第一話 この世界とお仕事
ダスク歴634年春の月34日
今日は、仕事を探すことにしました。賑わっているとはいえ小さな村なので仕事はすぐに見つかりました。最初は泊めてもらっている村長さんの家の庭の草を刈るところから始めました。こちらでは草を刈るのには釜などは使わず、手で引きぬくそうなので、そのとおりに働きました。村長さんの庭はかなり広かったのですが、なんとか正午になる前に終わらせることが出来ました。これも神様からの身体能力向上の効果でしょうか。そこまで疲れることはありませんでした。
午後は村長さんのすすめで木を切ることとなりました。この村には木こりという仕事がなく、伐採場から勝手に木を切っては持って行っていたらしいので村長さんの計らいで、僕が伐採場を借り受けることとなったそうです。なんでも、この村はもう、若い人が少なく、お年寄りが増えてきていて木を切るのにも一苦労なんだそうです。そこで、僕に木を切らせて、儲けさせつつ自分たちでは大変な木こりの仕事を他人に任せようという算段のようです。しっかりと売り上げが出るので頑張りたいと思います。
晩御飯、村長と一緒にごはんを食べたのですが、村の若い人口が減ってきていて大変だということを延々と聞かされました。なんでも、若い人たちが、街に夢を求めていなくなってしまったそうです。人口が流出してしまったんですね。僕がこの村に骨を埋めるとしたら、かなり大変だということがわかりました。
とにかく、明日も忙しいと思うのでしっかりと働いていきたいと思います。木こりだけでお金が稼げると思えないので、何か副業も考えたいと思いました。
因みにこの世界、暦はダスク歴で春の月、夏の月、秋の月、冬の月、無の月があるそうです。一月は90日で無の月だけ5日と6日の年があるそうです。時間の経ち方や太陽の角度などもかなり地球と一緒なので、困ることはなさそうです。