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その5 射的場の景品

「ほんまに元の世界へ戻れるかいな」


 悠貴は、人間たちのいる世界へ戻りたいという願望に駆られていた。しかし、その願望が叶わないことにあきらめともとれる表情を浮かべるようになった。


 仕方がないので、悠貴は再び新世界の通り道を歩くことにした。少し足を進めると、何やら動物たちが列を作って待っているのを目撃した。


「あんなとこで一体何をしてんやろか?」


 悠貴が行ってみると、そこは『なみはや堂』の看板が掲げられた射的場である。あまりの人気ぶりに、動物たちが長蛇の列を作って待たなければならないほどである。


 簡単に言えば、景品を狙ってコルクガンで撃ち落とすという単純明快なものである。撃ち落とした景品はそのまま持ち帰ることができる。


 射的に興味を持った悠貴は、行列に並んで自分の番がくるのを待つことにした。悠貴の前にいる動物たちも、早く射的がやりたくて待ちきれない様子である。


「あれっ? 射的場の景品にあの犬が置かれとるやん」


 悠貴は射的場の中をのぞくと、景品の中に『アタラシイセカイ』に登場したサラリーマン姿の犬のぬいぐるみがあるのが見えた。欲しい景品を見つけると、悠貴は自分の番がくるのを今か今かと待ちわびている。


 たかが射的とあなどっていたら大間違いである。景品を取るためには、コルクガンをうまく景品に当てなければならない。


 いよいよ、悠貴の出番がやってきたので、トラのおっちゃんに500円を払ってからコルクガンを手にした。そのコルクガンで撃つことができるのは合計5回である。


「はようせんとあかんで。後ろがつかえとるやさかい」


 悠貴はトラのおっちゃんから促されると、すぐに狙うべき景品を狙いに定めて1発目を撃った。しかし、わずかの差で景品のぬいぐるみを外してしまった。


「外してもうたわ……。でも、まだ4発残っとることやし」


 狙っている景品はただ1つ、サラリーマン姿の犬のぬいぐるみである。悠貴は、どうしても欲しいその景品に向かってコルクガンを撃ち続けた。


「そ、そないな……。なんぼ撃っても、景品にいっこも当たらへん」


 狙っている景品にコルクが全く当たらない様子に、悠貴は自分の気持ちを小声でつぶやいた。それでも、残り1発を当てることができれば景品は手に入るはずである。


 悠貴は気持ちを落ち着かせると、ターゲットとなる景品のぬいぐるみにコルクガンを向けた。最後の1発を撃とうと、悠貴はコルクガンの引き金を引いた。

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