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寝る前はやること沢山なんですよ?

 



 慌ただしく夜を迎える準備をするドロシーちゃん。

 夕飯はどうしてもお肉らしい。まぁ馬車生活が始まるなら体力付けるためにもある程度食べなきゃないけないよね。

 でも、一緒に買い物について行ったおかげでお肉の量は半分。それ以外に野菜とフルーツを出してもらうことに成功した。



 -りぃはお野菜とかフルーツが好きなんですか?

 -食べ物は何でも好きだよ。だからいつも体のために選んでるって感じかな。

 -やはり食生活もこちらとは違うみたいですね。辛くないですか?

 -いや、食材とかはほとんど一緒だから助かってるよ。見たことも無いもの出されたら困ってたところ。

 -あぁそうですね、私たちの世界は元々が同じものらしいですからね。



 そのおかげであまり変わりはないのでしょうとクルーシャはその事が記載されていると聖典の内容を話してくれた。

 でも説明してくれたクルーシャには悪いのだけど、正直あんまり理解出来てない。

 私が理解出来たところといえば、世界を作った神様が同じ世界もいくつか作ったってこと。

 こっちの世界には魔法が使える人間とそれと魔物や動物。あちらの世界にはなんの力もない人間となんの力もない動物。そっちの世界には水を溢れさせ海の生物を多くと言った感じに。



 -元の世界が一緒だから生態系はほとんど一緒なのでしょう。ただ魔力持ちの私たちは魔物と戦うためにあまり生活向上は行えず、力のないりぃの世界では脅威等は少なく、生活向上に力を入れ発展したといった印象ですね。

 -………。

 -りぃ?

 -ねぇ、ルーシャ。あなたって頭いいの?

 -頭いいというか…お勉強や本を読んで知識を得るのは好きですよ。



 新たなる発見。お勉強大嫌いだった私とは逆にお勉強大好きクルーシャ。これは…上手くやって行けるかしら…?

 ま、まぁ、プラスに考えれば苦手な所を補えるということでオッケーでしょ!




「クルーシャ様お夕食整いました」

「ありがとう」



 ドロシーちゃんの手作り料理がテーブルにずらりと並んでいる。

 ちょっとリクエストしすぎたかな?と思いちらりと顔色を伺うと満足そうな表情で椅子を引いて待ってくれている。



「どれも美味しそうですね」

「ありがとうございます。…クルーシャ様がこのような頼みをされることはありませんでしたのでわたくしめ嬉しくて張り切りすぎてしまいました」

「まぁ、そうなの?」

「はい。是非これからも食べたいものがありましたらわたくしめにお申し付けくださいまし」



 頼んでよかったみたい。ほっとしながら席につき食事を始める。



 -いただきます。

 -その言葉は?

 -ご飯を食べる時の挨拶みたいなものかな?こっちでは無いみたいだけど、何となく言いたくなったんだ。

 -いただきます…。食材を、命を、という意味ですかね。いい言葉だと思います。じゃあ私も、いただきます。



 まずは野菜から食べ終え、あとはあっさりめのスープ、鶏肉のソテーとパンをバランスよく食べ進める。


 野菜から食べるのは最初に食べたものの吸収が1番多いから、油物前に食べた方がいいんだよね?

 あんまり詳しくは覚えてないけどそんなことを考えながら美味しく全ての料理を食べ終えた。

 ちゃんと食後のフルーツも頂きましたよ。



 -はぁ、食べた食べた!ご馳走様でした!

 -ご馳走様でした。色々な物を食べましたね。

 -なるべく色んな食材を食べたほうがいいんだよ。ただ食べ過ぎ注意!あと、カロリー多いのも控えた方がいいの!

 -カロリー…?



 そうだよね、カロリーとか言われてもわかんないよね。かと言え説明出来そうにないし、ここら辺は私が考えていけばいいか。



「お食事の片付けが終わりましたら湯浴みになさいましょう」

「えぇお願いします」



 お風呂も出来れば改善したいけど旅中は難しいよね。出来れば湯船に浸かりたいと思うのは日本人ならではなのかな?

