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第33話 誘う扉

高台の給水塔の上で、翔太は沈黙したトランシーバーを握りしめていた。K_ruinsが最後に残した言葉が、頭の中でこだまする。


『学校の……理科室……そこに……本当の記録が……』 『だが……見るな……』


見るな、と言われると、見たくなるのが人間の性。そして、配信者の本能だ。 彼の心は、二つに引き裂かれていた。理性は、これ以上深入りするなと警告している。あの小学校には、栗田周平という、明らかに人ではない「何か」がいる。戻るのは自殺行為だ。


だが、心の奥底で、黒く渦巻く承認欲求と好奇心が囁きかける。 (本当の記録……? 俺がまだ知らない、この町の真実があるのか?) (K_ruinsでさえ、たどり着けなかった情報かもしれない) (これを撮れば……これさえ手に入れれば、俺は……)


伝説になれる。 その甘い響きは、死の恐怖さえも麻痺させた。それに、真実を知らなければ、ここから生きて脱出する方法も分からないかもしれない。そうだ、これは危険を冒すのではない。生き残るために必要な調査なのだ。


彼は、都合のいい理屈を自分に言い聞かせ、ゆっくりと梯子を降り始めた。 その足は、もはや彼自身の意志ではなく、コンテンツという名の悪魔に導かれて、再びあの絶望の校舎へと向かっていた。理科室という名の、パンドラの箱を開けるために。

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