目覚め
はじめまして、幻奏蓮です。
誰かの120点は誰かの−100点をモットーに書きます。
地雷踏み抜く可能性がございますが、自衛して下さい。
「キミの記憶を探さない?」
突如目の前に現れた女は私にそう言い、手を差し出した。
何故、私のことを知っているのか、この女が誰なのか、
そんな考えが浮かばなかったわけではない。
だが、それより、目を覚ましてからずっと色褪せていた世界が、誰を見ても、何を見ても色づいていなかった世界に、鮮やかな色が、彼女にはあった。
考えるより先に私の手は動いた。
無意識に、まるで縋るかのように、
私は彼女の手を取った_____。
瞼を開くとそこには真っ白な天井が広がっていた。
ここは何処だろうかと思った直後にツンと鼻を挿す消毒液の匂いがした。
ああ、ここは病院か。
だが、ここにいる理由に見当もつかない。
私は何か任務でミスをしたのだろうか?
いや、任務とはなんだ?
私は…………誰だ?
そうこう考えているとふいに扉が開いた。
「翠兎さん、入ります、よ………」
扉を開けたのは看護師のようだった。
その看護師は何やらとても驚いた様子で、言葉を失っていた。
私が声をかけようと口を開いた瞬間、
「先生!先生!!翠兎さんが、翠兎さんが目覚めました!」
と、大きな声を出して、何処かに走っていってしまった。
翠兎、とは私のことだろうか?
しばらく何をすることなくただぼんやりしていると、開け放たれていたドアから白衣を着た医者らしき人が入ってきた。
「翠兎さん、おはようございます。お加減はいかがですか?」
「特に何ともないが……翠兎、とは私のことか?」
私がそう言うと医者と看護師は驚いたような、困惑したような顔をした。
「翠兎さん、いくつか質問させていただいても?」
「どうぞ…?」
その後、いくつか質問され、その結果、どうやら私は記憶喪失になったようだ。
その後、精密検査を受け、問題が見当たらなかったらしい。
通常、脳に何かしらの影響が出る筈なのに何もなかったとのことだ。
大事をとって今日までは入院し、明日退院となる。
私は特にすることもなくただ窓の外を眺めていた。
「外、眺めてるだけで楽しい?」
突如、私以外誰も居ない筈の病室に声が響いた。
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