第16話 VSダゴン 前編
前回のあらすじ
アクアはレオンの嫁
ハルが空中移動要塞にやって来てから一ヶ月が経過していた。
庭園でマシロと二人で、ジェミニのある機能を確認していると、センパイがやって来た。
その顔はいつもより、真剣な表情だった。
「センパイ。どうかしたんですか?」
「うん。今アクアちゃんから連絡があってね……ダゴンが活動を再開したらしいんだ」
「ダゴンって……ラインハルトさんとレオンさんが撃退したっていう?」
「そう、そのダゴンだよ。二人には、ダゴンを倒してきて欲しいんだ。大丈夫かい?」
「ええ」
「はい」
「分かった。くれぐれも無理はしないでね?」
センパイに見送られ、あたしはマシロと共に空中移動要塞を飛び去って行った。
目的地は――ダイヤモンド帝国の首都、ディアマンテだ―――。
◇◇◇◇◇
雲海を抜け、地上が見える。
今まで要塞にいたから分からなかったけど、地上から見ると空は闇に覆われていた。
雲の上では太陽の姿が見えたのに……これも邪神が降臨してる影響なのかもしれない。
そんな事を考えつつ、ぐんぐんと高度を下げていく。
そしてようやく、ディアマンテ周辺の状況も確認出来るくらいまで降りて来れた。
ディアマンテ周辺には、騎士団らしき集団が展開している。
そしてその集団に向かって、闇落ちしたペガサスみたいな見た目をしてる群体と、軟体生物みたいな見た目をしてる一際大きな生き物が見えた。
群体は邪神の眷属のシャンタクで、軟体生物がダゴンだろう。
眷属についてはセンパイから教えてもらっていたし、ダゴンの方もハルの話していた特徴と一致する。
「アレがダゴン、かな……?」
「そうみたいね」
マシロとそう言葉を交わしつつ、一定の高度まで降りて来て滞空する。
幸いにも、邪神達にはあたし達の存在は気付かれていないみたいだった。
これなら、最初の一撃で敵の大部分を葬り去る事が出来る。
「マシロ」
「うん」
名前を呼んだだけで、あたしの意図を察してくれたみたいだった。
あたし達はまず、オーバーロードする。
マシロは背中の二門のキャノン砲を展開し、そこでお互いの魔力を同調させるレゾナンスを発動する。
あたし達を包み込むオーラが紫色に変化し、あたしの魔力がマシロの魔力と完全に同調し、混ざり合う。
キャノン砲の後ろの部分が開き、そこからトリガーが現れる。
そのトリガーを、あたしはしっかりと握る。
「照準は……とりあえず群れの方でいいよね?」
「そうね。邪神の方は上手く巻き込めれば程度でいいわよ」
砲台と化したマシロに、あたしはそう返す。
その言葉に、マシロはコクリと頷く。
「分かったよ。……照準固定。カウント三でいこう。三、二、一……」
「発射!」
カウントがゼロになったタイミングで、あたしは引き金を強く引く。
キャノン砲の銃口からは、超が付くほどの極太のビームが放たれる。
そしてビームは地上を抉り、眷属の群れの一角を薙ぎ払っていく。
今の一撃で、大体四割くらいは敵の数を減らせたと思う。
初撃としては、大成功だろう。
レゾナンスを解除し、オーバーロードも一旦解除する。
あたしは背中にマウントした双剣を手に取り、マシロも大剣を握り締める。
「まずは取り巻きの数を減らしましょうか」
「そうだね。そうでもしないと、ダゴンとまともに戦闘にならないしね」
「行くわよ!」
そう言い、翼を羽ばたかせて眷属の群れに突撃していく。
そして手当たり次第に、両手の剣で眷属達を斬り刻んでいく。
マシロもビームを連射……と言うか、乱射して眷属を次々と撃ち落としていっていた。
すると邪神があたし達を脅威に感じたのか、触手の一つを振り下ろしてくる。
それを危なげ無く回避するけど、触手が打ち付けられた地面には深い亀裂が入っていた。
まともに食らったら、いくら対邪神用の魔装であるジェミニであっても、一溜まりも無いかもしれない。
まあ、当たらなければいいだけだけど……。
そう思いつつ、あたしはターゲットを邪神へと切り替えた―――。
邪神との初戦闘です。
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