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第七話 カエルはどこまでも

 あれから数時間程して次の層への階段に辿り着き今現在薄暗い空間を下りていっている。ここまでは距離としては結構あったが、アオト達のスピードで然程時間が掛かる筈もなくすんなりと階段の近くまで到着した。カエルもどきを何匹か倒しながらも階段の位置を覚えていたというのが大きいだろう。


「どうかしたかレン?」

「っ、いやなにも」


 どう考えても何でもない事はないような表情をしているレンに若干頭に?を浮かべながらも言わないんなら別に聞かなくていいだろうとアオトは頭の中から?を強制的に追い出す。


 そんな事を考えている間に先程まであった階段は途切れ、幅が広がった場所に出ていた。


「ここが八十八層か……」

「そうだよ。ここが八十八層だよ」

「……何にも変わってないじゃんか!」


 アオト達が出た通路は上の階の通路と同じか若干広くなった程度のもので外見では八十七か八十八かなんて見分けがつかない。周りにあるのはゴツゴツとした岩に少量の光を放つ“光石”。物の配置まで同じに見える。唯違うのは上に上がる階段があるのと大きな崖がない事だろうか。


「いやいや、変わってるよ。例えば階段があるかどうかとか」

「それは見りゃ分かるわ!」

「ははははは」


 冷静なツッコミを入れるアオトに対してレンは苦笑いで小さく笑う事しか出来ない。


「と言っても出てくる魔物はビッグフロッグの炎を取り込んだフレイムフロッグとその上位種のフレイムフロッガーだけだよ」

「魔物は地味に変わっているのかよ……」


 そんなこの階の魔物についてレンはアオトに説明すると同時に噂の生物が二人の前に現れた。


「グエエエエ!」

「これがそのカエルもどきか」


 全身が赤く叫んだときにあけた口の中には膨大な量の炎が詰め込まれていると思われる大きく膨れた火炎袋があった。


(こいつは竜かよ……)


 アオトとしてはこういうのを最初に見るときはやはり炎を吐くドラゴンが良かった。とテンションを落とすアオト。そんなアオトの夢はあっさりと崩れ去った。炎バージョンのカエルもどきが口から炎のブレスを放ったのだ。範囲と威力は共にこの世界に存在する竜よりも格段に弱いがカエルもどきの放つブレスは唯当たりたくないものなだけだ。


(竜だったらもっとロマンが出ていたと言うのに……)


 テンションを下げながらも心の中は自分の気持ちをある意味裏切らなかったカエルもどきに対する殺意だけとなった。


「死ねや」

「グエ?」


 声が発する事が出来ると言う事は仲間同士で連携もとれるのだろう。上のカエルは叫ぶ事も出来るが決して連携のとれるようなものではなかった。その部分から言ってもこちらの方が強いと言う事が伺える。だが、所詮そんなものだ。アオトからすれば即座に殺せばどちらだろうとも関係はない。仲間が来るまでに瞬殺すれば良いだけなのだから。それに仲間が来たとしても命を狩れば同じ事だ。


 それを証明するように蹴り一発でカエルもどきの首が刀で斬ったかのように崩れ落ちる。アオトのステータスに限界の二文字はないのだろうか。


「うーん。やっぱステータスではもう追いつけないレベルだなあ」

「何言ってるんだ? お前は精密度と経験が俺とは比べ物にならない程にあるだろうが」

「それはそうなんだが」


 つまりレンはアオトのステータスが上がり過ぎてもうどうやって切ったのかを知るだけで精一杯でどういう動きでどういう表情でやったのかはもう分からない。確かに力に翻弄されては力を十分に発揮できないだろう。でも上げれば上げるだけ強くなるのでここまでアオトが来れば後はもう経験で埋まらない差がどうしても出て来る。そこがレンの最近の悩みの一つだ。


「こいつは何の能力が貰えるのか」


 そう言って赤いカエルもどきに吸収魔法を掛け、自分の力にする。それによって得られた力はステータスの上昇は当たり前で魔力変換の炎だけだった。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 あれから赤いカエルもどきを八匹程狩ってからアオト達は次の階へ進む。アオトの力がある程度ついた以上この階にいる意味はない。


 途中で赤いカエルもどきの上位種のフレイムフロッガが出てきたが唯角みたいなのが少し生えていて、外見が少しごつごつしていた他は何も普通の赤い奴と変わらなかった。ステータスは上位種なだけあって一応高かったが。これによって得られたのは炎耐性ぐらいだった。


 階段探しもある程度走ったら発見できたのでラッキーだっただろう。


「次の階は八十九か。これも殆ど変わんないのか?」

「まあね。今度は雷系になる他はほぼ変わりがないよ」

「……はあ、何か同じ奴ばっかりだと飽きてくるんだよな」

「まあまあ。その次はフロアボスでその次からはまた変わっていくから」

「そっか。フロアボスか……」


(フロアボス……。やはりカエルもどきの一種だろうか。ボスとついているんだから強いと良いんだがな)


 フロアボスの事を考えていると何故レンがこんなにも詳しいのかという疑問を忘れていってしまうアオト。


 それがこの先苦難の道を進む事になるとも思わずに。

 ……この小説文字数少ないんですよねー。なので第二章から少しずつ多くしていこうと思います。


 明日も3時に投稿予定です。

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