第二十話 人影
今回の投稿は前の投稿が少しばかり遅くなりましたのでそのお詫びとして……。
今回で場面は大きく動き出します。第一章終焉にまっしぐら!
装備を改めて補充したアオトはレンを連れて今、次の階へと続く回廊を進んでいる。
「もう魔物は出て来ないよなー」
「さ、さあ」
(なんか言い切る事ができないよね)
と、レンが不安を感じるのも仕方ないのではないだろうか。
「……まあいいや、さっさと進んで外に出たいよな」
「そりゃまあ……そうだよね」
(そのときに僕は居るのかな? これでも此処の主だから居ないのかも)
そんな地上への期待と消滅又は別れになるかもしれないと言うそれぞれの思いを持ちながら二人は着々とその先へと進んでいく。
「ニョキ」
「ん? 何の音だ?」
「な、何でもないよ」
(タイミング悪過ぎでしょ!)
レンが先程から心の中で愚痴を言い過ぎている事に関しては気にしてはいけない。
(えーと、各層に異常は無し……ただし、不明瞭な事が多数?)
そんな事を考えているのはレンの頭がどうかしてしまったわけではない。では何故こんな事が分かるのか?
理由は―――
『レン、行くぞ』
『う、うん』
(気を配っておいてそんはないかな)
このときだった。このときにレンは地面を通してこのダンジョン全体の情報も掌握しようとしていたのだ。それが今やっと全ての情報を把握するのが完了した、と言う事なのだ。先程の「ニョキ」はその情報をコピーして他の生物にその情報を渡せる希少な魔物だったりする。
(不明瞭な点は……何者かの足跡? それに大量の魔物の死体!?)
そんな情報が脳を駆け巡ったときにレンは飛び跳ねるような勢いで信じられないとでも言うかのように目を見開いた。
「どうかしたか?」
「い、いや」
(体調でも悪いのか? その前に幽霊に体調もくそもあるのか?)
勿論アオトはそこに反応しないわけがなく訪ねるがそのまま押し通ろうとするレンの勇気(?)は流石だ。
(それは僕たちがやったものではなく……更に僕の部屋に人影!!?)
まさかの事態である。まさに驚きを通り越してもう目玉が飛び出るかと思う程に驚いている。
「本当にどうかしたか?」
「あ、いや、その」
何故か此処で戸惑ってしまうことに対してなにか内心腹立たしくなってきているレン。だが、ここでの判断は重要だ。
ここで話さなかったら?
アオトは気づきもしないまま最深部へと行き、状況の悪化の恐れあり。
ここで話したら?
アオトは気づくもののここでの強化は最早殆ど見込みは出て来ない。
この二つの選択の内どちらかを迫られているのだ。とても難しい問題である。
それでもアオトとこれほどまでに親しくならなければ迷う必要はなかった。だが、現実は違う。規格外の強さを持っていたとしても元一般人に話していいことなのか微妙なところなのだ。それでも親しい関係ではなかったらアオトのステータス及び実戦による感覚を育ててあげようといったことも考えなかった筈なのだ。
どうしたらいいのか。どうすれば一番良い解決策を見つけられるのか。第一、その人影とは何者なのか。
レンがもう、自分でもどうすればいいのかも分からなくなってきたその時!
「なにか言いたい事があるのなら言ってくれ。もう親友だろ?」
そんなアオトの言葉でレンの決断は一気に一つへと絞られた。
最近投稿のときに題名が抜けていたりとあんぽんたんな作者ですが、これからも宜しくお願い致します。




