出会いたかった本
その日を境に、エリシアは決意した。
前世の自分は、親の目や姉兄の目を気にして、自分の意見もうまく言えず、我慢ばかりしてきた。
他人の目や評価を気にして、心の中はいつもストレスを溜めて、怠惰で傲慢の上に家族の名誉の陰に隠れて生きていた。
今思うと全く楽しくない人生だった。自分の人生を生きていなかった。
自分の人生を生きていないのだから、領民の生活にも、屋敷で働く者たちの苦労にも、目を向ける意識もなかった。
そんな状態だから、誰も私の事を信頼せず、私は処刑されてしまったのかもしれない。
もしかしたら、時間の巻き戻りは、神様の気まぐれで?やり直しの機会を与えて頂いたのかもしれない。
もしそうであるなら、今世の私は同じ自分には戻らない。
エリシアは考えた。新生エリシアを目指すためには、何が必要か。
早速エリシアは屋敷の図書館に行き、何か参考になる本はないかと探していると本棚の端にある古びた本が目に入った。
その本の題目にエリシアは胸を打たれた。
本を棚から取り出し、パラパラとめくって内容を見ると身体がゾワゾワし始めた。
まるで、自分の身体がこの本を待ち望んでいたかのようだ。
エリシア自身も運命の人に出会えたような高揚感を感じていた。
「これよ。こういうのが知りたかったの!こういう本に出会いたかったの。」
エリシアは両手で本を持ち上げて思わず叫んでいた。
その本の題目は「人生を変えるなら波動を変えろ、言葉を変えろ!」
著者は、F.ラグナ・アーデンハイトと記されている
名前は、「F」だから詳細はわからないのね。
なんだか残念だけど、この本はそうとう古いから著者の方はもう生きていないかもしれないわね。
エリシアはウキウキしながら本を抱えて部屋に戻ると時間が経つのも忘れて読んだのだった。
この本の著者が、エリシアの運命を大きく変えることになるのを、この時のエリシアは知る由もなかった。




