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5 とりあえず、言う通りにしてみる
その夜、俺は近所の電気屋で電球を買い、スーパーで夜の割引セールをしていたサーモンのお刺身も買ってアパートに戻った。
そして部屋に入り、ちゃぶ台の上でテレビの方に向いていた太郎(朝出る時は押入れの中に居たのに⁉)を抱っこして(中の綿が縮んでいるのか、大分体がヨレヨレだ)、頭をなで(毛並みもケバケバだ)、頬ずりをして(近くで見ると、本当に可愛くない顔だ)、事務的な口調で、話しかけた。
「ただいま太郎。今日も留守番ありがとうな」
すると太郎は夢の中と同じオッサンの声で、
『うむ、御苦労であった』
とは流石に言わなかったけど、心の中ではそう言っているような気がした。そしてその後太郎を抱っこしながらサーモンのお刺身を食べさせてやり(食べさせると言っても、太郎の口元にお刺身を持って行き、食べさせるフリをするだけだけど)、その後寝る支度を整えた俺は、太郎と一緒に布団の中に入って眠りについた。
ぐぅ・・・・・・。