表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

趣味作品

転生したらゾンビでしたが、

作者: 美駆

短編です。

※続編は、多分書きます。

 目が覚めると、俺は墓地にいた。

 

 うーん。俺、なんでこんなとこにいるの?

 確か、……あれ?俺、死んだんだっけか?

 じゃあ、なんで生きてるの?

 

 そう思い、身体を見渡す。

 

 おかしいな?

 

 身体は、緑色で所々腐っており、血が付いている。

 

 何ですか?これ?ゾンビですか?

 

 緑色の体色。腐っている。血が付いている。

 ゾンビの特徴を、持っている自分の身体。

 

 いや、まぁ。

 別にいいんだけど、ゾンビなのね。

  

 「はぁ~」

 

 ため息を、つく。

 

 (なんで、ゾンビなの?)

 

 ついてないねぇな。

 ダメってわけじゃないんだよ?でもさ、なんで――

 

 「おぉー」

 

 墓地の向こう側から、何か声が聞こえる。


 (ん?なんだ?)

 とりあえず、行ってみるか。

 

 声のする方に、向かう。

 向かう途中、墓が掘られ死体あさりでもしている痕跡があった。

 そして、声が聞こえた場所に着いた。


 「勇者様!」


 そう、叫ぶのは黒いローブを着た老人は、白髪で緑目だった。

 

 (これは、勇者召喚ですかね?)

 

 地面には、魔法陣が光り、魔法陣の中心にはひとり美男子がいた。

 そして、会話は続く。


 「勇者様。どうか、我らを救って下され」

 

 頭を下げて、頼みこむ老人。だが、

 

 「嫌です。あの、なんで僕生きてるんですかね?」

 

 なんと、勇者と呼ばれる美男子は秒で断った。

 

 「な、なぜ?」

 

 老人が、恐縮しつつ聞くと

 

 「いやね、魔王殺したじゃん。8回は殺したよね。

 もう、だるいんだよね。てか、今。いつ?」

 

 (魔王を、殺した?8回も)

 

 魔王殺した。宣言に、俺も動揺する。えっと、勇者召喚じゃなかったの?

 じゃあ、この墓地にいるのって……

 

 墓地で、勇者。

 過去の勇者を、生き返らせてる可能性がある?

 

 「え、えっとですな。今は、聖王歴438年です」

 

 「そんなに、経ってないじゃん。

  え?魔王38年で復活したの?早くね?」

 

 「ですから、その……」

 

 「でも、もうやんないよ。魔王討伐」

 

 「そこを、どうか……」

 

 「じゃ。バイバイ」

 

 頼みこんでいる、老人を尻目に勇者は消えた。

 多分、転移魔法でも使ったんだろう。

 

 「あ、あぁぁ勇者様ー」

 

 老人の顔が見る見るうちに青ざめてくぞ。

 

 「もう、終わりじゃ。

 あぁぁ。ワシはもう、終わったのじゃ。処刑されて、しまうのぅ」

 

 (もしかして、これってなんかヤバい状況?)

 

 話しかけようかな?

 今なら、ゾンビでもワンチャンあるよね。

 ここにいても、しかたな――

 

 「おい。そこに、いるのじゃろ?ゾンビよ」

 

 (あれ?気付いておいででしたか)

 

 「は、はい」

 

 墓の裏側から、返事をする。


 「喋れるのか?返事が帰ってくるとは思わなんだな

 不思議なゾンビじゃ。出て来なさい。何もせんよ」

 

 「あ、あの?」

 

 警戒しつつ、老人に近づき、質問する。

 

 「なんじゃ?」

 

 「あなたは?」

 

 「そうじゃな――」


 そう聞くと、少し考えたあと、老人はこう言った。

 

 「ワシは、デイス・アストロン・ファイギル。

 元宮廷魔術師団長。兼、元魔法研究会委員長。

 今は……死体あさりじゃな」

 

 苦笑いしつつ、そう答えを返す。

 

 (宮廷魔術師?魔法研究会?おいおい、結構すごい人なんじゃ)

 

 「え、えっと、デイス?さんは――」

 

 「ファイギルじゃよ、ファイギル。デイスは、称号でアストロンは家名じゃ」

 

 (ええええ。デイスってなんの称号だよ!)

