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第五話 カエルもどき

 遅くなって誠に申し訳ありません。家庭の諸事情で少しの間投稿が滞りました。

 アオトとレンは今、アオトのバグっている増え方について考えている。


「……よし。結論としては」

「自分のステータスに吸収した相手のステータスを上乗せをする」

「そして称号は引き継げない。それにしても説明に書いといてくれれば良かったのに……称号は引き継げないって」


 確かに称号を引き継げないとは書いていなかった。だが―――


「まあまあ、今までその能力を一つたりとも持っていた事例がないって書いていたんだからこれまでの情報が貰えただけでも結構得した方なんじゃないかな」

「……」


 そう言われると黙るしか出来ないアオト。一応ここまで能力をどうやって使うかを教えてくれたのは他ならぬステータス表示なのだから。


「とりあえず……どうする?」

「何がだよ」


 何が、その答えは自分でも分かっているのだが無意識の内に聞いてしまうアオト。


「勿論、魔物を狩りに行くかここで留まっておくかって事だよ」


 分かっていたのだが、ここはアオトにとって重要な判断である。


 危険を冒してまで行くか、それともここに留まって安全を取るか。


 そんな考えがアオトの頭の中を駆け巡る。だが判断は簡単だ。どうせ簡単に言ってみれば―――


 行くか、行かないかなのだから。


「行くよ」


 そう言われたら男なら是が非でも行くしかないと決断をしてしまう。男はやはり単純だ。だが、そんな単純だから人生が楽しくなるのではないか? 複雑なものばかりで考えて考えて考えぬくだけの人生のどこが楽しいのか。


「そうか。じゃあもう準備は良い?」


 レンの表情は何処か満面の笑みが浮かべられていた。恐らく「まだだ」や「もう少し」とかを言っていたらレンはアオトの事を契約だから手を貸すが主人をしては失望していただろう。目の前に険しい山道があるときそのまま突っ切るか別のルートを探すかのような例えと同じ事をアオトにさせたのだ。本当に馬鹿なのか馬鹿じゃないのかこの男はよく分からない。


「当たり前だ」


 アオトとしても恐怖がないわけではない。これはまたの機会で話す事だが、迷宮に無理矢理連れ込まれてまだ上層だと言うのに恐怖で逃げ腰になってあげくの果てに奈落の底に突き落とされたのだ。今となっては強い見方とおかしいステータスがあるがそのときの事を思い出しただけでも憎しみと迷宮への恐怖が無限とでも言うかのように湧いてくるのだ。


 だが、行かねばなるまい。どうせやらなければいつかはやらなくてはならないのだ。それなら男としてどーんと行こう、と腹をくくったアオト。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「えええ、ぎゃあああー!?」


 ……前言撤回です。今アオトは辺りのカエルの馬程の背丈のある魔物が群れで追いかけられて逃げ回っているのだが、一向に捕まる気配がない。そんなに馬鹿みたいに俊敏力が高いなら後ろに回り込んで、攻撃をすれば良いのにって感じなのだが。と言っても元平凡な生活を送っていた高校生にこんなグロくてでかいものと対峙しろと言うのもいささか無理があるような気がするが。


「……」


 それを見るレンはなんと言うかもうなにもかける言葉が思いつかないというかのような表情をしていて困っていると言う事がよく分かる。先程までの失望するかどうかだったが、もうそんなものは飛び越えて哀れみを感じ取り始めていた。


「ぎゃああー!!」


 と、アオトの叫び声を聞いてそろそろ終わりにするかと考えて立ち上がるレン。


 実を言うとレンもこのままどこまで逃げ回るか見ていてみたいところでもあるのだが流石にそろそろ止めておかねば後でアオトに何を言われるか分かったもんじゃない、と言う心境だ。


 別に今までここらの魔物に手をやいていたわけでもない。やろうと思えばこのフロアの魔物ぐらい一瞬でもやれるのだが(アオトも自分の力を使えば余裕で出来る)、このフロアの魔物でアオトの恐怖心を少しでも和らげておかねばこの先へはいくらレンが強かろうともアオトを庇ったままでは進めない。だってこのフロアには下りる(・・・)階段(・・)しか設置されていないのだから。


 それでもこれではアオトに対して魔物に対する恐怖心を植え付けているような気がするが……。


「おらあああ!」


 雄叫びをあげながら何処から出したのか、これまた透けて見える短剣を取り出してアオトの後ろについているカエルもどきを一匹ずつ切り倒していった。結構硬い筈のカエルもどきの皮膚は触れただけでスパッ、とまるで家の庭に生えている雑草でも刈り取るかのように次から次へと首を刎ねられていった。同レベルの格闘系のステータスになっている奴らには破壊力は劣るが流石と言ってところだ。


「……た、助かった」


 数分して全てのカエルもどきの命を刈り取ったレンの動きを見ていて感動したような表情でそう呟いた。


「お前が次から次へと魔物の群れに追いかけられるからでしょ」


 それは逃げるためには走り回らねば逃げ切れないよ、と言いたそうだったがレンに助けてもらったという屈辱もありでぐっと言葉を呑み込んだ。


「さあ、一応吸収しときなよ」




 ーーーーーーーーーーーーーーー




 今回は魔物を5体取り込んでから先程の安全地帯へと戻る事にした。吸収に必要な魔力は自分の魔力だけで足り、レンの魔力を必要とする事はなかった。唯、精神的に今回は相当疲れたようだ。


 そんな中、アオトはふと思った事を質問した。


「そう言えばここって何層目?」


 本当の名を“奈落”というこの迷宮は低層では全くと言っていい程に強敵など出現しておらず最下級ダンジョンの一角と言われていた。先程のカエルもどきの強さは桁違いでどう考えても自分の知る迷宮とは違うと感じてしまう。序でにこの迷宮は最弱のモンスター程度が殆どを占めていると考えられ、攻略も二十数層程度しか攻略が進められていない。理由は、この迷宮に来るのが大半が見習い中の見習い共で溢れかえっているからだ。


「言ってなかったっけ? ここは八十七層だよ」

「!? は、八十七!?」


 アオトが驚くのも無理はない。だってアオト達勇者メンバーがいたのは十九階層だったのだから。

 次回は時間が少しの間飛びます。その間のアオト君の成長に期待を。

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