第二十八話 復讐者
更新がきつくなっている。だが、一章が終わるまでは……。
兎に角、最新話です。どうぞ。
「ジン!?」
「分かっていたんだろ? こんな姿でも」
ジンと名乗ったのは間違いなくあのジンだが姿が変わっていた。何百年も前の事なのだから変わっているのは当たり前なのだがそうじゃなかった。頭には人間にはあるはずのない歪な形の角が、背中からはどす黒い色と透明な色を重ね合わせような色の羽毛でできた翼が生えていて、左腕は根元から魔族の腕のように青く、そして力強くなっている。そしてその手には、人の頭蓋骨が使われた馬鹿でかい鎌が収まっている。
「どうして……お前はあのときっ」
「そうさ。俺はあのとき死んだ。そう、一度死んだような身なんだよ」
「死んだ身?」
レンからジンと言う人が最初の犠牲者になったとは聞いていたが情報と食い違っている事から混乱に陥り、情報を頭が求めた結果がこの問いだ。
「お前は黙ってろ……。まあ良いか。どうせだから教えてやろう。俺はな―――」
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時は数百年遡りジンがケルベロスに喰われたときの事。
レンを残し全ての人々はジンを救わぬまま逃げ出した。最後まで残っていたレンも恐怖によるものからか気絶する事になり瞬時に国の兵士によって回収された。そのときにケルベロスが牙をむいたが運良く擦るだけですむ事ができた。
(……何故だ。何故俺がこんな事に)
いくら考えても答えは出なかった。出る筈がなかった。だが、目からは止まる事なく次々と水が流れていく。喰われたときに噛みちぎられた左手からは大量の血が流れ続けている。
自分は日本で極普通に暮らしていた。容姿も悪かったわけじゃないし、別に良過ぎるといった感じでもなかった。虐めも受けてなかった。
それなのに何故彼奴等は逃げた?
セツナは何故俺の傍から離れていく?
俺が何か彼奴等に酷い事でもしたのか!?
疑問はだんだん怒りに変わっていく。悲しみは着々と苦しみへと変わっていく。涙は憎しみへと変わりゆく。だが、血は一瞬たりとも止まる事なく流れていくことによって意識が朦朧としてくる。
(俺に……何かできる事……)
意識が遠のいてきたことにも関わらず自分ができる事を必死に探す。
(俺のできる事……スキル? ……魔改造?)
ジンのスキルは魔改造。名だけでは強力な感じがするが実を言うと能力の使い方が分かっていない。
(魔改造……魔改造……魔改造)
唸りそうなるのを堪えつつ自分のスキルを連呼する。そして結論に行き着く。
(魔改造……魔に関するものの改造?)
そう結論を出すがアオトのようにすぐに理解する事はできなかった。だが―――
「どうせ……死ぬんだ。最後まで足掻いて、みるか。げふっ、ごほっごほっ」
血を吐きながらも決意の目に火が入る。
「我は魔を作り替える力を持つ者……なり その力を用いて魔を我の一部へ…… 今こそその力を、解き放て! 《魔改造・モンスター》」
なんとかといった表情で言い終わるとジンを飲み込んだケルベロスの体が光り輝いた。そして―――
(この力が俺にあればな……なんて言っても今更か)
何事もやってみなくては本当に分からないものだ。ケルベロスがジンに飲み込まれるように骨など関係無しにぐちゃぐちゃになりながらジンに吸収される。
そのときに左腕は青い、まるで魔族のような腕になりながらも再生し、角は生え、翼も生えた。
その後は酷いものだった。体がぐちゃぐちゃにされるような不思議な感触と苦痛が混じり合わさったものを直に受けた。アオトと同じものだ。唯、回収は十回程度で何故かケルベロスのステータスも受け継いだので発狂する事はなかった。
意識がしっかりしてきだすと自分に何が起こったのかという疑問に襲われた。
「俺は一体、どうして?」
考えてみるが答えは元から一つしか出る事はない。
「やっぱ俺のスキルか?」
そう考えるとだんだんと不気味な笑みが浮かび上がってくる。まるで獲物をかどっこまで追い込んだ野良猫のように。
「ふっ、ふはははは。俺は手に入れた。最強の力を、この力があれば俺は無敵だ。あの忌々しき連中も全員軽く捻り潰せる。そればかしかこの俺を召喚しやがったこの国の連中も皆殺しだ。ひれ伏せ、我が力の前に。泣きわめけ、愚民共!」
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「とまあこんな感じだ」
「魔改造……」
「制限はあったがな。手にできる力は一つだけ。だが、俺にはケルベロスの力がある。人だろうと獣だろうと霊だろうと俺の力にできる。最強なんだよ!」
そう言われたレンはどうしてもアオトの方を見てしまう。じっと見られて不快に感じたアオトはさも当然のように言う。
「こっち見んじゃねえよ」
「そして俺が殺す事はできなかった奴はいたが俺のソウルイーターやヒューマイーターで全部取り込んだ。勿論生きていたらいたぶってな」
「皆が……」
どこか嘘だと言うように目を見開いたレン。流石のアオトもそこまでの恨みではない。
「お前だけは今まで見つけれなかったがな。それでもこの姿だ。お前が幽霊でもなんでも良いから存在さえすれば俺もそこに向かえる。なんたって俺は半不死身体だからな」
「魔族の力か」
「違う。魔族でも半不死身体にはならないさ。ケルベロスの力だよ」
「あのさあ。俺空気になるの苦手なんだけど」
「あ゛あ゛? ……アオト、だったけ? お前も危険だから消えてもらうぞ。そんな力を持つ者は一人だけで十分だからな」
「そう簡単に命投げ出すとでも思ってんのか?」
ぎらぎらと燃えた目で言い返す。その目はまるで自分が死ぬ事はない、ときっぱり言い切るかのように。
「くっ、ふはははは。アオト、お前やっぱ面白い奴だ。会えて嬉しいぜ? そして気に入らねえ」
「こっちもだ」
「ジン」
「あ? レンかなんだよ」
「セツナさんはどうした」
「セツナ?」
まるでそんな奴いたかと考える素振りをとるジン。
「……ああ居たな。昔の事だから思い出すのに時間が掛かったぜ」
「どうしたって言ってるんだよ!」
「そうカリカリすんなって。あいつはな……」
知りたいか? と声が聞こえそうな位に勿体ぶる。
「殺したさ。この手で一番最初にな! うざかったぜ? 死に際に生きてて良かったなんて言ってきやがってよ。一番最初に逃げたくせにだぜ? くそ腹立ったんで首を絞めて絞殺してやったさ。だが……最後の死顔だけは楽しめたぜ? ふはははははは」
その笑い顔は狂ったように目を充血させたものだった。
復讐者ジン。魔改造には勿論まだまだ効果がありますよ。例えば魔物を従魔にしたようなものとか。……次回に期待してください。
感想、指摘待ってまーす。




