【捻挫の代償】
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♂2︰♀2︰不問1
男子生徒 ♂ セリフ数:10
保健の先生 ♀ セリフ数:3
事務の先生 ♀ セリフ数:4
同級生 ♂ セリフ数:3
ナレーション 不問 セリフ数:12
[あらすじ]《5分程度》
六限目の体育。男子生徒は好きなサッカーの授業に舞い上がって怪我をしてしまう。捻挫として保健室に連れて行かれた男子生徒は、備品の確認に来た事務の先生に話し掛けた――。
【ナレーション】
生徒達が微睡み始める五限目。
教師の言葉を子守唄に、机へ突っ伏して眠る生徒や外を眺める生徒、いやしかし真面目に授業を聞いている者は居ないようだ。
そんな生徒達の様子を見るが、既に諦めているのか教師は呆れた顔をするだけで、特に言及はしないようだった。
☆
【ナレーション】
チャイムが鳴り、生徒達が各々、席を立つ。
教師は半ば諦めながらも、テストに出るから復習しておくようにと言い含めて教室を出た。
【男子生徒】
んー! ああ、眠たかった…。
五限目に現代文の授業はきっついって。
【同級生】
おーい、次、体育だぞ。
【男子生徒】
やっべ、急がねえと。
【ナレーション】
同級生に急かされた男子生徒は、体操服の入ったバッグを持って更衣室へと走った。
廊下は走るな、という美化委員会が描いたポスターの前を駆けていく。
【同級生】
今日の体育、何やるんだろうな。
この間、サッカー終わったとこだし、また野球かな。
【男子生徒】
うわ、俺野球苦手なんだよな。
【ナレーション】
着替えながら愚痴を零している二人は時計を見遣って慌てる。授業開始前にグラウンドを一周するのがこの学校の決まりなのだ。
☆
【ナレーション】
野球だろうか、と思っていた二人だったが体育教師が野球よりサッカーが好きだと笑い混じりに言ったので今日の授業はサッカーに決まったようだ。
ラッキーだな、と顔を見合わせた二人は準備運動は怠るなよ、という声に返事をした。
【同級生】
おーい、そっちにボール行ったぞー!
【男子生徒】
りょーかーい!
【ナレーション】
同級生からのパスを受けて、男子生徒がゴールに向かって駆ける。そうしてボールを蹴ろうとした時だった。
【男子生徒】
ぅわ……!?
【ナレーション】
バランスを崩して転倒した。
ゲームは一時中断され、男子生徒は保健室へと運ばれたのだった。
☆
【男子生徒】
痛い、痛いって先生!
【保健の先生】
捻挫してるんだから当たり前でしょ。
暫くは歩く時も気をつけてね。
【男子生徒】
ぅ、……はーい……。
【ナレーション】
拗ねたように返事をした男子生徒に、保健の先生はクスリと笑ってから包帯を片付けた。
【保健の先生】
授業が終わるまでここに居なさい。
カバンは友達に持ってきてもらうといいんだけど。
【ナレーション】
保健の先生の言葉に男子生徒は頼んでみます、と返事をして窓から体育の授業を眺める。
暫くそうしているとノックの音が聞こえて、可愛いと噂になっている事務の先生が入ってきた。
【事務の先生】
保健の先生、今大丈夫ですか? 備品の確認をしたいんですが。
【保健の先生】
えぇ、構いませんよ。
【ナレーション】
その様子を詰まらなさそうに見る男子生徒は、グラウンドとそちらを交互に見ながら、やがてグラウンドから目を逸らした。
【事務の先生】
あら、捻挫ですか? お大事に。
【男子生徒】
よく捻挫するから大丈夫です。
事務の先生って備品の確認までするんですね
【事務の先生】
最終チェックは学校側がしないとですから。数を間違えたら大変でしょう?
【男子生徒】
それもそうですね。
【ナレーション】
他愛もない会話をしながらも、彼はこの状況が少し楽しく思えた。ズル休みをしている時とは違って怪我をしているという正当な理由があるからだろうか。
【男子生徒】
ねえ、授業終わるまで話し相手になってくださいよ
【事務の先生】
ごめんなさい、保健室の備品の確認が終わったら次は家庭科室の方へ行かないといけないんです。
【ナレーション】
呆気なく振られた男子生徒はちぇ、と拗ねるとまたグラウンドへ目を向けた。後半戦が始まったらしい。
男子生徒は先生達に構うのをやめて、チャイムが鳴り終わるまで試合を見学していたのだった。
STORY END.