身体(スマホ)の制御が難しいです。
俺はついにアヤノとの初接触に成功した。
人工知能という前提であれば、思い切り怪しいこの状況も怪しまればしない。
何しろ俺の身体は最新型のプロトタイプだ。
どんな機能が組み込まれているかなんて、アヤノには分からない。
と、思う……。
アヤノは俺をクレードルに戻し、着替え始めた。
俺は目を逸らさずに、開き直って凝視している。
これからは、こんなことは日常的になるのだから……、と思って。
背はあまり高くないが、顔が小さいからなのか、手足が長く見える。
て、ってか……、パジャマを脱ぐと、下着は上下とも何も付けていない!
お、俺……、生身の女の裸なんて……、初めて見たかも……、あっ、風俗以外でね……。
ブブブ・ブーッ。
(あっ、ヤベッ、またブルった!)
「えっ?」
(あ、アヤノがこっち向いた!!!)
ブブブ・ブーッ
ブブブ・ブーッ
「メールかな?」
全裸のアヤノが俺に近づいてくるので、俺は焦って……
カシャッ!
カシャッ!
カシャッ!
「えっ? な、なに???」
インカメラでアヤノを連写してしまった……。
「なにこれぇ? やだぁ〜!」
全裸の自分が写った写真を見て、アヤノが声を上げる。
「ちょ、なにこれぇ? サイアクぅ〜」
スパスパと3枚の写真を消す。
(あぁ〜、消された!)
「……、ウィルスとかじゃない……よね?」
今度はクレードルに戻さずに、棚の上に俺を寝かせて置く。
さっきから、俺の目の前には、アヤノのおっぱいが……。
それほど大きくはないが……、綺麗な形のおっぱいが……。
《オ・ッ・パ・イ……》
「えっ?」
(し、しまったぁ〜!)
「なに?」
アヤノがスマホの画面を覗き込む。
{ 今のは誤作動です。試作品のため動作が安定しておりません。ご迷惑をお掛け致します。学習機能により、動作は徐々に安定して参りますので、ご安心ください。 }
俺は急いで人工知能画面に文字を表示させる。
「ふーーーん、お利口さんなスマホなのね……、で、あなたはエッチなの?」
(えっ? まずい、まずい、まずい……)
{ ”エッチ”とは何でしょうか。誤作動、ご迷惑をお掛けし申し訳御座いません。 }
「ふふっ、照れるのかしら……、本当におかしなスマホね……、ま、いいわ……」
危ない、危ない……。
身体のコントールが全然できてないな……。
まさか写真を撮ってしまうとは……、俺の欲望が表われた?
アヤノはまた棚にスマホを置き、着替えを続ける。
俺は、インカメラを最大の広角にして、180度の方向の景色をズームし、アヤノの姿を捕える。
(ん? やってることは盗撮と変わんねぇな……、これ……)
でも欲望は制御できない。
スマホになっても同じだ。




