Quest.3 「welcome to the mythical world online!」
◆《起源》 ライカ
創世神。
宙を浮遊する暖かくも力強い光はそう答えた。
このNPC、思ってた以上に大物だった…。
もしかしてコレ、ゲームのオープニングも兼ねてるのか?
「ライカよ、此処に顕れた其方に頼みがある」
「なんでしょうか?」
いかん、早速地が出た。
ゲーム用にある程度言葉使いや性格を演じようと思ってたのに。
そんな風に考えているのもつゆ知らず、創世神は話しを続ける。
「今、我が生み出せし神々と世界、紡がれし伝説は本来有るべき理から外れている。しかし我は全ての始まりを司りしだけの存在」
「…つまり、アンタ自身は理を修正出来ない訳か?」
「その通り。嘆かわしいことだが、我が直接関与し、修正することは不可能だ。しかし、其方らを介して間接的に関与する事は可能だ」
なるほど。
つまり俺達は創世神から使命を受けて各神話に『英雄』として関与し、それを修正して回る、ってことになるのか。
「アンタの願いは大体分かった。アンタという存在に敬意を表して協力しよう」
「すまぬなライカよ。それでは他の神々の世界へと繋がる《時空の狭間》まで送り届けよう」
「頼むぜ」
「うむ。それでは最後に1つ、『助言』と《加護》を授けよう」
「なんだ?」
「我が授ける『助言』は1つ」
何やら重要そうだな…。
「其方以外にも我に協力せし者達がいる。その者達は《時空の狭間》にて其方に介入のための手解きを授けるであろう。その教えを受けるが良い」
ん?
どういうことだ??
協力者ってのは多分、他のプレイヤーの事なんだろう。
しかし他のプレイヤーから教えて貰えって…、この手のゲームによくあるらしいチュートリアルは無いのか?
「次に《加護》だが、我からはこれを授けよう」
そう言うと、創世神は『光の球』を発現させ、次の瞬間には俺の体に入り込んでいた。
「今のは…?」
「我が授けし《加護》だ。この《加護》は《時空の狭間》から他の神々の世界へと渡る力を持つだけでなく、他の神々が授けるであろう《加護》を蓄積する効果を持つ。他にも幾つもの道具や武具を収納する力をも持っている」
ああ、システム的に言ってしまうと所謂アイテムボックスってことか。
それに《加護》の説明も付け加えてあると。
「ああ、ありがとう」
「礼には及ばん。我が与えし使命を乗り越えるに当たって必要な《加護》故。それでは其方を《時空の狭間》へと送ろう」
そう言うと創世神はより強き光を放ち――周囲が白く染まるほどの強い光だ。
光が収まる頃、もうそこには誰も居なかった。
◆《時空の狭間》 ライカ
次に目を開けると、そこは開けた神殿の中の様だった。
「此処が《時空の狭間》か?」
キョロキョロと辺りを見渡して見ると、足下に召喚陣らしき物がある。
つまりこの召喚陣の上に立っている、もしくはその近くにいて同じようにキョロキョロと辺りを見渡しているのは俺と同じ、今日このゲームを始めた人達ってことか。
「案外少ないな…」
《オネイロス》も相当数出回ってかなりの人の手元に行き渡ったハズだし、最近始まったばかりのタイトルだ。
もっと大勢居ても良さそうなモンなんだが…。
とりあえず、此処から一度出てみるとするか。
神殿らしき建物の外に出て見ると、外はこれでもかと言うほどに晴天。
神殿前は草花が生い茂って十字路になっており、中央は噴水がある広場になっているようだな。
噴水の周囲には大勢のプレイヤーらしき人影が集まっているし、あそこが街の中心部か?
「しかしこれは…」
そこに至るまでの過程で見てしまったのは…。
広場に続く道に1つ大きな門と、そこにはこう記された文字。
『《welcome to the mythical world online!》』
正面にデカデカと聳える大きな門と『《welcome to the mythical world online!》』の文字。
…。
大事な事なので2回ほど確認してみた。
えーっと…、これはアレか?
なんか入学式とかそんな感じを思い浮かべるんだが…。
余りに特徴的過ぎる。
何やら一気に気が抜けたな…。
さっきまで悩んでたのが阿保らしい。
「…とりあえず、サッサと移動するか」
そう思い、その場を後にするのだった。