第二十三話 吠える
昨日の更新がー。調子に乗ってぽんぽん出すんじゃなかった……。
ま、とりあえず最新話です。どうぞ。
そのまま風になりながら進んでいき、九十五層の階段までレンの指示の元走って走って走り続ける。
だが、只走り続けるのも暇と言うものがあって……。
「暇だー」
「さっき魔物を瞬殺したばっかりでしょ」
「一匹だけどな」
アオトは予想通り文句を言い続ける。それを踏ん張るように堪えるレンは自分の責任感というのを感じているのかもしれない。
それに関してもそう言う事に鋭いアオトが気づかない筈がなくて……。
「そんな責任を感じる事もないさ」
「……気づいていたんだね」
「まあな」
これが友情と言うものだろうか。何かが違うような気がする。
「ありがとう」
人に感謝することの微妙な恥辱心によって声が小さくなってしまった。
「あ? 何か言ったか」
「何でもないよ」
聞こえていなかったようでそのまま受け流して追求を避ける事に成功したようだ。
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あれからどれ程の時間が経過しただろうか。二人の進むスピードを考えればそれほど時間は経過していないように感じる。
「扉」
「なんか雰囲気が違うな」
この二人は今フロアボスの扉へと到着した。ここまで来るのに間違ってアオトが階段を滑り落ちたなんて事があったのはそっとしておいてあげよう。
彼等の目の前に立ちふさがる扉は今までの扉よりも大きく、そして古くささを感じた。別に今更そんなことを気にしてどうするって感じなのだが問題はその中の魔物である。此処まで途中からボスの気配はブレーカーでも落ちたように途絶えていたがこの部屋のボスは何故か存在感を感じた。
「そう言えばなんで最初の方はボスが残っていたんだ?」
「憶測だけど九十二層からなんらかの方法で入ってきたんだと思う」
「そのなんらかのってところが気になるな」
だが、今の現状ではその仮定で進み続けるしかないのだ。
「それにしても何か居るな」
「居るね」
そう言うと最早言葉などいらないとでも言うかのように頷き、扉を押し始めた。扉は最初全く動こうとしなかったがアオトが力をだんだんと入れ始めたことでゆっくりと開く事ができた。
そして一一人通れるようなスペースができるとアオトを先頭にレンが続く形でボス部屋に入り込んだ。
『ようこそ。俺の城へ。ここまで来るのに結構疲れただろう。と言っても俺が途中から魔物を倒しておいてあげたからそこまで疲れはないかもな』
入り込んだ瞬間、一人の声が聞こえてきた。その声はかすれたような声だった。唯一つ言えるのはその声が本人の声ではなく加工したものだと言う事だ。
「君がやったのかい?」
冷静ながらも怒気を付けたように訪ねる。
『おっとこれは俺が言ってるんじゃなくてあくまでも俺の言った事を記憶して伝えているだけだから質問には答えられないぜ』
そう言いながらもタイミングピッタリで言えているのは只の偶然だろうか。
『さてさて、此処からお前等は俺の城で攻略を目指してもらう。ルールは簡単だ。俺が用意したボスをクリアして俺の所に来ればいいだけだからな。じゃあ健闘を祈っとくぜ?』
「ちょっと待てっ、サーシャは……」
そのままかすれた声は消えていった。
そしてそこに残ったのは無言で佇むアオトと怒気をあらわにしたレンだけだった。いや、もう一匹の乱入者がいた。
「ギュウウウウワアアア!」
その乱入者は全身が真っ赤な魔力が流れたまるで白狐と呼ばれる毛皮が白い妖怪の毛皮が黒くなったバージョン“黒狐”と言った感じのボスだった。
「《鑑定》」
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黒狐(魔物)
??歳
種族 人間
レベル 63
体力 1343+12000
魔力 1432+12000
破壊力 1174+12000
耐久力 1048+12000
魔耐久 1319+12000
素早さ 1378+12000
知能 985−500
運 40
魔法適性 炎 風 闇
スキル 聴覚補助 黒風
称号 フロアボス 従魔
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黒狐はステータスに変な補正がついていた。それを見てアオトは平然としていたがレンを見て―――
「気に入らねえぞ! このくそったれがーー!!」
思いっきり吠えた。もう叫ぶと言う次元ではなく、地面を揺らす程の声で吠えた。
自分の部活が終了しましたので執筆のペースが速く……なるのか? とりあえず自分の夏は少し寂しいものになりました。
と、こんな話は置いといてアオト君は意外に仲間思いらしいです。そして途中でさらっと出て来たサーシャとは!?
ここまで言っておいてなんですが……また次の話までさらば!




