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第三十話 死闘の末に

 今日二話連続投稿です!

 まだこの前の話をみていない方はこの前の話へ。


 ……最新話です。どうぞ。

 迷宮“奈落”でアオトとレン、ジンにフードを被った二人組は最下層の簡素な日本の教室程の部屋にいた。


「れ、レン……」


 レンのうつぶせになったまま動かない所を見て今の状況を悟ったのかアオトの顔色はどんどん青くなっていく。


「……ふはははは。どうだ? これが完全勝利というやつだ」

「黙れ!」

「おお怖い怖い」

「ジン様、速やかにその小僧も」

「ああ、勿論だ」


 当然の事のように答え、アオトにゆっくりと近づいてくる。そのペースは一定で遅い。それはまるでアオトの命の残り時間をカウントダウンで表しているようだ。


「不幸だったな」


 何にがだ?


「もう何も考えたくないか?」


 お前に言われたくない。


「俺が憎いか?」


 憎い。だが、勝つ手段が……。


「絶望したか?」


 お前に会う前からこの世には絶望してる。


「俺が怖いか?」


 怖くなんてない。けど……。


「……もう何も言わない方が良いか」


 アオトとジンの距離はゆっくりだが、一歩一歩確実に近くなってきている。その距離はジンの歩数で言うに五歩。


(けど……って、何俺は言い訳を作ろうとしてんだ! だから勝てないんだよ!)


 コツ。


 ジンの靴が地面に触れる。後四歩。


(レンは俺を信じた)


 コツ。


 ジンの靴の音がまた聞こえる。後三歩。


(俺はレンの期待に応えられたか?)


 ジンの足音がもうすぐそこまで来ている。後二歩。


(俺はあいつに借りを返せたか?)


 コツ。


 ジンの影がアオトを包み込む。そして巨大な鎌を高々と構え、首を刎ねる体勢へと変える。後……一歩。


(……なら俺は―――)


 鎌を遂に振り下ろし、アオトの首を胴と切り離そうと試みる。だが―――


「……俺は、負けるわけにはいかねえ!!」


 鎌を素手で掴み鎌の動きを止めた。だが、手から大量の血が噴き出しているのは確かだ。長期戦はアオトが不利。


「なっ!?」


 この死闘(勝負)で初めて見せたジンの驚く顔。


「小賢しい!」


 ジンは力を入れるが鎌はぴくりとも動こうとしない。それを良い事にアオトはジンに使っていない左手を使って―――


「……《魔力圧縮》!」


 アオトのスキル《魔力圧縮》。このスキルは自分の魔力を一瞬にして圧縮する事ができる。だが魔法とのコンボは不可能。でも―――


「スキルなら……《魔力変換・炎》!」


 (今の)アオトの魔法はどうしても詠唱に時間が掛かってしまう。だが《魔力圧縮》などは詠唱が要らない。それを超至近距離でジンに触れて《魔力圧縮》を使い、左手に魔力を集めて圧縮する。これだけではジンにぶつけた所でそこまで効果はみられない。だが、その魔力を変換すればどうなるか。そう、圧縮された魔力を媒体にして炎に変えたら超高温度の炎が出来上がる。これは範囲はとても狭められるかわりに魔力の密集度は高い。


 ここまで同じような事を何度も説明したら分かるだろうか。


「ぐはっ!?」


 まさかの高スピードで炎を出されたジンは躱しきれずアオトの手とほぼ触れている状態で攻撃を受けた。それによりアオトの手の近くの肉や骨、内蔵らへんを大きく抉られた。内蔵はなんとか繋ぎ止めているが血は次から次へと吹き出してくるので倒れかける。


 だが、これはアオトの咄嗟に考えだした最後の手段。自分をも巻き込む手段。それを肯定するかのようにアオトの左手は黒く焦げていて、腕の方は炎がまだついたままになっている。


「じ、ジン様ーー!」

「ジン……様……」


 くひっ、といつも言っているソルドは口癖も言わずにジンの元へと駆け寄る。それに対してローブを被った子(恐らく女の子)は顔は見えないが無表情でその光景を見ているように思える。


「くっ、やってくれるじゃっ、ゲホッ! ……ねえか」

「し、しぶてえな!」


 ジンは内蔵付近をアオトは左手を負傷している中で攻撃を開始しようとする者はいない。


「くひっ、ジン様、完全治癒薬です。お飲みください!」

「ああ」


 そう言われてソルドが出したカプセルのようなものを飲んだ瞬間…………ジンの傷がそこまで速くはないが塞がり始めた。


「ソルド、下がってろ」

「し、しかし」

「下がってろつってんだ!」

「くっ、くひっ!?」


 驚き慌ててソルドはジンの後ろの方へと逃げていく。


「うおおおおおお!」


 アオトは最後の力とばかりに鎌を受け止めた右手で“雷狼”を持ち、斬り掛かる。勿論、鎌で受け止められるが黒焦げた左手で鎌を弾く。目論みは成功し鎌はジンの斜め後ろの方へと回転しながら落ちていく。


「決まったあああああ!!」


 完全に決まった“雷狼”の一撃。心臓を一突きできる一撃。だが―――


「わりい。俺の鎌は俺の体の一部のようなものなんだ。だからこんな風に俺の手の中に戻す事も可能だ」


 予想外の事にアオトは目を見開いたが鎌を振られた方へと“雷狼”を向け、衝撃に備える。


「ぐああああ!」


 壁の方に激突する事となったが意識は保っているようだ。いや、先程の衝撃で意識を無理矢理引き戻されたのか。だが恐怖は一度進みだしたら止まらなかった。


「お前は死よりも恐ろしいものを見せてやろう。もしそこから這い上がって来られたら……また相手してやるぜ?」

「あ? 何言ってやがる」

「時空を超えるその力はかつて魔力の膨大な量を使用する事により喪失された 彼の者を任意の場所に移動させよ」

「なんの……詠唱だ!」

「じゃあな、アオト。楽しかったぜ。…………古代魔法《転移》!」


 名称が唱えられた瞬間アオトの姿は―――




 迷宮“奈落”から消え去った。

 終わったあああああ!!!!!

 第一章遂に完結。アオトが“奈落”から消える所で終わりました。


 実を言うとジンにどうやっていちや報いるか考えてなかったんですよねえ。でもアオトのスキルをみた時この連続使えるんじゃないの? と思いまして。


 レンに関してはそのうち出てきます。二章目で。


 それで一章が終わった所で申し訳ないのですが一週間程の休憩をとりたいと思います。休憩と言っても予備の話がゼロなのでそれを補充する(…………多分)といった事です。やりますからね! 絶対にやりますからね! やるんですからね?

 ……多分する……筈の予定です。


 と、こんな小説ですが読書の皆様、ここまで読んで頂き誠に嬉しく思います。そしてこれからも続きますので応援、感想、ご指摘送ってきてもらえるのを待っております。

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