2 豪華絢爛な洋館※
※印は男主人公目線、〇印は第三者目線の話になります。
広い豪邸だ。周りには、今日のために着飾った人々。この場所は結婚式だけでなくかの有名人も宴会に使うほど、その芸術性を武器に利益を上げている。普段は美術館や博物館として、調度品を一般客に見せているらしい。
そういうわけもあって、偏見ながら厳めしい豪邸かつ俗な建物は嫌いだったし、パーティーになると突然見栄を張る虚栄心だらけの招待客を見たくなかったが、親友の誘いということもあり断れなかった。
今回友人の招待(正確にはペアチケットを彼が当てたわけだが)では、世界的な楽団の演奏会が、この施設の大ホールで行われるというものだった。無論、豪華客船と同じように、その前に記念セレモニーやら、謎の晩餐やら、パーティー仕様になっており、参加自由ではあるものの、ここぞとばかりに参加客が食事を楽しんでいる様子であった。
「なんだよ、お前。何も食べないのかよ。」
隣にいる友人が聞いてきたが、中途半端な時間で、食欲もまだ湧いていない。一言断って、この建物を一周することに決めた。帰ってくる頃には、お腹もすくだろうし、何よりコンサート開演までの時間がありすぎる。
「ちゃんと、コンサートの時間には戻ってくるんだぞ!」
背中でその言葉を聞いたが、毎回コンサートで寝るのは、彼のほうだ。