 

  心の中で、ツッコミを入れる。


 「いや、称号じゃないな。なんと言おうか……友からのメッセージ。じゃな」

 

 「は、はぁ。メッセージですか」

 

 名前を伺ったあと、こうも聞く。

 

 「処刑って……」

 

 処刑って話。引っかかってるんだよね。

 あれか?王様に、勇者を生き返らせろ。

 的なこと言われて、勇者が逃げちゃったから責任とって死ぬみたいな?

 

 「いや、あれは寝言じゃよ」

 

 「え?」

 

 「寝言じゃ。言ったじゃろ。

 元、宮廷魔術師団長じゃと。もう、やめとるわ。今は山小屋で一人暮らしじゃ」

 

 (なんだ。そうだったのか)

 

 「へ、へぇ」

 

 「ゾンビよ。お主も来るか?」

 

 「え?いいんですか?」

 

 「あぁ。一人じゃ生きれんだろう?」

 

 「で、では、お言葉に甘えて……」

 

 「よし、決まりじゃ」

 

 「どこに、あるの――!?」

 

 どこに、山小屋があるか聞こうと思い声を発すると、

 

 「行きましょうか」

 

 (え?ん?誰ですかね?)

 

 老人だった、はずの人が女性に変わっていった。

 何というか、赤髪で緑色のきれいな目の女性に変身というか、何というか。

 取り敢えず、美人な女性になりました。 

 

 「何か、ありましたか?」

 

 「え?いや……」

 

 心なしか、口調も変わっている気がする。

 

 「もしかして、この姿のことですか?」

 

 「え、まぁ。はい」

  

 「この姿は……」

 

 あれから、十分ぐらい話を聞いた。

 質問し、答えが返ってくる。また、質問。

 繰り返した結果。やっと分かった。

 

 どうやら、普段は老人の姿で、金を取ろうとして来た悪党を返り討ちにする。

 女性の姿の時は、男性が襲ってくるそうだ。

 

 (治安悪る!)

 

 と、思ったのだがこんなに美人なら納得できてしまうのが怖いところだった。

 襲ってくる、男性を返り討ちに。

  

 (どうやら、返り討ちしかしないらしい)

 

 勿論、金をとるけどね?

 とか、女性の姿で笑いながら言ってきた。

 可愛いはずなのに、何故か背筋が伸び、冷や汗をかいた。

 

 (怖いな。女って)

 

 会話を終えて、お互いに理解しあった。

 いや、俺はなんも言ってへんけどね。

 

 一瞬で、山小屋の前に転移して来た。

 

 「ここが、山小屋です」

 

 まだ、女性の姿のようだ。

 老人より、接しやすいだろう。とか言ってたけど、逆に接し難い。

 だが、外見だけなら可愛いので苦情は言わないでおいた。

 

 「でかいですね」

 

 「そう?」

 

 「はい。とても、大きいです」

 

 (あれ?なんか、今変なふうに聞こえなかったかな?

 その、別に胸のことじゃないですからね?……違いますよ?本当に違いますからね)

 

 「まぁ。大きいなら、良かったわ。

 過ごしやすいって事でしょうからね」

 

 少し、小声であと、

 (顔!赤面しながら、言わないで。マジで変なこと言った感じになるじゃん)


 「ちょっと、待ってて」

 

 「はい?」

 

 そう言って、ファイギルは小屋に入っていった。

 1分後。

 

 「偽装っと」

 

 手に、白色の粉を持ちその粉を俺にかけて

 偽装と叫んだ。

 

 すると、いきなり。

 

 「あれ?もしかして、この姿は」

 

 なんと、前世の姿に戻っていたのだ。

 

 「あら、案外、いいじゃない」

 

 「何がですか?」

 

 「あ、いやぁー。顔が……ね?」

 

 目を泳がせながら、言われましてもね……そう思いながら感謝の気持ちを伝える。

 

 「まぁ。ありがとうございます。こっちのほうが、しっくりきますから。

 

 鏡も、持って来て確認して下さいと言ってるね。

 戻してほしかったら、言ってほしいそうだ。

 まぁ。戻すって案は却下だな。

 

 「あの?これから、俺は何をすれば?」

 

 「そうね、そうだ……」

 

 

 

 

 

多分、続編あります。

読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