揺らぎの始まり
初投稿です。
自分の作品を投稿することにとても緊張しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
今日も空は真っ青だ、と言いたいところだけど、あいにく今は夕暮れ時。空はオレンジ色に染まっている。
病院のベッドに寝っ転がり、僕は窓の外に広がる景色を眺めた。
包帯でぐるぐる巻きにされた頭は頭痛がひどいし、内臓もなんだか疲弊しているみたいだ。さっきから締め付けられているみたいに痛む。
「カヅキさん、退院が承認されました。コテージに戻っていただいて大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
「お大事になさってください。」
ナースが部屋に入ってきて、退院の許可を告げた。彼女が持ってきた台車には、僕の持ち物一式と新品の服が置かれていた。
病院服から普通の服に着替えて僕は、持ち物を持って家へと歩き出した。
病院から家は歩いて十五分ほどの距離の場所にある。綺麗に舗装されて、街路には緑樹が植えてある歩道をテクテク歩く。
この時間帯には、僕以外に歩いている人はいない。今は七時ごろ。もう既に皆、家に帰り、家族との語らいを楽しんでいる頃だろう。
それにしてもラッキーだった。
事故にあったとはいえ、僕は即死で済んだ。
他の人々はどうだったのだろうか。やはり、苦しんだのだろうか。それとも、僕と同じように運良く即死だったのだろうか。
こんな生産性のない思考は何も生まない。
そう思った僕は、いつのまにか家に到着して寝る準備も終えていたことに驚愕する。
新しい僕になっても、案外普通に、違和感もなく暮らせるもんなんだな。
そうして僕は、明日からまた始まる日常に備えて寝ることにした。