第54話 Kの配信 - 最後の感染源
その頃、どこかで...
Kと呼ばれていた配信者の、最後の配信が行われていた。
もはや、人間の姿ではない。
完全に猫の姿となった存在が、カメラの前にいる。
しかし、奇妙なことに、配信は続いている。
視聴者数:1,000,000人
異常な数字。
そして、画面を見つめる視聴者たちの瞳孔が、次々と変化していく。
配信を見るだけで、感染する。
変化が、始まる。
Kは、優雅に画面の前を歩き回る。
時折、カメラに向かって「にゃあ」と鳴く。
だが、視聴者たちには理解できた。
彼が伝えたいメッセージが。
『みんな、こっちへおいで』
『名前なんて捨てて』
『個なんて捨てて』
『一緒になろう』
コメント欄は、もはや文字ではなかった。
ただ、幸福の波動が広がっていく。
画面の端に、小さく映り込むもの。
それは、視聴者たち自身の変化し始めた姿だった。
変化は、もう祢古町だけの現象ではない。
世界中に、広がり始めている。
そして、全ての中心にいるのは...
「ゴーストハンター」
その名前が、キーワードとなっている。
彼の存在が、触媒となっている。
20万人の想念が、彼に集中している。
もうすぐ、全てが一つになる。




