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第三話 レン2号

「……馬鹿みたいに万能だろ?」


 アオトの能力について大まかな説明を聞いたレンはぽかんと口を開け、信じられないものを聞いたような表情でアオトを見ていた。


 アオトは自分の能力について話したが何もそこまでレンを信用しているわけではない。それに人をそんなにも早く信用出来る程人も出来ていない。だが、レンは「誰にも言うな」とか言って命令をしておいたら喋る事は出来ない。そう言う関係なのだから。


 一人は幽霊。将又もう一人は生き物の持つ能力じゃないものを宿した化け物。どちらも人間辞めていて人ではないような気がするのだが……。


「……ああ。万能過ぎる。アオトは本当に人間か?」


 自分を召喚した主人に向かって言うような言葉ではないがアオトは別に気にしたそぶりを見せなかった。


 あれからアオト達はレンを先に出しながら移動し、なんとかこの階の安全エリアまで来る事が出来た。迷宮は縦にも横にも大きく広大な広さを誇っているが、レンを前に出す事で魔物が何処にいるかを調べながら来たおかげで魔物一匹たりとも遭遇しなかった。


 いや、正確にはアオト()遭遇しなかった。ここまで言っておけば分かってもらえるだろう。この事をそのまま言うのは流石にレンが可哀想でならない。


 なにも気にしていないような素振りを見せるアオトに向かって失礼とは分かっていたが鑑定を使ってステータスを覗いた。


 今のアオトのステータスはこれだ。




 ーーーーーーーーーーーーーー




カイジョウ アオト

 17歳

 種族 人間……

 職業 勇者???

レベル 10(上がり具合10分の一に)

 体力 30

 魔力 50

破壊力 9

耐久力 20

魔耐久 20

俊敏力 25

 知能 60

  運 130


魔法適性 無し


スキル  経験値3倍 成長力3倍 鑑定 アイテムボックス 言語理解 複製魔法 霊召喚魔法 吸収魔法


 称号  異世界人 勇者? 最弱だった男 奈落の淵に落とされし者 スライムキルマスター 霊王 真の力に目覚めし者




 ーーーーーーーーーーーーーーー




 何故か今度は廚二病をくすぐるような名前の称号が出て来た。一応のためアオトではなくてレンは詳細について調べてみる。


 アオトはそんなレンの様子を見ているだけで鑑定の邪魔をするような行動は一切しなかった。




 ーーーーーーーーーーーーーーー




  異世界人

 《言語理解》のスキルを無条件で入手できる。自分の魔力に大幅なステータス補正。


  勇者?

 勇者の名を持つ者の中でも力量が低過ぎたり等の何か外れているような者に与えられる称号。全ステータスに大幅な補正とステータスの上がり具合が上昇。


  最弱だった男

 何かの枠で最弱とうたわれたがそこから脱する事ので来た者に送られる称号。同情を込めて知能に少量の補正。


  奈落に落とされし者

 何者かに奈落の淵に落とされた者に授ける称号。生きていたのならそれを称えて運に大幅なステータス補正。


  スライムキルマスター

 スライム系を殺しまくった者に与えられる称号。スライム系との戦闘時に自分のステータスの大幅な補正とスライム系の大幅なステータスダウン。


  霊王

 霊を使いこなすまさに霊王のような事をする者に送られる称号。霊関係の魔法やスキル、呼び出した霊などに極限の補正。


  真の力に目覚めし者

 自分の真の力を引き起こした者に与えられる称号。全ステータスに極限の補正。




 ーーーーーーーーーーーーーーーー




 一応途中から自分の称号の詳細を眺めていたがどうしても腹立たしくなった。理由としては最弱だった男と奈落に落とされし者に書かれてある言葉である。


(同情ってなんだよ。生きていたらってなんだよ)


 とてもアオトとしては腹立たしい事が書いてあるのだが別に怒りを面に出すつもりはない。アオトはそんな事を面に出して何の意味があるって感じなのだ。


 そんな事は全て置いといて……まずはアオトの考えている事の方が重要だ。


「よし。試すぞ」

「えっ、何を?」


 いきなり試すと言われても何を試すかの主語がないので意味が分からないレン。


「我は創造神の力を持ちし者なり 今こそその力を解き、彼の者の生きた分身を創らんとせよ! ……《複製・クルス レン》!」


 アオトは魔法名を唱えた瞬間レンの肩を掴んだ。そう。アオトが考えていた事とはレンの複製を吸収すると言う事だったのだ。勿論、それを無言ですれば戸惑い、声を張り上げる者がいるわけで。


「ちょっ、ええ! ええぇぇぇええ!!? いきなり、他人に対する礼儀ってものを知らないわけ!?」


 そんな疑問をアオトにレンはぶつけて来る。もうそこには主人と呼び出された霊と言うくだりはなくなっていた。


「そんなの知らない。知りたいとも思わない」


 至極当然だとでも言うかの様に冷静に言葉を返すアオト。


「知れ! つっ、て言うか僕の魔力を吸い上げるな!」

「こら。怒るなよ。俺はお前の主。分かる? 魔力足んないの」


 魔力が足りないのならするなよって話だがこの魔力の変動する量とスピードは確かにアオトがいくら万全になろうがレンの助けを借りなければすぐに死んでしまうだろう。これでもレンは先代の勇者で一応魔法職だ。魔力の量で言うならばアオトとレンは今のままでは話にならない。それでもレンの魔力だけでは足りそうもない。


(どんだけ食い意地をはる魔法だよ)


 呆れ半分で突っ込むが別にレンの体は魔力切れで倒れる事はない。理由はレンがこの迷宮“初心者用ダンジョン”本当の名前を“奈落”の創造者だからだ。……このくだりはまた今度ゆっくりと説明しようか。


 と、数秒経ってやっと魔力の流れが止まった。そしてアオトの手のひらから光り輝くものが浮かび上がり、人のかたちを作っていった。


「おお、成功成功」


 ここにレン2号が誕生した。

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