表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

一話『銃士のキツネ~とりあえず嫁に来てください~』

銃士のキツネ、新しく生まれ変わって連載開始!

皆様、長い目で宜しくお願い致します!

――古くから、この地球には『士族』と呼ばれる人外が存在していた。

ある者は狐の耳を、またある者は背に生えた立派な翼で空を飛び……

そして、その全ての個体は女性しか存在せず、美しいという。


彼女達は決して、人間と仲良く暮らしていたわけではない。

士族は人間よりも早く、鉄砲を作り身を守る術を手に入れる。

『銃士』と呼ばれるようになった、その所以だ。

付かず、離れず――そんな世界を人間と銃士は構築していた。


しかし時代が進むにつれ、銃士達は人間の世界に立ち入るようになる。

人間の作った優れた銃を持ち、ある銃士は人間の為に戦った。

その頃から、彼女達と人間との垣根は薄くなりつつあった……




「なあ、母さん?」

――時は2015年、決して遠くはない未来。

舞台は北海道、とある街。

「何? ケイ」

彼女達はどこにでもいて、平和を保っていた。

「――リモコン反応しないから、尻尾、受光部に置かないで」


「ひ、ひどい! 啓汰、私の身体的なアレをアレするなんて……! 誠が聴いたら怒っちゃうわよ」


「いや、だから……ああ、ちきしょ! 学校いかなきゃ! じゃな、母さん!」

これはそんな、銃士に囲まれて暮らすちょっと人とは違った普通の男子高校生、西崎啓汰の普通の日常の物語である。




「……つい癖で拳銃カバンに入れたままにしてた」

さて、虎猫のような見た目にオフィスレディのような服装の母親、西崎奏から逃げた啓汰。

彼はカバンに納められた愛銃、ベレッタPx4を物憂げに眺める。

彼の家庭は至って平和。

『はっはー! アイ、アム、レジェンド!』

――父親である西崎誠は傭兵で、海外出張中。

今ごろは何処か欧米辺りで人身警護でもしている事だろう。


そして母親は虎猫の耳と尻尾、虎の特徴を残したような黄色と黒の髪をうなじの辺りで切った、ショートヘア。

啓汰も似たような髪型だ。

そして、彼は無類のカーマニアでガンマニア。

母親は二挺拳銃を使わせたら右に出るものは居ない最強の『トゥーハンド』。

愛銃は『シュネルフォイヤー』こと、マウザーM712である。

父親も、負傷は勲章位に考えている屈強な兵だ。


「……ま、いいか。カバン開けなきゃ良いし」

そんな風に気楽に呟いて、啓汰は拳銃実弾18発入りをカバンに仕舞ったまま学校へ向かう。

危険な世界ではあるが、銃士の存在が凶悪犯罪を減らしているのも事実。

奏も、自警を行って町内の安全を見守っているのだ。


「……ん?」

ふと、路地から筆を大きくしたような何かが出ているのが見えた。

因みに啓汰、変わった性的趣向の持ち主である。

(アレは……間違いねぇ! “キツネ”だ!)

カバンすらかなぐり捨てるような勢いで、啓汰は猛ダッシュで路地との距離を縮める。

啓汰は無類の『キツネっ娘』好きなのである。

『愛犬捜しています』のビラが、彼の起こした風圧で剥がれて宙を舞う。


「キツネェェェェェェェェェ!」


「――!? また貴様か! 何度言ったら――コラ、尻尾に顔を埋めるな! やめ……んっ――」

銃士には基本的に名前がない。

彼女達にとって、『人間に名前を与えられる』ということはとても重要な儀式でもある。

だから、キツネの少女も啓汰には“キツネ”と呼ばれていた。


「ハァ、ハァァ……反省したか、バカ者」

少し頬を上気させて、肩で息をしながら片手で正座させた啓汰にエヴァンスレバーライフルを向ける。

キツネの装備は旧時代的なもので、服もまた西部のカウボーイを意識させるような物だ。

ホルスターは早撃ちに特化したものだが、中に納まっている拳銃はFN M1903と呼ばれる古い自動拳銃で、リボルバーではない。


「はい。反省したのでウチに来てください! マジで、ホントに! お願いします!」

ライフルで一度殴られたのか、頭に大きなたんこぶを拵えて、啓汰はキツネの貧相な身体にしがみつく。

――端から見れば、立派なセクハラだ。

「だぁぁぁ! 行かん! 絶対に行かないからな、私は! ホラ、早く学校へ行け!」

この物語は、啓汰と、そしてこのキツネも絡む至って平和な日常を描くものである。

『俺は諦めないぞキツネェェェェ!』

ライフルでぼっこぼこに殴られた啓汰は、まるで一昔前の悪役の様な台詞を吐き捨てて走り去っていった……

「はぁっ、全く。……そういえば、ヤツの家は町内の自警を行っていたな。ややこしくなりそうだし、顔くらいは見せておくとしよう……」

キツネは走り去っていった啓汰の背中を見送ってから振り返り、そう呟いた――

と、言うわけでプロローグです。

にじファンの小説の移設が終わっていないので本格連載ではありませんが、オリジナル銃士のキツネのように放置はしません。

基本的にはこんなノリです。


荒んだ心を癒したいだとか、ライトタッチな小説が読みたいだとか、まじ獣耳サイコォォォォォォォ!とか、ガンマニアだとか、そんな皆様からの感想をいつでも心よりお待ちしております。




十六夜的、銃器解説


Beretta/Px4 Storm

口径:9mm

装弾数:17+1

近未来的な見た目が特徴的な、イタリアはベレッタ社のハンドガン。

ポリマーフレームを採用し、非常に握りやすいグリップ形状を持つ。


また、銃身を回転させ後退させる『ロータリーバレル』システムの採用により銃身がぶれないため、命中精度や反動も高い次元でバランスが取られているのが特徴。


Mauser/M712

口径:7.63mm

装弾数:20+1

ドイツ、マウザー社がC96という自動拳銃に連射機能を搭載した機関拳銃。

旧設計の拳銃なので、一般に見られる拳銃の様にグリップにマガジンを収めず、トリガー前方にマガジンを備えているのが最大の特徴。


スライドが小さく、後退重量が軽い、また小口径である事も作用して、比較的安易に連射が可能。

『何処かのウサギ耳美少女』も愛用している。


ERMC/Evans Repeating Arms

口径:44口径

装弾数:28

アメリカにあるERMC(Evans Rifle Manufacturing Company)が製造していた旧時代のライフル。

当時、この手のライフルの装弾数は良くて12発ほどしかなかった。

しかし、エヴァンスは螺旋状に弾薬を配置するマガジンを銃床(肩に押し当てる部分のパーツ)内部に備え、驚異的な多弾数を誇った。


当時のアメリカ軍にもテストされたが、塵芥に弱く、採用を逃し、マイナーライフルの位置に甘んじることとなってしまった。


FN/Model.1903

口径:9mm

装弾数:8+1

後に「FNハイパワー」、「M2重機関銃」、そして著名な「コルトガバメント」の設計にも携わる事となる銃工によるハンドガン。

口径こそ小さいものの、先進的で、西部開拓期の時代では脅威的な存在と言えた銃である。


スライドがかなり長く取られているのが特徴的。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