:高等部への試験生の制服。

 ▽

 プレイヤーネーム:アキラ 日本名:天川晶姫

 種族:地球人 タイプ:日本人 年齢:満16歳

 性別:男性 身長:159cm 体重:51kg 

 髪色:黒髪 髪型:ポニーテール 瞳色:黒目 肌色:ペールオレンジ

 外見的特徴:容姿の整った英国系少女

 職業:試験生

 [スキル]

 魔杖剣Lv1→Lv2 攻撃魔法Lv1 歌Lv1

 個人スキル:裁縫

 [装備]

 メインウェポン:魔杖剣

 メインディフェンス:高等部への試験生の制服。

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