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Day 8.5
体育のあと着替えのために向かった更衣室で、脩也はベンチに腰を下ろすなり体操服を乱暴に脱ぎ捨てた。
「拓海くん、すげぇなー!ありゃ二次元だわ」
後から更衣室に入ってきた真澄が、興奮気味に言う。
「バスケ部なんだから、当たり前だろ」
脩也は目も向けずにボソリと呟き返したが、真澄は気にしていない様子で「もうキュンキュンしちゃった」と言いながら着替え始めた。
「ってか脩也も途中からすげぇ熱くなってなかった?バスケ、そんな好きだったん?」
「んー……」
真澄に生半可な返事をしながら、頭からタオルを被り、視線を落としたまま靴ひもを解く。
拓海が叫んだ「はるか」という名前が、頭から離れなかった。
そんな脩也を横目で見ながら、航が静かに口を開く。
「……まんまと挑発に乗るな、馬鹿」
タオル越しに頭をググッと押されながら、脩也は黙って手を動かし続けた。