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3 序章※

 歩きながら、この洋館の静けさを気味悪く感じた。そもそも、あの会場にいる金持ちも見栄っ張りな庶民も、今日のコンサートという高尚な文化へ本当に興味があってくる人は何人いるのだろうか。見たところ音楽のことなどまるでわかっていないような、ドレスをこれ見よがしに見せびらかすやたら美意識過剰な女や、金目の物をじゃらじゃらつけた男ばかりであった。


 ちなみに、僕も音楽に詳しいわけではない。ただ、クラシックが大好きな親友(彼は地域の小さな楽団に所属している)に連れられて、(しかし彼は必ず演奏中に寝るが)来ただけである。彼はよくコンサートチケットを応募し、当たった場合は僕を誘って色々な場所に連れて行ってくれた。初めはよかったのだが、見に行くようになって、観客のすました顔や利益のための建物に高尚さではなく俗なるものを感じ、嫌になってきていた。



 ところで、先ほど申し上げたように、この洋館は不気味なほど静かであった。勿論客のいるホールは賑わっているが、一歩廊下に出てみると、これまで行ったどの宴会場よりも静かである。こうしてみると、美術館として利用されるわけも何となくわかる。

 それに、建物の石造りやレンガ造りの壁は、どこかひんやりとしていて、人を寄せ付けない様子であり、このような場では厳粛で静かにしていなければとも考えさせられる。


 「人がいたから忘れていたが、本来コンサートは静かに聞くものであるし、この建物がどう使われようと、自然は俗なるものとは一線画しているのだろうな…」庭園へと向かい、途中の植え込みを見ながらそう呟いたところであった。

 僕はこの静けさを破る、柔らかな音色に驚いた。コンサート前だが、誰かが裏庭で、こっそり練習でもしているのだろうか?


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