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Player  作者: 工藤将太
序章
1/20

001話 歯車は周り始める

皆様大変長らくお待たせいたしました。

どうも工藤将太です。

こちらの作品に既視感のある方、そうでない方がいらっしゃると思います。

こちらの作品は私のもう一つのアカウントとして登録していた[Fate Change]という作品を

工藤将太のアカウントで投稿するにあたり加筆+改変、リメイクした作品となっております。

リメイクをすることにした話は活動報告にて詳細があるので気になった方はご覧ください。


そしてネタバレはしませんが今現在投稿しているある作品と同じような部分が今後

出てきますがそれは後程お楽しみください。では楽しんでくれれば幸いです(^^♪

ある時、人類は絶滅に瀕した。

地球に飛来した謎の生命体から発せられたエネルギーは強く

人類のおよそ半分を魔力を有する魔物へと変化させ

そして人類と魔物との戦いは熾烈を極めた。


この厄災を引き起こした―"原初の魔物"

それが突如として姿を消しそれから

魔物への対抗勢力"狩人機関"が作られたことで

多くの者が狩人となり死体と絶望とかすかな希望を抱え

人類は"原初の魔物"へと抵抗し反撃をはじめ、

長い年月をかけ今、人類は魔物に支配される側から

支配する側へ、その姿へ変貌しつつあった。

同じ時期に狩人はある島で"神の剣"と揶揄される刀を3つ発見する。

発見されて以来、狩人は誰にも触らせないように厳重に保管することに努めた。

だが触らせない理由は決して厄災を避けるためでも

仕方なく持っているのものでもなかった。

その真の理由は神の剣の適正者を……見つけることにあったからだった。







『逃亡中の実験体は第一ゲートを通過。

 第二ゲートへ向かっているとのことです。』


「人員を上げ、実験体を捕らえよ!」


『了解。』


ウーウーウー鳴るサイレンに

警戒レベルは最高位までに引き上げられた。

こうなれば狩人は総員で奴等を迎い入れることになる。


『目標は実験体R、T、K…"神の剣"である。

 繰り返す。

 目標は"神の剣"である。

 狩人総員は速やかに

 実験棟収容所第二施設へ急行せよ。』


第二施設へ足を急がせる狩人達の足音は騒音に近いレベルで

また銃の装填音がガチャリと……魔術師や魔導師なども多数配属し

皆すべてが戦いの準備をしていた。


「"神の剣"にはなりたくないな。」


一人の黒髪の狩人が呟いた。


「急にどうしたんですか?隊長。」


「……この人数相手で殺されたくない。

 ということだ。

 死ぬなら死ぬで俺は逃亡を図る。」


まさに今その通りですよ、ともう一人の狩人は自分より上の

隊長と呼ばれる狩人へ突っ込む。

するとぞろぞろと集まる狩人をはけさせ、

隊長と呼ばれる男は数百人の紺の制服を着た狩人に向き直る。


「狩人一番隊隊長、霧島勇吾きりしまゆうごだ。

 目標は分かっているので3匹。

 それが俗に言う"神の剣"である。

 奴らの力は俺一人じゃ止めきれん。

 各員、迅速な援護と追撃と…殲滅を頼む。

 ……来るぞ。」


そして霧島は第二施設の第二ゲートを見やる。

ゴゴゴゴゴゴ…と開かれた闇の先。

そこに居たのは3匹ではなく1人だった。


(―"神の剣"ではない?)


現れたのは全身が黒い服で覆われた男、

顔が分からず真ん中に赤い目玉のマスクをしている。

そのとき狩人の一人が"黒騎士"と悲鳴を上げた。

黒騎士…噂には聞いたことがあると霧島は思い出す。

狩人とあるテロリストとの戦いにも加勢し狩人の多くを

たった一人で死に追い詰めた狂戦士バーサーカー

ざわざわと騒ぎ始める狩人らには目もくれず

霧島は依然として黒騎士それを見つめる。

そして無言で刀を抜くと霧島は音もなく、

同じく刀のようなものを抜いた

今まさに突進しようとする男にぶつける。

キィィィンと凄まじい音と風に周りの狩人は圧倒される。

緊張もまた張りつめていた。


「……"黒騎士"か…何故お前がここにいる?

 加勢なら剣を抜くな。そして跪け、殺してやる。」


『悪いがそれはできない』


そう言い放ち刀を振りほどき霧島は後ろに飛ばされる。

霧島が飛ばされたことで後ろにいた狩人もぞろぞろと倒れてしまう。

すると黒騎士は自身の持つ刀で自分の手のひらを刺すと、

紅い血ではなく赤黒い血。またそれを刀に湿らせると

その刀は生き物のようにうねうねと動き

変形しまるで恐竜のようなギリギリとした歯が見えた。


『"行け"』


刀を真っ直ぐ前に突き刺す形で黒騎士は霧島の後ろにいた狩人の頭を貫き、

その頭と首をなんと刀が食べ始めた。

電撃の効果があるのか斬られた狩人の周りは帯電してひるみ、

また黒騎士によって斬られ刀は狩人の頭を……と繰り返し

刀が満腹といった感じで動きが止まると、

霧島の背の後ろから宙返りのジャンプで

第二ゲートから少し歩いたところに黒騎士は着地する。

霧島はそんな黒騎士が仮面の中で笑っている気がしたと感じた。


「ちっ……!

