6話・決闘とアリスの涙
「「決闘!!」」
その声と同時に一気にアリスに向かって走り出したサラと
逆に後ろに走り出したアリス
一気に距離を詰めようとしたのに逃げられたサラは、イラッとして叫んだ
「アンタ!ちゃんと闘いなさいよ!」
「こっちは距離があるほうが闘いやすいの!」
アリスはサラの方を向いてファイアを放った
大きさは半年前の5倍程、それを3連射した
それをギリギリで避けたサラ、距離を詰めながら叫ぶ
「逃げながら戦わないでこっちへ来なさい卑怯者!」
そう叫んだ瞬間、アリスは逆に一気にサラに詰め寄った
虚を突かれたサラは、それでも鋭い突きを放つ
アリスは突きをすれすれで避け、『アレ』をサラの口に突っ込んだ
(え?なにこれ?、、、!!?)
「がら゛ーーーい゛!!?」
慌てて距離をとったサラ、しかし、かなりの辛さに思考は麻痺していた
アリスがサラの口に突っ込んだのは半年前にも使った唐辛子、未だにアリスは唐辛子を使っていた
「アイスニードル!」
アイスニードルは1メートル程の氷のトゲを投げる魔法だ
アイスニードルはサラの左腕に刺さった
「ーーッ!!?キャアーーー!!?」
サラに激痛が襲い、叫び声を上げた
ゲームなので傷は残らないし、血も出ないが、痛みはあるのだ
「くう、、卑怯者!」
アイスニードルの一撃はかなりのダメージを与えていた
(凄い威力!あんなのあと2回もくらったら、、、)
そう考えたサラは、素早く装備を変更する、服等を変更する時、少しの間裸になってしまうので、物陰に隠れた
装備を変更したサラはまたアリスと対峙した
(装備を変えた?サラは本気じゃなかったのか)
「それがキミの本気?」
「ええ、そうよ、覚悟しなさい!」
サラは今までの2倍のスピードで攻めてきた
(うわっマズイ!?)
スピード型の敵はアリスの天敵、アリスは早速肩に一撃をくらった
「あの時!アンタに追いつけないのが悔しくて!スピード型に能力を上げたのよ!」
更に回し蹴りを受けて吹っ飛んだアリスはうめき声を上げながら立ち上がった
(うぅ、凄い威力、マズイ、もう後がない)
「もう終わり?このゲームを支配している割には弱いわね」
(だって支配なんてしてないし、、、)
「さて、負けを認めてゲームを元通りにしなさい、消えたく無ければね」
サラはアリスの首に細剣を当てた
「ボクはアリスと同じ名前なだけ、だから無理だよ」
「嘘言わない!あの時町に紛れ込もうとしたからあそこにいたんでしょ!」
「どうして紛れ込む必要があるんだよ!」
「自分が見てるだけのゲーム程つまらない物はないわ」
「じゃあどうしてキミに負けたんだよ!普通は誰でも最強がいいだろ!」
「目立たないようにするためよ、それにありえない『魔法』を持っているじゃない!」
ボクは言葉に詰まった、もはや自分が『アリス』じゃないという証明が出来ない
いつの間に集まった野次馬からも罵声がとんでくる
『アリスめ!俺達を元の世界に帰しやがれ!』
『そうだ!そいつは前に自分を倒せばこのゲームから出られると言っていた!首を撥ねちまえ!』
アリス達の居る広場が物凄い大騒ぎになる
今、野次馬達がアリスを殺さないのは今決闘中だからだろう、決闘中は他の人は手を出せない、決闘でなければ誰もがアリスを殺そうとするだろう
そう思うと悲しくなって視界がぼやけた
「、、ぅ、グス、う、、うぅ、、、」
「、、、え?ちょっと?」
「、、な、、んで、、、ボク、、ば、グス、かり、、、」
「え?え?な、泣き落とし?え?え?」
サラは困惑した、大人数をこのゲームに閉じ込めた犯人が大泣きしたからだ
「う゛え゛え゛、ぐずっう゛う゛う゛」
(、、、本当にこんな少女が犯人なの?)
それは野次馬の二割程も考えていた事だった
そのせいで広場は大騒ぎになった
『あんな少女がアリスな訳無い!』
『ただの泣き落としだ!早く殺せ!』
『酷いよ!あの子、本当はまだ幼いんだよ!』
『ケッ!どうせ狂った中年女だ!』
広場が大騒ぎの中、サラはずっと困惑していたが、目の前にメッセージが表示されて慌ててアリスに目を向けた、そこには泣き疲れて眠ったアリスと、アリスをお姫様抱っこしてで広場から逃げようとする謎の長身の男
サラは急いで男を追い掛けた
メッセージにはこう書かれていた
『ウイルス侵入により、決闘を強制終了します』
(あの男、一体何者!?)