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【IF】第一弾 ─七夕─

こちらは「罰ゲーム告白を懇切丁寧に傷つけないように断った結果」の主人公とヒロインの行事ごとのIF話を詰め込むところです。


本編をお読みでない方は、そちらからお読みいただけると、より楽しめると思います。


今回は、「もし、二人が付き合っている場合の7月7日の出来事」です。


 今日は七夕。

 織姫と彦星が、1年に一度、会うことが許された日。

 現代では、願い事を短冊にしたためると願いが叶うという風習が出来上がっているわけだけど、願い事は自分で叶えるべきことだと僕は思っている。

 けど、ここに七夕で大盛り上がりを見せている人がいるので、なんとも言えない。


「ねぇねぇ、良一! ほら商店街が七夕一色だよ、七夕! 短冊書こ、短冊!」


 現在、玲奈と共に、とあるアーケード商店街の七夕祭りにやってきている。

 そして、商店街を見た玲奈のテンションが鰻登りに上がっている、というわけだ。


「わかった、わかったから……そんなに手、引っ張らないで」

「早く行かないとなくなっちゃうかもしれないでしょ? だからほら、早く行くよ!」

「うわっ、ちょっ、だからそんなに引っ張らないでって!」


 急に、さっきよりも強く速く引っ張られたため、コケそうになる。

 しかし、玲奈は僕の呼び止めに答えず、僕くの手を引きながら一直線に商店街の道を進んでいく。

 この商店街に着いた時から、屋根に届くほどの大きな笹が見えていたため、そこに向かっているのだろう。

 チラチラと短冊も見えるし。


 ◆


 笹のところに到着すると、子連れのママさんやパパさんが大勢とカップルっぽい男女ペアが多少いるといった感じだ。

 僕と玲奈は完全にカップル側だけど。


「良一、短冊もらってきたよ!」

「えっ⁉ いつの間に⁉ というか、よくあの人混みの中から短冊取ってこれたね」

「私、ああいう人混みの中を移動するの得意だから」

「そういえばそうだったね」


 去年の夏祭りの時の玲奈は凄かった。

 僕的にはほとんど歩くスペースないんじゃないかと思うくらいの人混みの中を、スルスルと間を縫って歩いていく玲奈。

 しかも、浴衣姿で全くぶつからずに。

 あれは本当に凄かった。


「さ、書くよ、良一。はい、ペン持って」

「ペンまで……。でも、書ける場所がないよ?」

「そんなのは自前の何かで補えばいいの。ほら、良一のリュックの中にラノベ入ってるでしょ?」

「いやいやいやいやいやいや……! ラノベを下敷きになんてできないよ!」


 ぶんぶんと顔を横に振りつつそう言いながらリュックを庇うように玲奈から後退る。


「カバー付いてるからいいじゃん。付いちゃったら後で替えればいいんだし」

「話聞いてた⁉ 下敷きにすること自体ムリってつもりで言ったんだけど⁉」

「お願い、良一」

「承った」


 上目遣いでお願いされた僕は、即答でオーケーしてリュックからラノベを取り出した。

 最近、玲奈に上目遣いされると断れなくなってきた。

 これは良い傾向なのか、悪い傾向なのか……。


「ありがとう、良一!」


 そしてこの嬉しそうな笑顔である。

 最初にされた時もそうだけど、このコンボには逆らえない気がする。

 そんなことを思いつつ、僕が出した2冊のラノベをそれぞれ下敷きに、短冊に願い事を書く。

 うーん、何を書こうかな。

 ここはやっぱり、ベタな感じで行こう。

 ……よし。

 うん、いいんじゃないかな?

 周りから見ても曖昧な感じで。


「書けた?」

「あ、うん。玲奈は?」

「私も書けたよ。見せ合いっこする?」

「い、いいけど……」

「じゃあ、せーのでいくよ。はい、せーの!」


 玲奈の掛け声で同時に見せ合う。

 そして、お互いの短冊に書かれたことを見て、同時に吹き出したのだった。


 ◆


 その後、短冊を笹に括り付け、商店街を見て回ることにした。


「いやぁ、まさに、運命ってやつだったね」

「そうだね。あれはまさかだった」


 僕達が書いた願い事、それは――



【今のこの関係が、いつまでも続きますように 良一】

【良一との関係が、いつまでも続きますように 玲奈】



ありきたりな終わり方でしたが、いかがでしたでしょうか?


楽しんでいただけていたなら幸いです。


2020/7月11日

追記:書いてほしい話を感想にて募集したいと思います。IFなので、「もし良一と玲奈が異世界に行ったら……」といったものでも構いません。お題をいただいた場合、「今回は、〇〇様からいただいた〜」と書くつもりですので、それでも構わないという方はどしどし感想へお題を書いてください。よろしくお願いいたします。

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