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第66話 絶望的な逃走

翔太の中で、何かが爆発した。


生存本能が、最後の力を振り絞った。


「まだだ...まだ終わってない!」


彼は、包囲網の一番薄い部分を見つけ出した。


まだ変化が浅い、元人間たちの一群。


彼らには、まだ人間だった頃の動きの鈍さが残っている。


全速力で、その一点に向かって突進する。


「うおおおおお!」


獣のような咆哮を上げながら。


月の民たちも、一瞬虚を突かれた。


変化できない者が、ここまで激しく抵抗するとは。


通常なら、もう諦めて受け入れる段階なのに。


その一瞬の隙を、翔太は見逃さなかった。


元・山田と元・田中の間を、強引にすり抜ける。


二人は反応しようとしたが、一瞬遅れた。


まだ、四つ足での瞬発力に慣れていない。


翔太は、包囲を破った。


広場から、商店街へと走り出す。


背後から、驚きと興奮の入り混じった鳴き声が追いかけてくる。


「にゃあ!」(逃げた!)

「にゃあにゃあ!」(追いかけろ!)

「にゃあああ!」(狩りの時間だ!)


千の猫が、一斉に動き出す。


地面が、無数の足音で震える。


翔太は、必死に走った。


もう、何も考えられない。


ただ、逃げる。


生き延びる。


それだけ。

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