第83話 地獄の仲間たち
翔太の周りを見回すと、同じような存在が無数にいた。
皆、触手に繋がれ、宙に浮いている。
そして、それぞれが「配信」を続けている。
ある者は、ニュースを読み上げている。
ある者は、料理の実況をしている。
ある者は、ゲーム実況をしている。
ある者は、歌を歌っている。
皆、生前の職業や趣味に関連した行動を、永遠に繰り返している。
その中に、見覚えのある顔があった。
@truth_seeker。
彼も、永遠に都市伝説の解説を続けている。
「皆さん...今日は...ビッグフットについて...」
声は、機械的で感情がない。
でも、止まらない。
永遠に、同じ話を繰り返している。
他にも、たくさんの配信者たち。
皆、同じ運命を辿った者たち。
強い個性を持ち、それを手放せなかった者たち。
そして今、その個性が永遠の呪縛となっている。
「ようこそ...新入り...」
近くの存在が、翔太に話しかけてきた。
言葉は途切れ途切れで、苦しそう。
「俺たちの...仲間に...」
「永遠に...一緒だ...」
「配信...続けよう...」
「誰も...見てないけど...」
絶望的な連帯感。
地獄の中での、唯一の慰め。