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「お前が今日から勇者だよ。この対魔の剣で、魔王を封じ込めるんだ」
白いヒゲを垂らした老人が、ニッコリと微笑み、少女へと鞘に収まった剣を手渡します。
少女はその剣を両手で受け取ると、老人に向かって一つ、お辞儀をしました。彼は今まで放浪していた彼女を育ててくれた、小さな村の村長です。
明日の食事もままならず、いつ死ぬかも分からない彼女に、安堵できる住居と仕事を与えてくれました。
当時十二という年齢での扱いとしては不相応でしたが、それでも彼女は恩を感じていました。
剣を胸に抱え、彼女は旅への一歩を踏み出します。振り返ることもなく、足早に。
「神よ。あの厄なる存在に白刃の刃を握らせることを、どうかお許しください……」
村長は目を瞑り、顔を歪めてそう呟きました。
少女の姿は小さくなっていきます。
未完結になる可能性が高いです。「こいつ今回も完結しないんだろうな。暇だから見てやるか」くらいの感覚でご拝読ください。