【探偵の真似事】
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♂3︰♀2︰不問0
女傭兵 ♀ セリフ数:29
可愛い少女 ♀ セリフ数:5
気弱な少年 ♂ セリフ数:4
見張り兵 ♂ セリフ数:11
牢獄の罪人 ♂ セリフ数:6
[あらすじ]《9分程度》
女傭兵は郷に帰るや否や何やら城の方が重々しい雰囲気に包まれている事に気が付いた。一応は、と傭兵のバッチを付け、見張り兵に話し掛けたのだった――。
【女傭兵】
久しぶりだな、この街に帰ってくるのも。
……っと、何やら城の方が重々しい雰囲気だな。少し立ち寄ってみるか…。傭兵のバッチも付けているし大丈夫だろう。
☆
【女傭兵】
おい、何かあったのか?
【見張り兵】
傭兵の方ですか! いや、実はですね、死刑判決された罪人が居るんですが…その罪人の弁護人が急死したって騒いでいるんですよ。
【女傭兵】
弁護人が急死? 妙だな……。
まだ先だろう? 死刑執行は。
【見張り兵】
えぇ。代わりの弁護人を立てると言うのですが罪人の方もかなり信用していたらしくて死んだ弁護人しか受け付けないと言っているみたいで。
その罪人、貴族殺しで捕まったんですよ。凶器は鋭利な刃物。ズタズタに切り裂かれていたとか…。
【女傭兵】
ふむ、そうか。確かに貴族殺しは重罪だな。
話してくれて助かったよ、ありがとう。
☆
【女傭兵】
さて、原因が分かったのはいいが重々しい雰囲気が城下にまで広がっている。これは良くないぞ。
【可愛い少女】
お姉さん、お姉さん
【女傭兵】
ん? どうしたんだい?
【可愛い少女】
お姉さんはお城の人?
【女傭兵】
いいや、城勤めではないよ。この街の生まれではあるがな。
【可愛い少女】
そっかあ、残念……
【女傭兵】
何かあるのか?
【可愛い少女】
この子のお父さんが地下の牢屋に入れられてるんだよ。お手紙届けたいんだけど見張りの兵士さんに追い返されちゃったの。今は忙しいんだって!
【気弱な少年】
…………、あ、…こ、こんにちは。
【女傭兵】
牢屋ってまさか。
【気弱な少年】
パパ、悪い人じゃないよ…。最近はずっと仕事ばっかりで帰って…こなかったけど今度の休みは一緒に遊ぼ、って言ってくれたし……。
パパが死刑囚なんて嘘! パパは……パパは悪い人じゃ、ないんだもん……。
【女傭兵】
……よし、分かった。その手紙は私が君のパパに届けよう。
【気弱な少年】
っ! ホント!?
【女傭兵】
私を信じたまえ。この銅製のバッチを付けていれば城の中へだって入れるからな。必ず届けてあげるから君達はお家へ帰りなさい。…ね?
【可愛い少女】
お姉さん、ありがとう……!
【気弱な少年】
パパの事、よろしくね……。
☆
【女傭兵】
見張りの君、ちょっといいかい? 久々に帰郷したからね。城の中を見て回りたいんだが大丈夫か?
【見張り兵】
はい、牢獄の方へ近寄らなければ何も言われないと思います。…どうぞ。
【女傭兵】
ありがとう。
☆
【女傭兵】
城の中はそんなに変わってない…。
歴史書の解読部屋が広くなってるくらいか。
……、さて。シフトが変わってなければそろそろ牢獄の見張りの交代の時間だな。
☆
【女傭兵】
よお、お疲れさん。
清掃の婆さんが牢獄に忘れもんをしたみたいなんだ。取りに行ってくれと頼まれたからちょいと降りていいかい? すぐ戻ってくるからさ。
……騙した私が言うのもなんだが、警備がずさん過ぎやしないか。この街の生まれとは言え、私はもうこの城の傭兵ではないのだぞ。
☆
【牢獄の罪人】
……傭兵さん、ですか?
【女傭兵】
この城の者じゃないがな。
これを届けに来た。言っとくが内密な事だから静かにしていてくれよ
【牢獄の罪人】
これは…あの子の字……
【女傭兵】
城下でアンタの息子に会ってね。手紙を届けるように頼まれちまったのさ。
それで? 死刑囚とやらになってるみたいだが実際はどうなんだ?
【牢獄の罪人】
俺にもよく分からないんです。仕事帰りに夜道を歩いていたら突然視界が真っ暗になって、気が付いたら、目の前に貴族が血塗れで倒れていました。
必死に弁明しましたが、聞く耳を持ってくれたのは弁護人の方だけでした。まだ凶器すらも分かってないのに死刑確定なんて……。
そう言えば今日はまだ弁護人の方来ていませんね。
【女傭兵】
は?
【牢獄の罪人】
え?
【女傭兵】
………………なるほど、そういう事か。
【牢獄の罪人】
傭兵さん?
【女傭兵】
詳しい事は分からないがとにかくアンタは無罪だね。私が証明するよ。
すまないが私はやる事が出来た。手紙は確かに届けたからな。
【牢獄の罪人】
え、ちょ、…傭兵さん!?
☆
【女傭兵】
やあ、見張りの君。
……私は君に聞きたいことがあるんだ。
【見張り兵】
どうされましたか? 城の見学は済みました?
【女傭兵】
嗚呼、変わりなくて逆に拍子抜けしてしまったよ。警備が少しずさんなのが気になったがな。
【見張り兵】
それで、ボクに聞きたいこととは。
【女傭兵】
単刀直入に言おう。
今話題に上がっている罪人の罪は貴族殺し。しかし本当はその殺し、君がやったのでは? そして、弁護人殺しも。
【見張り兵】
な────、何を言うかと思えばそんな根拠も証拠もない様なことを…! からかうのもいい加減に……!
【女傭兵】
なら何故君は凶器を知っていたのだ。罪人が何を凶器に使ったのか自供していないから凶器の分かってない状態で死刑が確定したにも関わらず、君は『鋭利な刃物』と言ったね?
【見張り兵】
う……、それは……。
【女傭兵】
勿論警備兵や医療班の見解も含まれるからその情報を鵜呑みにしていてもおかしくはない。でももうひとつおかしな点があるんだ。
君は私に言ったね?
『罪人の方もかなり信用していたらしくて死んだ弁護人しか受け付けない』と……。
罪人は弁護人が死んだ事すら知らなかったよ?
【見張り兵】
ど、どうしてそれを……、はっ!
【女傭兵】
……(唇に笑みを浮かべて)
自供は取れたね。それじゃあ私はそろそろ懐かしい我が家へ戻るとしようか。
【見張り兵】
……え?
【女傭兵】
勘違いはしないでおくれよ。
逃がそうなんぞ思ってやしないさ。
罪のない一般町民に冤罪を掛け、自らの罪を逃れようとした奴を私が逃すと思うかい?
逃げられるとは……、思わない事だね。
【見張り兵】
ひ、ひぃ……!
【女傭兵】
自首が一番だよ、見張りの君。
まあ、どうやったって逃げられないけどね、あとはお願いするよ、警備兵さん
【見張り兵】
(女傭兵に押さえつけられて)
くそ……! どうしてこんなはずじゃ…ぅぐ……!?
【女傭兵】
人の命を奪った代償は大きいんだ。よおく、覚えておくといい。
STORY END.