切り刻まれた贈り物
数ヶ月前に初めて地球の上空に姿を現した宇宙船に乗っていた宇宙人たちは地球人たちにこう訴えかけてきた。
「我らの故郷の星は食糧がなくなり、このままでは全滅してしまいます。どうか食糧を分けてはいただけないでしょうか? 技術ならいくらでも提供できます」
この言葉に地球人たちは色めき立った。宇宙を自在に旅できる技術が手に入るのだ。そこで各国は先を争うようにして宇宙船に向けて食糧を届けた。お返しの技術を期待して。
しかし、返ってきたのは技術などではなくミサイルだった。主要都市のいくつかは焼け野原になり、人類に多大な被害が出た。
宇宙船のこの行動に各国は憤り、協力してこの宇宙船へと攻撃をした。
「打算があったとは言えこちらの親切に対する返事がこれか!」
怒りに燃えた攻撃は苛烈を極めていた。
同じ頃宇宙船に乗っていた宇宙人もまた怒りに燃えていた。
「食糧を求めたというのに、我らの同胞を切り刻み送ってくるなんて!」
植物から進化したその宇宙人たちは、怒りと恐怖で緑色の肌を激しく震わせながら箱に詰められた野菜を丁寧に埋葬する準備を整えていた。