 あんまり疲れが取れた感じがしないまま、いつも通りの湯浴みを終え、ドロシーちゃんは退室していった。



「明日も朝早くでございますので、お早めにご就寝くださいまし」



 と、念押ししてから。

 私も睡眠時間の大切さはよく知ってるからね。と、今日買ったものの中から陶器の瓶を2本取り出す。

 お店で買う際に瓶がないと買えない、量り売りのような販売方法だったので慌てて近くの雑貨屋さんに白い陶器の瓶と青っぽい陶器の瓶を買ったんだ。

 慌てて買ったにしては蔦の模様が可愛いデザインのものが買えたので私もクルーシャも大満足だった。



 -今日買った油と蜂蜜ですか?

 -そう!これでちょっとスキンケアとかしようかなって。

 -スキンケア。また知らない言葉です。りぃと一緒だと新しいことばかりで楽しいです!



 ワクワクしてくれてる所申し訳ないがなんちゃってスキンケアだからな。

 私に化粧水とか美容液とかトリートメントとか作れる技術があれば自信満々で教えれるのに、私の知っているのは貧乏時代に何とかしようとした生活の知恵、みたいなものだからなー。



 洗面台に向かい、汲んでおいてもらったお水でパチャパチャとリズム良くパッティングする。湯浴み中にお湯を使って顔の汚れは落としてあるし、肌も水分補給しなきゃね。

 ある程度水分が行き渡ったら瓶から蜂蜜を本当に少量取り出す。

 手のひらで薄く伸ばして顔にパックするように蜂蜜を広げる。



 -蜂蜜を顔に…?

 -パック、保湿代わりになるんだよ、たしかね。



 そうですか、と返事は貰ったが後ろにクエスチョンマークがついていた。多分理解出来てないんだろうなと思う。とはいえ、私自身クルーシャが満足するような効能とか覚えてないから理解して貰うのは難しいだろうな。

 よし、満遍なく塗り終わったら蜂蜜はちょっと時間置いてから水分を含ませた布で優しく落とす。ここでゴシゴシしたら肌に傷つくし、しわの元だ。慎重にベタつきが無くなるまでちゃんと落とさなくては!


 さて次に、オリーブ油を取り出す。

 ドロシーちゃんに入念に梳かして貰った毛先にこちらも少し伸ばすように伸ばす。

 あまり付けすぎるとベタベタになるし、毛先だけで留める。

 そのまま足に油を塗り、拳を作って足下から上に向かってマッサージをする。

 老廃物すごいな。ちょっと触っただけで痛いや。



 -り、りぃ?凄く痛いんですが…。

 -そっか、痛覚も共通だっけ…ごめんね。ちょっと我慢して。



 美は我慢なのよ!痛みを我慢するクルーシャを感じながら私も痛みに耐えて全身のマッサージをする。

 油も蜂蜜もなんだけど、こちらの世界では不純物とか全く入ってなくて助かった。

 保存料とか着色料とか入っていないから安心して肌にも使えるよ。

 腕や首元、デコルテ部分も入念にマッサージをする。老廃物は敵だから、絶対排除!



 -ごめんね。痛いだろうけどこれをすると浮腫み大分治まるから。

 -だ、大丈夫です。りぃの思うまま行動してください。それに足の疲労は少し軽減されたような気がします。

 -一日中馬車で座りっぱなしだからね、凄く浮腫んじゃうんだよ。だからきちんとケアしなきゃ。

 -りぃは色々知ってて凄いですね!



 キラキラさせて申し訳ないが貧乏時代の美容サバイバル時代の知識だからなぁ。

 あっ貧乏時代といえば…。



 -ねぇ、話変わるのだけどまた今日も過去を見る可能性があるんだったよね。

 -…忘れてました。そうですね…ごめんなさい。

 -ううん、話したけど過去を見られる分には何も感じてないよ。ただ、幼い頃から見てるということであれば、先に話しておかなきゃ行けないことがあってさ。



 最後にストレッチをしてから綺麗に整えてあるベッドに入る。灯りはランタンのみにして残りの部屋のランプは消す。



 -突然私の過去を見ちゃうと多分ショックだと思うから、説明するね。



 とは言ってもあまり私自身喋りたい内容では無いのだけど。

 私の様子を感じとったクルーシャが聞き漏らすことのないようにと、静かにこちらに耳を傾けている。



 そうしてベッドで微睡みながら、私は9才の私についてゆっくりと語り出した。





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