 "神の剣"はどこだ…?!」


霧島は応戦するが被害は甚大で

1分も掛からずに目の前の黒騎士は

この場にいた狩人総員の3割を片付けていた。

痛々しい傷が見える仲間に、それを軽々しく扱う男。


(―――虫酸が走る…!!)


霧島は黒騎士に刀を向けカキィンッ…と互いに交える。

すると黒騎士から大量の黒い靄がかかりまさに"黒"と呼べるものへと

変化していく。


『"神の剣"はいない。逃がした。』


とギリギリ詰め寄る"黒"は淡々と話して何事も無いように

歯ぎしりをする霧島を目の見えない仮面で見つめた。


「神の剣も黒騎士おまえ

 永久にこの世界から消し去ってやる…!」


良い心掛けだ。

と言った"黒"はまたそのまま刀を

交えるのかと思いきや第二ゲートの扉に戻り何かの電子機器を

取り出して電話をするように軽い応対をはじめ


『……そうか。

 "神の剣"は脱獄に成功したようだ。

 これで戦いは終わりだな、霧島一番隊隊長殿。』


ではな、と黒騎士は徐々に形を失いその場で消える。

それもまた影のように。闇のように。

訪れた静寂に被害は最悪で狩人総員の半分が重軽傷を負っていた。

深追いはできない、だが目の前の闇に対しての好奇心は

抑えきれない。


「総員、救命処置が必要な者の手当てと

 急いで現在状況を上に知らせろ!」


俺はー…と霧島勇吾は

第二ゲートの奥へと足を進めた。






時同じくその少年だけがいる教室にて、

羅列した文字が淡々と写し出される紙の束を

淡々と書いていく自分は、いや。

そういう人達のことを世間は

勤勉家と言うらしい。

机に椅子をそして座って…

でもただ当たり前になってしまったことを

やっているだけだ。猿でもできる。

そんなことを僕は淡々と一人。

日が暮れその赤い光が僕を照らしている。

まるでライトステージに立ってるみたいの光だ。


「…もう夕方か……帰ろう。」


そう言って机の横にある鞄に

教科書やノートをしまい

椅子を引いて立ち上がり、

椅子を机に戻して下を見る。

何気なく見た床にもう日の光は無かった。

僕を照らしていた日ももう雲に隠れていた。


「……。」


無言のまま教室の扉に向かい

ドアノブを引こうとしたとき、

自動で回りガチャリとそれが開いた。

そして回した本人は俺を見て驚き後ろに倒れ尻餅をついた。


「きゃっ?!……あ…育斗…。」


「……!大丈夫か?唯。」


尻餅をついた本人、木並唯きなみ ゆい

僕、草童歌育斗くさわらべ いくと

差しのべた手に手を重ね

尻餅をついた状態からなんとか

立ち上がることが出来た。


「…ふぅ……勉強してたの?」


「切り替えが早いな……」


と笑うとドヤ顔でふふーんと

鼻を鳴らすがそれを無視してそれに答えた。


「数学の補習みたいなものだよ。」


「教えようか?」


そうしてくれるとありがたいんだけど…

と言い唯が右手に持っている紙を右手で指差した。


「面接試験とかあるんじゃねぇの?」


「あー……いや無いよ!

 あるはあるけど…私は攻撃系統には回らないから。」


攻撃系統?と考えすぐにその答えは思い浮かんだ。


「……そっか。狩人研修専門学校で学ぶんだっけ。」


「うん!そうそう。

 魅力を感じてあそこに行くことにしたの。

 そうだ!育斗は進学するの?」


とこの季節では当たり前のことを言われ

数秒絶句した後答える。


「僕らまだ中学生だから…進学以外はないかな。」


「もしかするとそうじゃないかもしれないよ?

 まぁ人それぞれだからね。」


人それぞれ…か。

だとしたら僕はどうなってしまうのだろうか。

受験までもう数ヶ月なのに進路すら決めていない。


「……大丈夫?」


怖い顔でもしていたのだろうか。

唯に心配され改めて気付く。


「大丈夫だよ」


自分がもう進学なんかを望んでいないことを。

それでも僕は回りを騙して生きていくしかない。

進学するためのお金はない。

奨学金でなんとかしたいが。

両親は他界した。

親戚もいないらしい。

両親が話してくれなかった。

そして葬式時も一人だった。

自然と泣かなかった。

一人で住んでいるがたまに幼馴染みの唯の、

その家族が家に招いてくれることはある。

だけれど僕には本当の居場所がもうない。

少しの間だけ唯のところで居候したけれど、

迷惑が掛かっていると思い

唯のお父さんと話してアパートを借りた。

飯はそこそこのものしか食べない。

両親が残してくれたのは唯一の写真とお金。

家は売ってしまったから何もない。

僕はただ、自分とかすれて見えなくなった

両親の顔の写真とお金を持って

この先生きていかねばならない。

いつまでも子供ではないし、

いきなり大人になってしまう。

楽しい時間も楽しくない時間もついには消える。

だから僕は孤独のままでいたい。

それだけでいい。


「ねぇ…唯。」


「…?どうかした?育斗。」


「決心がついたんだ。

 お前の親父さんに会わせてくれないか?」


「けっ……決心…?」


夕日のせいか唯の顔は少し赤く顔が少し強張っている。

ああ。と呟いたけれど

死ぬ決心だよとは何故か喉に引っ掛かって口には出せなかった。


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