はじめてのコミュニケーション
ブブブ・ブーッ、ブブブ・ブーッ……。
(わっ!)
バイブのみアラームで起床、ってか省電力モードから復帰。
超ビビった!
寝起きに関して言えば、人の操作で復帰したほうが目覚めはいい。
バイブレーションは俺の基本機能だから、言って見れば、身体の一部が寝ているときにイキナリ震えだすわけで、それは本当にビビる。
アヤノはバイブには気付いていない。
さてと……。
そろそろヤリますかね……。
俺は緊張と不安でバイブが勝手にブルってしまうことがないように注意しながら……。
《オハヨウゴザイマス……》
ちょっと音量が小さいかな……。
《オ・ハ・ヨ・ウ・ゴ・ザ・イ・マ・ス!!!》
「ん……、んん? ……、な、……なに?」
《オ・キ・マ・シ・タ・カ?》
「えっ? な、なに? こ、怖い……、なに?」
(怖い……、そりゃ怖いよねぇ……、でもめげないぞ!)
《ワ・タ・シハ、スマートフォンノ、ジンコウチノウ、デス》
「えっ? じ、人工知能?」
《ハ、ハイ》
「あっ、そういえばパパが言ってた……、最新の人工知能だって……。でも……、なにこれ?」
《ガメンヲ、ミテクダサイ》
「えっ、画面?」
アヤノは俺をクレードルから引き抜き、画面をオンにする。
{ 昨日、アラームが手動でオフにされましたので、間違いの場合、起床できないという事態になるため、念のため、人工知能機能が働き、あなたを起こしてみました。 }
「えっ? そんなことしてくれんの? ってか余計なお世話だしぃ〜笑」
《ワタシハ、サイシンノ、ジンコウチノウ、デスノデ》
昨日の夜、この人工知能の機能を見つけて、これを使えばアヤノと、アヤノに怪しまれずにコミュニケーションがとれると確信した!
「なんか……、本当に人と話しているみたい……ね……」
《サイシン、デスカラ》
「まあ、いいわ……、起こしてくれてありがとう。8時には起きたいと思ってたの……」
《ドウイタシマシテ》
「ふふっ、変わったスマホね……」
少しだけ微笑んだアヤノの顔は、やっぱりトビキリ可愛かった。




