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第6話 高難易度ダンジョンを最速で攻略しろッ!



「いいか、黙って俺についてくれば45分後には魔王戦だからな、覚悟しておけよ」


 海賊船での移動は、ゲームとは思えないほど快適で、心地良い風を皆が浴びていた。

 常識に捉われない圧倒的攻略法はまだまだ続く。


「――して、あ殿。吾輩たちの戦力で魔王を倒せるのであるか?」


「そうだよ、私だって白魔法しか使えないし、カイムさんもこんなんだし」


 船で世界中を駆け巡るほどの時間もなければ、強力な武器防具、仲間だって足りていない。


「大丈夫だ、次に仲間にする奴はこの世界で最も強いと言っても過言ではない。それにカイムはこんなんだが相当役に立つ男なんだぞ」


()()()()と困難が合わさって不吉な言い回しであるな」


 俺たちの船旅は最短最速だった。



 ――《新大陸 トラッカの町》


 船での移動はものの数分。新たな地へと到着した。

 緑豊かな環境の中で文明が発達した機械の町トラッカ。ここではロボットのような人間が歩いている。


「うわぁ、すごい! ここは機械の町なのね」


 ここでも様々なイベントが用意されているのだが、俺は一言だけ仲間に伝える。


「よし、ブクマ完了したし次行くぞ!!」


「あれえぇぇ!?」


 このゲームでのブックマークとは、移動アイテムや魔法でいつでも戻ってこられるようにするためのチェックポイントのことである。


 つまり、今はまだこの町に用が無いのだ。



 ――《沼地 フィールド》


 走る! 走る! とにかく走る!

 新大陸のモンスターは凶悪極まりなく、まともに戦闘すると即全滅である。


 ここを抜けた先にある塔が、このRTAのかなりの難所だ。



 ――《英知の塔 ディアブロ》


「さぁ、気合い入れてついてこいイルル!! 死ぬんじゃねぇぞ!!」


「怖ッ!」


 強力な全体攻撃魔法を駆使するモンスターが複数。それに一撃が重いモンスターもいる高難易度ダンジョン。こいつらから逃げられないと、ほぼ全滅が確定してしまうのだ。


 聖水を正しく使用し、本来の『敵と遭遇しにくくなる』効果を途切らせないようにしながら走る必要がある。


「そうだ、カイムおまえ高いところ飛んで、敵の位置を俺たちに教えてくれよ」

 

「む、吾輩役に立つであるな」


 ちょっと嬉しそうにチョビヒゲ幽霊が飛び上がる。

 まるでVRゲームのような仕様を、咄嗟に機転を利かせて対応できるあたりが俺のアピールポイントだ。視聴者が俺たちをちゃんと観れてるのかすげぇ気になるが。



 ――《英知の塔 最上部》


「ここが……」


「オイコラさっさと中央にある宝箱開けて中身を取れや!!」


 罵声を浴びせながらも、俺は部屋の奥にある電子の檻へ向かい、とあるパスコードを入力した。


「あ殿、やりましたぞ! 『賢者の本』が見つかったであるな」


「これがあると私も賢者になれるのかな……って勇者何やってんの?」


 ガラガラと音を立てて檻が崩れ、新たな宝箱が見つかる。

 急いで中身を取り出して俺は叫んだ。


「最強装備2つゲット!! おい、もう帰るぞ!!」


「うぁええッ!?」



 ――《新大陸 トラッカの町》


「……あの、本当に私なんかで良いのですか?」


 俺は即行でサイキック魔法使いちゃんを口説いた。


「お前は世界最強の魔法使いと言っても過言ではない。俺たちをサポートする魔法が使える(ようになる)お前がいなければ、俺たちは魔王を倒せない」


「ゆ、勇者さまぁ……」


 勇者は彼女の肩にポンと手を置いた。


「頼んだぞ、ミュミュ」


「は、はいっ! 私、がんばります!!」


 戦士がふよふよと周りを飛びながら頷いている。歓迎しているようだ。

 イルルはまだ息が切れていて、両ひざに手を置いている。


「吾輩も頑張りたいであるな」


「お前は最終盤まで黙ってろ」


「厳し過ぎるであるな」



【現在のタイム 0:42:55】

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