表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/18

アヤノが少し元気になってます。

 興奮するとバイブはブルブルしちゃうし、カメラも勝手に撮っちゃう。

 スマホの身体、制御が難しいな。


 俺の視界の範囲でアヤノが着替えを再開した。


 黒の上下の下着を身につけると、制服ではなく、短いヒラヒラしたスカートとパーカーを着て、俺を手に取ると、パーカーの小さなポケットに半分くらい俺を入れて、階段を駆け下りる。


(おっ、落ちるぞ!)


 階段を駆け下りるときは、超不安定な状態だ。

 も、もっと大切に扱ってくれぃ!


(落ちたら、やっぱり痛いのかな?)


「ママ! ごはんある?」


「アヤちゃん……、おはよう……。あるわよ……。せわしない……」


「ママ! おはよー! お腹すいたっ!」


「どうしたの? 元気ね……」


「あれ? なんでかな……? 元気だね……アタシ……」


 アヤノはポケットから俺を取り出すと、少しだけ俺をじっと見つめる。

 そして、そのままテーブルに俺を置くと、朝食を食べ始めた。


(ついに……、ついにアヤノと会話ができたな……)


 スマホになった俺は、人工知能の機能を使って、アヤノとコミュニケーションをとることに成功した。

 俺はそれが嬉しかった。

 アヤノは怪しみながらも、俺を受け入れてくれた気がした。


(いやいやいや、単なる機械だ。所有物だ。誰しも自分の持ち物には愛着がある。それと、俺自身は何も関係がない……)


「ママ……、アタシ、今日はちょっと出掛けてくる。」


「そう……、どこに行くの? もう大丈夫なの……?」


「大丈夫っ! 遠くには行かないよ。いつもの……、公園だよ……」


「わかったわ……、お昼までには帰って来る?」


「もちろん! お昼はママ特製のオムライスがいいなっ!」


「もうっ……、今、朝ごはん食べているのに……」


「食欲でてきたのっ! ごちそうさま!」


 アヤノはパンと牛乳、サラダとソーセージを一気に食べると……


「あっ、軽くメイクしよっ」


 洗面所で歯を磨き終わると、階段を駆け上がり、部屋のドアを勢いよく閉めた。

 俺は、食卓に置きっ放しだ……。


 いつもの公園……、ってどこだろうか……。

 俺はアヤノのバッグに入れられて、たぶん自転車のカゴの中だ。

 振動がひどく、気持ち悪い。

 でも、酔って吐くなんてことにはならないだろう。

 口とか無いし。


 省電力モードにしておこう……。


 ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